醤油を使った玉子焼き
「やっぱ醬油が手に入ったんだから玉子焼きから作ってみるか」
前回作った玉子焼きは醤油がなかったためにいわば未完成のような玉子焼きになってしまった気がするので醤油を使った完璧な玉子焼きを作りたいと思う。
でもその前に醤油がどんな味なのか気になったので俺達は醤油をなめてみた。
「しょっぱいな」
「確かにしょっぱいが塩とはまた違ったしょっぱさだな」
シルの言うように確かに塩と同じようにしょっぱいのだが、塩とは違うしょっぱさだな。
上手く言えないが塩とは違うしょっぱさだ。
それと本当に見た目黒い液体だったな。
「では、私が作りましょう」
そう言ってジョルジュがあっと言う間に玉子焼きを作りました。
一度作った料理だからな。
そして醤油が加わった玉子焼きが出来上がった。
「前回と同じように砂糖と塩の玉子焼きを作りました」
俺達は玉子焼きを食べた。
『おお!!』
全然違う。
あの黒い液体を入れるだけでこんなにも違うのか。
砂糖の方も塩の方も前に食べたのとは比べ物にならないくらい旨かった。
「おお、これじゃ、この味じゃよ」
そう言ってカホさんは涙を流しながら玉子焼きを食べる。
これでようやく故郷の玉子焼きを食べさせる事ができたようで良かったよ。
「そう言えば、東国では目玉焼きにも醤油をかけて食べるのが多かったのじゃ」
「目玉焼きにも?」
カホさんが言うので当然気になった俺達はそのまま目玉焼きを作り醤油をかけて食べたら旨かった。
目玉焼きには普段塩で味付けをしていたが醤油だとまた違った旨さが出ていた。
「目玉焼きには醤油が良いのう、これとご飯を一緒に食べるとまた美味しいのじゃ」
『あー』
カホさんの言う事に俺達は納得する。
確かに何となく米が食べたくなるような味だ。
「この国の者達からしたら行儀が悪いかもしれんが、まず醤油をかけた白身の部分とご飯を食べてから残った黄身をご飯の上に乗せてその上から黄身を崩すと白いご飯の上に黄身が混ざってまた美味しいのじゃ」
カホさんがそう説明すると何となく美味しそうな気がしてきた。
「さらに卵かけご飯と言うのがあってのう、卵を割って醤油を好みでかけてからかき混ぜるのじゃ、そしてそれを白いご飯の真ん中の部分に穴をあけてそこにそのかき混ぜた卵を入れるのじゃ、単純じゃがとても美味しいのじゃ」
「じゃあ、それ食べようか」
カホさんの説明を聞いて思った。
絶対旨い奴だと。
食べてもいないし見た目も知らないけど、何故か旨いって思える気がしてならなかった。
それから米を炊いて醤油をかけた白身の部分だけを食べた。
これだけでも十分ご飯が進む。
さらに残った黄身の部分をご飯の上に乗せる。
確かに貴族の食べ方としたらはしたないとか言われそうだな。
黄身を崩すと白いご飯に黄身が混ざる。
そして黄身が混ざったご飯を口に入れる。
「あ、旨い」
「本当だ、白いご飯に黄身の味が加わってさらに醤油の味がより旨さを引き立たせている」
シルの言う通りだな。
醤油は良い味を出している。
「こうなると卵かけご飯も食べてみたいな」
「米ならたくさん炊きましたので遠慮なくどうぞ」
ジョルジュが言うので全員でご飯をおかわりする。
「卵かけご飯の作り方は簡単じゃ、卵を割って醤油を少し入れてかき混ぜる、そしてかき混ぜた卵をご飯の上にかけるだけじゃ」
カホさんの言うように俺達は卵を割って醤油を少し入れてかき混ぜる。
「普通ならこうしてかき混ぜた卵を焼いてオムライスや玉子焼きにするけど」
「このままご飯にかけるのは初めてで少し不安」
ルティとレティが言う。
確かに卵を焼かずにそのままで食べるのは少し不安にもなるな。
だって見た目が液体のものをご飯にかけて食べるような感じだし。
「ああ言い忘れるところじゃったが、卵をかける時はご飯の真ん中に穴をあけるのじゃ、穴をあけずにかけるとそのまま流れて行って茶碗から出てこぼれてしまうからじゃ、じゃがこうやって真ん中に穴をあけてそこから卵をかけると、ほれ」
カホさんがご飯の真ん中に穴をあけてその穴に卵をかけると卵は下から出てまるでご飯を沈めていくかのように茶碗の中に納まる。
その光景は見ていて面白いなと思った。
「こうやって、ご飯全体に混ぜて食べると美味しいのじゃ」
「普通なら行儀が悪いって言われそうな食べ方ですね」
フレイアの言うように貴族が見たら行儀が悪いって言われそうだ。
普通はできた料理を混ぜるなんてしないからな。
「何かトロっとしてるせいか、上手く箸で掴めないな」
「うーむ、確かに掴みにくいな」
リックとルートが卵かけご飯を箸で掴むのに苦労している。
液体のままの卵をかけたからご飯が掴みにくくなっているんだよな。
「卵とご飯だから食べても大丈夫だと思うけど」
「うーん」
ユーリとミスチーは食べるのに抵抗しているようだ。
確かに卵を焼かずにそのままかき混ぜて食べるなんて今までしなかったからな。
未知なるものを口にするのはいつだって抵抗があるものだ。
「んんー、やはり卵かけご飯も美味しいのじゃ」
そんな中カホさんだけが美味しそうに食べている。
「ふむ、行くか」
そう言ってジョルジュは卵かけご飯を口に入れる。
「む、これは」
「どうした?」
「中々イケますね」
「そうか」
ジョルジュがそう言うので俺も意を決して食べると皆も食べる。
「あ、結構旨い」
「確かに、卵の味そのものがご飯全体にかかっていて旨いな」
そう言ってシルは卵かけご飯を食べる。
確かに液体だからご飯全体に味がついていると言っても良いな。
ご飯自体にはあまり味がないから卵の味が全体についてご飯そのものが旨くなった。
「へえ、悪くないわね」
「正直これだけでも十分満足できて良いと思うな」
そうラキムとネロナが言う。
ネロナの言うように確かにこれだけでも十分満足できそうだな。
「卵とご飯だけでこんなに満足できるなんて」
「卵にはまだまだ可能性がありそうだな」
カリーナ、シオンが言う。
確かに卵でこんなに満足できるなんて思わなかったな。
シオンの言う通り、卵にはまだまだ可能性がありそうだな。
おっと、卵だけで満足するわけにはいかなかったな。
「他の東国の品も使ってみようか」
そう、東国の品は他にもある。
それらも使って色々作ってみないとな。
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