もう詰んでしまっている殿下
「エドウィン、これは何の騒ぎだ?」
ガルドム国の陛下が殿下に静かに問い掛けるが殿下は顔を青褪めて冷や汗をかいている。
殿下にとってこれはもう地獄だろうな。
「ち、父上、これは」
「よい、事の顛末は全て聞いておる、愚かな事をしたな」
「ぐうっ」
陛下が事情を全て知った事で言いわけをしても無駄だと判断したのか殿下はそのまま何も言わずに俯いている。
「エドウィン、何故このような愚かな事をしたのですか?」
そう問い掛けるのは王妃だった。
「母上」
王妃の問いにも特に何も答えずにそのまま俯いたままだ。
陛下と同じように王妃も事情を知っていると思うし、おまけに先程のシルフィスタや俺に対する無礼な発言を聞いていたなら、もう詰んでいるだろう。
「エドウィン、お前を廃嫡し王位継承権も剥奪する、ここまでの事をしでかしたんだ、良いな?」
「っ!!」
「将来あなたが王となった時にあなたを支えるためにアンリエッタを婚約者にしたのに、何故ここまで愚かな子になってしまったのですか、情けない」
王妃に言われて殿下の身体が震えている。
悔しさで何も言い返せない自分に腹が立っているのか、あるいは。
「・・・・・・あ」
俺は殿下の顔を見て気づいてしまった。
やっぱりそう言う事だったんだな。
「これ以上は話しても無駄なようだ、連れて行け」
騎士達が殿下に近づくが殿下は何も抵抗する事なく騎士達に連れて行かれそうになる。
「ちょっと待ってもらって良いですか?」
騎士達に連れて行かれそうになる殿下を見て俺は待ったを掛けると騎士達は止まり殿下がこちらを不思議そうに見る。
殿下からしたら何故止めるんだって思ってるだろうな、だが言わなければならない事がある。
「殿下、あなたがこんな愚かな事をしたのは、あなたなりの理由があったんでしょ? それをあなたの父上と母上に言わなくて良いのですか?」
俺がそう言うと殿下は目を見開いて驚いた顔をする。
「何故って顔をしていますね、殿下、俺は聞いてしまったんですよ、あなたがその身に隠していた闇を、決して誰にも理解してもらえない闇を」
「・・・・・・」
「それを今話さなくて良いのですか? 今話さなければ陛下も王妃もあなたが抱えていた闇をこの先永遠に知らずに終わるのですよ? あなたはそれで良いのですか?」
「どう言う事だ、ケイネス? ガルドム王国の王子が抱えている闇とは?」
周りの人達は何を言っているのかわからない中、シルフィスタだけは疑問に思い聞いてくる。
「ああ、今に至るまでの、殿下が愚かな行いをするようになったのは、陛下と王妃と、婚約者のウィスト嬢が原因だったんだ」
俺がそう言うと周りがざわつき、陛下も王妃も婚約者のウィスト嬢も目を見開いて驚いている中、俺は構わずに言うのだった。
殿下の抱えていた闇を。
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