話を聞いて
エドウィンが親父と母さんと一緒に帰って来た。
「おお、お帰り、五体満足無事に帰って来たみたいで良かったよ」
「何が良かっただ、何回も死んだ気分だ」
「あー、陛下の威圧凄いからなぁ」
「ああ、何度か気を失いそうになった」
「失いそうになったと言う事は、気を失う事はなかったと言う事か、やるじゃん」
俺は素直にそう思った。
あの陛下の威圧を正面から受けて気を失わなかったのは大したものだ。
「それで、どうだったんだ? まあ、その顔を見れば何となくわかるが、婚約は認めてもらえなかったって感じか?」
「ああ、その通りだよ」
「とりあえず、後で話を聞かせてくれ」
「ああ、わかった」
それから食事をしてからしばらくして俺はエドウィンから王城での事を聞くのだった。
『あー』
エドウィンの話を聞いて俺達は納得する。
ちなみにエドウィンと俺の他には使用人達が全員いる。
男性女性両方含めて全員だ。
「なるほど、純粋な力の強さね、確かにそりゃそうだ」
俺が言うと皆も頷く。
「そりゃ、自分の娘を任せるんだ、強い奴なら安心できるのは当然だ」
リックが腕を組んで言う。
強い奴なら安心感はあるな。
「確かに、シェフィーネ王女を狙う者がいないとは限りませんからね」
「王家に反感を抱く者とか王族、貴族に恨みを抱いている者とか、色々いますし」
ルート、フレイアが言う。
知らずに恨み買ってる事もあるからなぁ。
「いつの時代もどれだけ民に慕われる善き王だとしても、それを良しとせず反感を抱く者、反王家派の者達は少なからず存在しますな」
「そう言う連中は手段を選ばないのもいるからね、暗殺とか毒殺とか普通にやるような連中が」
ジョルジュ、ラキムが言う。
全ての人間から好かれる事はないのと同じようなものだ。
まあ、今は反王家派はいたとしても何もできないと思うけどな。
「王の子供を人質にしたりとか、最悪の場合は王に対する忠告として暗殺者を雇って王の家族を殺させたりとかもするな」
「いくら王が強かったとしても人質を取られてしまえば抵抗する事などできませんからね」
シオン、カリーナが言う。
うん、目的のためならそうする奴もいる。
「シェフィーネ王女は第三王女、第三王女でも利用価値はあるとか言う連中がいたら、シェフィーネ王女に危険が及ぶ可能性もある」
「そうなった時に、シェフィーネ王女の隣には王女を守れるくらいの強い男がいれば安心できるわね、弱い男だったらすぐに命を奪われてシェフィーネ王女は誘拐されるかあるいは同じように命を奪われてしまうわ、だからこそシェフィーネ王女を守れる強い男を婚約者にしたい陛下の気持ちはわからなくもないわね、例え王と言う立場じゃなかったとしても娘を思う父親ならそう思うのは当然よ」
ネロナ、ユーリが言う。
娘が心配な親心って奴だな、親父もアニスの時そうしそうな気がするな。
「じゃあ、エドウィン様は強いって証明しないとダメだね、でもどうやって証明するの?」
ミスチーが首を傾げて言う。
まあ、最終的にそこなんだよな。
「強さを証明するには単純に強い者を倒せば良いのでしょうが」
「生半可な相手ではきっと陛下も納得しないと思います」
ルティ、レティが言う。
王女を守れるくらいだからなぁ。
こいつなら絶対って奴じゃないとな。
となると。
「ルティ、レティの言うように強い奴と戦って倒せばシェフィーネ王女を守れる力があると言う事の証明にはなるだろうな」
「しかし、誰と戦えば認めてもらえるんだ?」
「ああ、こいつを倒せば絶対認めてもらえる相手ならいるぞ」
「それは本当か!? 誰なんだ!?」
エドウィンが大声で言う、
必死さが伝わって来るなぁ。
「いるにはいるけどさ、本当に言って良いのか? 正直お前にとっては信じられない相手だぞ? それでも聞くか?」
「そいつを倒せば認めてもらえるのだろ? だったらやるさ」
「本気なんだな、じゃあ言うぞ」
俺はエドウィンの覚悟を見たので言う事にした。
「ドラゴンを倒せば文句なしで認めてもらえるぞ」
「は?」
俺の言葉にエドウィンは呆けた声を上げる。
うん、そうなるわな。
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