ケイネスの実力
「グオガアアアー!!」
叫びと共に森の奥から姿を現す。
その姿はゴブリンと似ているがその大きさは俺達を超えるほどの巨大だった。
大きさにして俺達の二、三倍くらいの大きさだろうか。
「ジャイアントゴブリンか、大方このゴブリンの群れを率いていたボスってところか」
「ケイネス、何故そんなに冷静でいられるんだ!?」
エドウィンが焦っている。
そりゃこんな巨大な生物が現れたらそうなるか。
「心配すんなって、皆、こいつは俺にやらせてくれ」
「何だよ若、美味しいとこ持ってくのかよ」
「この程度の相手、ケイネス様が出るまでも」
「リック、ルート、俺にやらせてくれよ、一応俺だって強いってところをエドウィンに見せてやらないといけないしさ」
俺がそう言うと皆納得してくれたのか俺にジャイアントゴブリンを譲ってくれた。
俺の出番もあったようだ。
「さてと、あ、武器持って来てなかった、えーっと、これで良いか」
俺は落ちていた木の枝を拾って構える。
「グオ? グガアアアアー!!」
ジャイアントゴブリンは叫ぶ。
まるで何か怒っているみたいだ。
「何だ? 俺が木の枝を持っているのがなめられてると思ったのか? と言っても俺は自分の武器を持って来ていないし、ちょうど良いのが落ちてたんだ、これが気に入らないとなるともう少し小さい枝が必要になるが」
「グオオオオオオー!!」
叫びと共にジャイアントゴブリンは持っていた巨大な棍棒を振り下ろして俺に直撃する。
「随分と血の気の多い奴だな」
「グギャッ!?」
ジャイアントゴブリンが驚いている。
まあ、普通に考えたら無理もないだろうな。
だって振り下ろした巨大な棍棒を俺が木の枝で受け止めてるんだから。
「どうした? こんなものか?」
「グ、グギギギ」
ジャイアントゴブリンはわなわなと震えている。
何だ気づいてないのか。
「お前、もう終わってるぞ」
「グギャ?」
ジャイアントゴブリンがわかってないようなので俺は木の枝でジャイアントゴブリンの左腕を指す。
「グギャ? グ、グギャアアアアアアアーッ!!!」
ジャイアントゴブリンが悲鳴を上げる。
何故ならジャイアントゴブリンの左腕は切り落とされて血が大量に出ていた。
そう、俺が左腕を切った事にジャイアントゴブリンが俺に指摘されるまで気づいていなかったのだ。
「グ、グウ」
「どうする? 大人しく森に帰り二度と人間を襲わないなら見逃してもいいぞ?」
「グ、グギャアアアアアアアーッ!!!」
ジャイアントゴブリンは怒りで巨大な棍棒を俺に向かって振り下ろしそのまま地面に直撃する。
「グギャ、グギャギャー」
「何を喜んでるんだ? 俺をその巨大な棍棒で押しつぶせて良かったって感じか?」
「グギャッ!?」
俺が声を掛けるとジャイアントゴブリンは驚きの声を上げている。
巨大な棍棒で押しつぶせたと思ったのだろうが、俺はとっくにお前の頭上にいたんだけどな。
「もう終わりにしようか」
「グギャ?」
俺は木の枝をそのまま刺すように降ろしてジャイアントゴブリンの頭を突き刺すとジャイアントゴブリンはそのまま倒れて二度と動かなくなった。
「さて、エドウィンどうだ? これが俺達の実力だ」
俺はエドウィンに言う。
「言っておくが俺もルート達も全然本気を出していない、こんなのはちょっとした運動のようなものだ」
「これでちょっとした運動」
「ああ、お前がシェフィーネ王女と婚約するために本気でドラゴンと戦う覚悟があるなら、俺達が鍛えてやる、お前にとっては地獄になるかもしれない、それでもやるか?」
俺はエドウィンに問う。
今からエドウィンがドラゴンを倒すとなると本当に地獄を見るしかない。
だからこそ覚悟を問う。
「本当に私はドラゴンを倒せるくらいに強くなれるのか?」
「お前の努力次第だ、だがドラゴンと戦う覚悟があるならドラゴンと戦えるように鍛えてやる、それは約束する」
「なら、頼む、私を鍛えてくれ」
「本当に良いんだな? 別にドラゴンほどじゃなくても強いモンスターは他にもいるぞ?」
「今の私が彼女との婚約を認めてもらうには、陛下に強さの証明をするなら、ドラゴンくらい倒さなければ認めてくれないと思う、それくらいできなければ今の私が彼女の婚約者になる資格はない」
エドウィンの言葉には確かな覚悟を感じる。
「わかった、地獄にようこそだエドウィン、歓迎するぞ」
こうしてドラゴンを倒せるように俺達はエドウィンを鍛える事にしたのだった。
読んでいただきありがとうございます。
これにて第三章が終わり、次回から第四章に入りますので今後ともよろしくお願いします。
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