使用人の紹介 2
「二人は闇ギルドに所属していたんだよ」
「闇ギルド!?」
エドウィンが驚く。
「詳しくは知らないけど、二人共幼い頃親に闇ギルドに売られたらしくてさ、ちょうど歳も近い事があってか二人で組んでいたんだ」
「闇ギルドって事は、犯罪を犯したのか?」
「ああ、ただ勘違いしないでくれ、二人は確かに犯罪を犯したが、暗殺とかそう言う人殺しはしていない、二人がしたのはあくまで盗みでそれも領民を困らせている悪徳領主や悪徳貴族から盗んでいたんだ」
「悪徳領主に悪徳貴族」
「二人共そうしないと生きていけないとわかってたけど、せめてやるなら善人じゃなくて悪人から金品を盗み決して人殺しの仕事はしないと決めたんだ、カリーナがターゲットの家のメイドとかになって侵入して調べてシオンが実行するって感じだったんだ、二人共暗殺者みたいに人知れずに行動するのに長けていたんだよ」
「ただのメイドではないと思っていたが、なんかお前の説明で色々納得した気がする」
「そうだな、金品を盗んでいたけど時には奴隷や攫った人達を地下室に閉じ込めて酷い扱いをしていた領主や貴族もいたからついでにその証拠資料盗んで騎士団に提出したりしてそいつらを捕らえる事ができたりと国のためになったりもしたんだよ、それで今は色々あって二人共リカード家の使用人になったのさ」
「あの二人にそんな過去があったとは」
「さてと次はジョルジュとラキムなんだけど二人共親父が若い時からリカード家に仕えていた執事とメイドなんだよ」
「使用人の中では二人が長いんだな」
「ああ、写真で見たけど、昔はジョルジュはイケメンでラキムも今よりはスラっとした美少女メイドって感じだっだぞ」
「え?」
エドウィンは信じられないと言った顔でジョルジュとラキムを見る。
うん、今の二人の姿、特にラキムの方は想像しずらいよな。
「まあ、そんなんでうちの使用人達は凄いって事さ、こんなに強い使用人達中々いないだろ?」
「ちょっと待てケイネス、じゃあ彼女は何なんだ?」
「ん? ああ、ミスチーの事か」
「そうだ、彼女だけ何もしてないぞ、他は武器を持ってゴブリンと戦っていると言うのに」
「ああ、それなら大丈夫、そろそろミスチーが残りのゴブリンを全滅させるから」
「よーし、みんなー!! いっくよー!!」
ミスチーが両腕を空に向かって上げる。
「全員、ケイネス様の所に退避!!」
ルートが言うと全員がその場から離れて俺とエドウィンがいる場所へと退避する。
「せーの、バリバリバリー!!」
ミスチーが叫ぶとこれ以上ないくらい晴れている空から無数の雷が降り注ぎゴブリン達を襲う。
「グギャアアー!!」
「ゲギャギャー!!」
無数に降り注ぐ雷はその場に残っていた全てのゴブリン達に直撃し、ゴブリン達は黒焦げになって倒れ絶命するのだった。
「よーし、終わったー!!」
「ケイネス、今のは何だ!?」
エドウィンが驚いて俺に問う。
「ああ、ミスチーは魔法使いなんだよ」
「魔法使い、だから何も武器を持っていなかったのか」
エドウィンの言葉に俺は頷く。
「そ、魔法が使えるからそもそも武器なんて必要ないんだよ、しかもミスチーは一つ一つの魔法の威力が規格外に凄いんだよ、もう全部ミスチーだけで良いんじゃないのかって思うだろ?」
「まあ、確かに」
「けどそうはいかないんだよ、今のだってゴブリンだけに当たるようにかつ威力も抑えるのに集中していたんだから、でなければ思い切りやってこの森の地形そのものが変化しちゃうからさ、ミスチーの魔法は規格外だから」
「そ、そうか」
「まあ、これでゴブリンの群れは全滅したし、強さも十分証明でき・・・・・・悪い、どうやらまだ終わってないようだ」
「え? それはどういう」
「グオガアアアー!!」
エドウィンが問い掛ける前にそいつは森の奥から姿を現すのだった。
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