強さの証明
「ちょっと待て? 私の耳がおかしいのか、今ドラゴンを倒すって聞こえたんだが」
「ああそうだ、ドラゴンを倒せば良いと言った」
エドウィンの問いに俺は答える。
「ドラゴンってあのドラゴンか!? 物語とかで出て来るあのドラゴンか!? 空を飛んだり火を吹いたりする」
「そのドラゴンだ、実際に存在する事は知ってるだろ?」
「知ってるが、何故ドラゴンなんだ!?」
「だって、ドラゴンって強い生物だし、そのドラゴンを一人で倒せれば強さの証明には十分だろ?」
「そんなの無理に決まってるだろ!! ドラゴン一体討伐するのにどれだけの人数と武器がいると思ってるんだ!!」
エドウィンが大声を上げる。
まあ、普通ならそうだろうな。
「落ち着けって、普通ならかなりの人数や武器が必要だが、俺達なら単独でドラゴンと戦える強さは持ってるから」
「は?」
エドウィンは信じられない顔をする。
「まあ、口で言っても信じられるわけないし、明日の朝見せてやるから、と言うわけで全員頼む」
「承知しました」
ルートが答えて他の使用人達も頷く。
次の日、俺達はいつもより早く起きて外に出ているとエドウィンが起きて来た。
「おはよう、エドウィン」
「ああ、おはよう、ってその恰好は?」
エドウィンは驚いている。
まあ、そりゃそうか。
なんせ俺も他の使用人達も全員軍服を着ているんだからな。
「まあ、いつもなら軍服は着ないんだけどさ、強さの証明には一応身だしなみも大事かと思ってさ、軍服姿の方が一応強そうに見えるだろ?」
「まあ、確かにそうだな」
「じゃあ、歩くからついて来てくれ」
それから俺達は歩いていくと森に到着する。
「ここで良いか、おお、うじゃうじゃいるな」
「数の多さとこの感じからして、ゴブリンの群れの可能性が高いですね」
「いやーね、あいつら倒しても倒しても湧き出て来るんだから しかもこっちに向かって来てるじゃないの」
ルートがゴブリンと推測しそれをユーリは嫌そうな顔をする。
「ゴブリンの群れか」
「まあ、ちょうどいい相手じゃない」
ジョルジュ、ラキムが手に持っている武器を構えて戦闘態勢に入る。
「なあ、誰が一番多く倒すか競うか?」
「面白いな、その話乗った」
リックとネロナは笑みを浮かべて構える。
他の皆もそれぞれ武器を構えて戦闘態勢に入る。
「ケイネス、ゴブリンって」
「エドウィンは俺の近くにいろ、そろそろ来るから」
俺が言うと森の奥から何かの声が聞こえてくる。
そして。
「グギャアアー!!」
目の前にゴブリンが現れる。
緑色の肌、尖った耳に長い鼻に尖った歯、その顔はただ獲物を狩る獣みたいに知性がある事を感じさせない醜い顔と言えるだろう。
しかも人間と同じように二本の足で立ち棍棒などの武器を持っている。
「グギャギャ」
「ギゲゲゲ」
そのゴブリンがたくさんの群れで現れる。
「こ、これは」
エドウィンはゴブリンの群れを見て恐怖する。
無理もない。
王族貴族なら普段はこんな状況滅多に会う事はないからな。
「殲滅開始!!」
ルートの掛け声で全員がゴブリンの群れに向かうのだった。
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