自覚したので
「いやいや、待て待て、私がシェフィーネ王女の事が好き? そんな事って」
突然シェフィーネ王女の事を好きと自覚してしまったのか、エドウィンは混乱している様子だった。
「その気持ちはわかる、今まで無自覚だったのを自覚させてしまったんだからな、実を言うと本当はお前がシェフィーネ王女に恋している事は何となく気づいていた、けど俺達が他人の恋に色々口を挟むのはどうかと思って見守る事にしたんだが、お前自身が自覚してなかったからこのまま行っても永遠に気づかないままただ時を無駄にさせてしまう気がしたからやむを得ずに自覚させる事にしたんだ」
「そうだったのか」
「これは俺の責任でもある、だからこそ最後まで付き合うよ」
「付き合うとは?」
「決まってるだろ、自覚したんだから、シェフィーネ王女に告白するんだ」
俺はエドウィンの肩に手を置いて言う。
「はあっ!?」
エドウィンは声を上げる。
「告白って、シェフィーネ王女に告白するのか!?」
「そうだ、シェフィーネ王女の事が好きだと自覚したんだ、だったら告白するしかないだろ」
「そんなの無理に決まってるだろ!! どうせフラれて終わるだけなんだから!!」
「いや、告白してみないとわからないだろ、もしかしたらって事もあるし」
「もしかしたらなんてあるわけないだろ、シェフィーネ王女が私の事なんか好きなわけないんだから」
そうエドウィンは否定する。
うーん、何て言うか。
「完全に恋に対してヘタレになってるな」
「仕方ない事かもしれませんね、これまでエドウィン様は二度も失恋をしたのですから」
確かに、ルートの言う通りこいつ二度失恋してるんだよなぁ。
「ああ、一人は弟を思う姉としての姉弟愛でもう一人はエドウィン様の王子と言う立場しか見てなかったんだっけ?」
「そうよねぇ、一人は感情を表に出さず未来の王としての立場だとかそんな話ばかりで関係が上手くいかず挙句の果てには姉弟愛だった婚約者、もう一人は感情を表に出して自分を肯定してくれるから真実の愛だと思ったら実は王子と言う立場しか見ていなくて自分自身を見てくれていなかった男爵家の令嬢、結局どちらとも上手くいかなかった」
「正直、恋らしい恋すら始まらずに終わったって感じだもんな」
「だが、女性関係が二度も上手くいかなかった事実、奥手になっても仕方ない」
シオン、ユーリ、リック、ジョルジュが言う。
形はどうあれ、女性関係が二度失敗した事に変わりないからな。
「大丈夫だエドウィン、シェフィーネ王女だってお前に気があるかもしれないだろ?」
「そんなわけないだろ、せいぜい勉強を教えてくれる良い人くらいにしか思ってないさ、大体私のどこを好きになるって言うんだ、好きになるところなんて何もないだろ」
うわぁ、完全にヘタレになってるなぁ。
けど、ここで諦めさせるわけにはいかない。
「好きになるところなんてシェフィーネ王女本人に聞いてみないとわからないだろ? とにかく告白してみないと何もわからないだろ?」
「そんな事言われても、フラれて終わるだけだ、だったら告白せずにそのままにして置けば良い」
「じゃあ聞くけど、お前このままシェフィーネ王女に告白せずに他の男と結婚しても後悔しないか?」
「え?」
「だから、このままシェフィーネ王女が他の男と結婚して彼女が幸せならそれで良いと思えるか? あの時告白しておけばもしかしたらって後悔しないか? 告白しておけば良かったって絶対に思わないか?」
俺がそう聞くとエドウィンは沈黙する。
「・・・・・・それは、無理かもしれない」
そうエドウィンが言う。
「ほら、そう思うって事はお前はシェフィーネ王女の事が好きだって事だろ? 後で後悔したくないんだったら告白するべきだ、それによく言うだろ、男ならやらずに後悔するよりやって後悔しろだ」
「そ、そうだな、だがどう告白すれば良いのか」
「ああ、それなんだが、良い話があるんだ」
俺はエドウィンに言うのだった。
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