これじゃダメだと思ったので
「皆、集まってくれてありがとう」
「お気になさらず、ケイネス様の命とあらば我々は何よりも優先しますので」
ルートが言うと他の使用人達も頷く。
今ここに俺と使用人達が集まっている。
俺は全員を見て口を開き話す。
「皆、いきなりの質問だが、エドウィンはシェフィーネ王女の事が好きだと思うか?」
俺がそう言うと全員が頭に?マークを浮かべる。
「わかってる、皆も見ればわかるようにエドウィンはシェフィーネ王女の事が好きだ、皆もそう思ってるんだろ?」
俺がそう言うと全員が頷く。
やはり見ればわかるよなぁ。
「そう、見れば誰でもわかるのに、エドウィンが何故かシェフィーネ王女を好きだと自覚していないんだ」
『はい?』
全員が何を言ってるんだとでも言いたそうな顔で言う。
「おいおい若、何の冗談だよ」
「あれだけわかりやすく態度に出てるのにか?」
リックとネロナが言う。
うん、俺だってそう思うよ。
「確かにわかりやすいよな、本人も表に出てるくらいわかりやすい」
「それなのに、自覚していないと?」
ルートの問いに俺は頷く。
「いや、おかしいじゃないですか」
「そうですよ、どう考えてもおかしいですよ」
ルティとレティが言う。
「だって、この前も若様達と一緒に様子を見に行った時もそんな反応を示してたじゃないですか」
「勉強を教えていてうっかりシェフィーネ王女の手とエドウィン様の手が触れ合った時に慌てていたではないですか」
「「あれは好きだからじゃないのですか?」」
言いたい事はわかる、好きな子、気になる子と手と手が触れ合ったらドキッとするだろう。
なのに本人に自覚がないんだ。
「私もエドウィン様が不意にシェフィーネ王女と目があった瞬間顔を赤らめて背けたりする場面を見ましたけど、それでエドウィン様本人には自覚がないのですか?」
カリーナの言う事に俺は頷く。
そう、自覚がないらしい。
「嘘だろ、それってどう考えてもシェフィーネ王女の事が好きで決まりじゃん」
「なのにエドウィン様本人は全くそれを恋だと自覚してないって言うのかい?」
シオン、ラキムの言う事に俺は頷く。
本当に自覚してないんだよ。
「しかし、他人である我々でもわかるくらいエドウィン様はシェフィーネ王女の事を好きだと思われるのですが」
「そうよね、どれだけ恋愛に鈍感な子でもわかるくらいにはわかりやすいわね」
「それなのに好きって自覚がないの?」
ジョルジュ、ユーリ、ミスチーの言う事に俺は頷く。
マジで自覚してないんだよ。
「それで、ケイネス様はどうなさるおつもりなのですか?」
そうフレイアが問う。
「そうだな、余計なお節介だが、エドウィンがシェフィーネ王女の事を好きだと自覚させたいと思う」
「そうね、仕方ない事よね、本来なら第三者の私達は余計な事をせずに二人の仲を見守るのが良いのかもしれないけど、このまま自覚しないのならいつまで経っても進展しないままただ時が過ぎるわね、あんなにわかりやすく態度に出てるのに自覚がない、このままだと、私達がいい加減にしろって怒りが爆発しそうね」
ユーリの言う事に俺達は頷く。
確かにこのままだとじれったくて俺達の方がどうにかなってしまいそうだ。
「だからこそ、エドウィンに自覚させようと思う、余計なお節介だが、これは第三者が無理にでもお節介を焼かなければならないほど、このままじゃダメだと判断した、とりあえずエドウィンがシェフィーネ王女の事を好きだと自覚させる」
俺が言うと反対意見はなかった。
他人の恋に勝手に入り込むのはどうかと思うが、明らかに好きなのに自覚してないのを見ていると、なんかこっちがおかしくなりそうなんだよ。
「しかしケイネス様、エドウィン様に自覚させるのは良いのですが、シェフィーネ王女の方はエドウィン様の事をどう思っているのかがわからなければ自覚させても意味がないのではないでしょうか?」
「あ」
ルートの言葉で俺は気づく。
確かにそうだ、エドウィンがシェフィーネ王女の事を好きだとわかってもシェフィーネ王女がエドウィンの事をどう思ってるのかわからない。
これでシェフィーネ王女がエドウィンの事を何とも思ってないとなったら好きだと自覚させるわけにもいかない。
「ケイネス、こんな所にいたのか、皆も一緒に何をしてるんだ?」
シルが声を掛ける。
あ、うちに来てて誰もいないから探してたんだな。
「シル、実は」
俺はシルに今まで何をしていたのかを話す。
「何? エドウィンはシェフィーネが好きな事を自覚していない? あれだけわかりやすい態度を取っているのにか?」
「うん」
やはりシルもそう思うか。
「それでエドウィンにシェフィーネが好きだと言う事を自覚させると、良いじゃないか」
「けど問題は、シェフィーネ王女がエドウィンの事をどう思っているかなんだよ」
「そう言う事か、なら私が明日シェフィーネと二人きりで話して聞いてみようか? 体調も良くなっているそうだし」
「え?」
そうシルが言うので俺はシルの提案に乗る事にしたのだった。
読んでいただきありがとうございます。
今回の話で100話になりました。
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