告白
それからはただ色々な屋台を見て回った。
領民達を見ると本当に楽しそうに祭りを楽しんでいた。
大人達は酒を飲んだり踊ったりして楽しんでいるし、子供達も大人と一緒に楽しんでいた。
一通り見終わって、私はシェフィーネ王女をある場所へと連れて行った。
(確かここだったな)
私はケイネスに言われた場所へと来ていた。
そこは湖だった。
『お祭りを一通り楽しんだら、シェフィーネ王女をここに連れて行くんだ』
『ここは?』
『村から少し離れた森に湖があるんだ、特に凶暴な生物もいないから釣りをしたりする者がいたりする場所でな、夜中に行くとある事が起きるんだ、告白するならここが良いぞ』
『ある事って何だ?』
『それは行ってのお楽しみだ、とにかく告白するようなロマンチックな場面になると思うぞ、頑張れ、そして当たって砕けろだ』
『砕けたら意味ないだろ!!』
『安心しろ、もしフラれても俺達が慰めのパーティーを用意してやるから』
『フラれるのがもう決まってるのか!?』
そんな事があって私は今村から少し離れた森の湖へと来ていた。
「あ、シェフィーネ王女、あそこに座れるベンチがあるから、とりあえず座ろうか」
「ん、わかった」
そして私達はちょうど座れるベンチがあったのでそこに座る事にした。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
私達は今隣同士で座っている。
普段は領民達も何人かこの場所に来たりしているそうだが今日はお祭りに夢中になっているのか、ここにいるのは私達二人だけのようだ。
(二人きりって、どう話を切り出せば良いんだ?)
本当にどう話を切り出せば良い?
夜だから余計に静寂な空間を感じるぞ。
とにかく、何か話さないと。
「シェフィーネ王女、とても綺麗な湖だな」
「ん、月が湖に映ってる」
「昼間とかは釣りをしたり子供達が遊んだりしている場所らしい」
「大丈夫なの? 綺麗な湖だから動物とかも出ると思うし、危険な生き物とか大丈夫なの?」
「ああ、ケイネスが言っていたんだが、どうやら湖の周りには危険な生物が近づかないように結界のような役割を果たす魔道具が埋められているみたいで、大人しい生物は来るが凶暴な生物は来ないらしい、だから子供達がここで遊んだり大人達が釣りをしたりできるそうだ」
「良かった、ここ凄く良い場所だって思えるから」
シェフィーネ王女も気に入ってくれたようだ。
そう言えばケイネスがある事が起きると言っていたが何が起きるんだ?
そんな事を考えてふと湖を見るとそのある事が何なのかを理解した。
「シェフィーネ王女、湖を見てくれ」
「あ」
シェフィーネ王女も湖を見るとそこには光の玉が無数に飛び回っていた。
「ホタルか」
無数の光の玉の正体はホタルであった。
光るたくさんのホタルが夜の綺麗な湖をより美しくさせる。
まるで幻想的な世界に来たような気分だ。
ケイネスの言っていたある事とはこれの事だったんだな。
「綺麗」
シェフィーネ王女が言う。
ああ、とても綺麗だ。
「シェフィーネ王女」
「何?」
「私はあなたの事が好きだ」
自然と私はそう口にしていたのだった。
読んでいただきありがとうございます。
面白かったらブクマと評価をよろしくお願いします。