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”PLAY” Your Role④

「ふぅ、やっと着いたわい。」


謎の人物は目的地に着いたのか、こじんまりとした建物の鍵を開けて中へと入っていく。

扉をくぐると、廊下が伸びており、いくつかのドアが左右に並んでいる。廊下のそこかしこには謎の薬瓶や実験器具の壊れたものが転がっており、なんとも物々しい。

虫かごを持った人物は、ゴミを器用に避けながらまっすぐと廊下を進み、突き当りのドアを開くとさらなる光景が広がっていた。


その部屋は何かの研究室なのであろう。部屋の真ん中には実験器具が複雑怪奇に組み立てられている実験台が存在感を放っている。壁沿いには本棚が並んでいるが、きれいに並んでいるところは一つもなく、なぜか棚の前にも本が積み上げられている。


部屋の奥に鎮座している机の上にも本やメモが乱雑に散らばっており、床にも怪しげに光る薬瓶がゴロゴロと転がっている。

典型的な研究にしか興味のない研究者の部屋である。

謎の人物は実験台の隅に虫かごを置くと、ふたを開けてデルタをつまみ上げた。


「わしの研究所によく来てくれたのぉ。まずはすまんかった。」


小指の指先から第一関節ぐらいの大きさのデルタをしっかりとつまんで力関係をはっきりと意識させながらの謝罪に誠意があるのかはわからないが、その人物はデルタを真っすぐに見据えながら謝罪した。

その人物は、ボサボサの白髪頭とふさふさの白ひげを生やし、白衣を着た男性の老人で、その目は爛々と怪しげな光を帯びている。危ない人にしか見えない。


「あ、は、はい。あの、元に戻していただけないでしょうか…?」


巨大な手に掴まれて自由を奪われ、何をされるのか分かったものではないデルタは恐る恐る希望を伝えてみる。

老人はしばしポカンとした後に、何かに気づいたのか机の引き出しを漁りだし、怪しげな液体の入った瓶を探し出した。

それを片手で難儀しながら開けると、瓶を傾けて一滴だけ液体を垂らした。

ポタリと床に落ちた雫が跳ねると、その飛沫が青い光を帯びながら渦を巻くように大きくなっていき、二人を包んだ。


「これでおぬしの声が届くようになったわい。おぬしにとって悪くない話がある。おぬし、もっと大きくなりたくないか?」


デルタの話を聞いていないのか、白衣の老人は話を切り出した。

本来であれば、自身の置かれた理不尽な状況に嘆くところであるが、老人の切り出した内容がデルタの琴線に触れてしまった。


「……えっ?それは、元に戻った後の話ですか?」


「もちろんじゃ。見ての通りわしは魔法薬の研究をしておってのぉ。小人化薬(ミニマイザー)があるということは……」


―――その反対の巨人化薬(ギガナイザー)も作ることができる。欲しくないか?

そういうオファーであるらしい。

そんなのデルタが飛びつかないわけがない。


「やります!」


というわけで一も二もなく飛びついた。


「さすがわしが見込んだ通りの男じゃのぉ!それではよろしく頼むぞい。わしのことはヒフニ―と呼んでくれ。」


「はい!ヒフニ―さん!僕はビッグデルタです。デルタって呼んでください。」


ポポーン


《チュートリアルイベント:「小さな一歩は大きな一歩!」が開始されました。》


イベントの開始を告げるアナウンスがデルタの網膜に投影された。

お互いようやく自己紹介を済ませると、デルタは実験台の上に降ろされた。

そしてヒフニ―が机から椅子を引きずってくるとヒフニ―の前にドカッと座り、本題の話が始まった。


「さて、おぬしに頼みたいことなんだが、その小ささになった()()()にしかできん事でのぉ」


「はい!なんでも言ってください!ビッグになれるならなんだってやりますよ!」


デルタはノリノリである。

ヒフニ―は実験台の上に放置されていたマグカップを持ち上げると、中に入りっぱなしになっていた液体に口をつけた。いつから放置されているのかわからない飲み物を躊躇せずに飲み込むヒフニ―に若干引いてしまうが、それよりも大きくなりたい欲望が買っているデルタは聞き返す。


「うむ、実は研究中の透明化薬(インビジュライザー)を完成させるためにウィンプルバグの素材が欲しくてのぉ。」


―――ウィンプルバグ。ヒフニ―の話によると、人の親指ほどの大きさの甲殻類型魔物であり、普段は森の中に生息しているらしい。どんな森にでもいるありふれた虫だが、とても臆病な気質を持っているのか、自分よりも大きい何かが近づくと即座に透明化の魔術を発動して遁走してしまうらしい。

だから、ウィンプルバグよりも小さい姿になって戦える戦士が必要だったということだ。それ以外にもデルタを選んだ理由があるらしい。


「おぬしは竜甲翼人(ドラグナー)だからのぉ。ウィンプルバグの弱点を狙いやすいんじゃ」


竜甲翼人の特徴として、一時的に光の翼を生やして自由に空を飛び回る血統魔術が存在している。

かつて、種族の祖先は翼竜とヒトのハーフであったという伝承の中で、翼竜の血が薄れて退化してしまった翼を魔術的に強化して再び空を飛べるようにしたという偉人の話が伝わっている。

ここで、デルタは()()が目をつけられていたことに気づいたが、欲望のために我慢することにした。


確かにデルタも血統魔術《(いにしえ)の翼》を使え、VR訓練でも数えきれないほど練習したが、まだ自由に空を飛ぶレベルには達しておらず、滑空ができる程度だ。

それを正直に伝えると、上空から攻撃ができるのであれば問題ないと一蹴された。


それからしばらくウィンプルバグを含む森の魔物の生態や攻略法についてのレクチャーを受けたデルタは森の入口に立っていた。ここまではデルタ一人でも来られると伝えたが、なぜかヒフニ―が自身の馬車を駆って連れてきてくれた。取引相手には誠意を見せたいらしい。


「ではデルタ。わしはここで待っておる。頼んだぞい。」


「うん、任せといてよ!いってきまーす!」


森へと踏み出したデルタは、足場の悪さをものともせずに進んでいた。

VR訓練中に編み出した移動法で、《古の翼》と風魔法を使って低空を滑るように進む方法だった。

どれだけ小さくなっても、その移動法のおかげで地形は無視して進むことができ、やろうと思えばもっと上空へと飛ぶこともできるが、ヒフニ―の助言通りに低空を這うように進むように心がけていた。


森の中といえば野生の動物、昆虫、魔物が跋扈する世界だ。そんな世界で虫ほどの大きさになったデルタは格好の餌である。なるべく見つからないに越したことはないのだ。

そうして1分ほど森を進むと早速ウィンプルバグを発見することができた。

その姿について、ヒフニ―からあらかじめ聞かされていたとはいえ、デルタは改めてここが異世界であることを実感していた。

ウィンプルバグは、腹側に比較的丈夫な甲殻を備えた甲殻類であり、地球のダンゴムシをひっくり返したような姿をしていた。背中から生えた多脚で細長い体を支えて移動するが、いざとなると体を反り返らせることでタイヤのような形に変形して、高速回転して移動したり獲物を轢いて狩る生態を持っているようだ。

そして、自分より大きさ体を持つ外敵に遭遇すれば、即座に透明化をして隠れてしまう。


小さくなったデルタにとって厄介なのは、むしろタイヤ型に変形した時の防御力らしい。

だから、ウィンプルバグに遭遇したら、柔らかい背中を遠距離攻撃して倒してしまうのが手っ取り早いらしい。


デルタは自分がヒフニ―に選ばれたり理由のその2を披露する。


「《銃手(ガンナーモード)》」


デルタが起動ワードを口にすると、その両手が見る見るうちに姿を変えて、竜の口のような形に変形した。牙も生えており、少し気持ち悪い。

ウィンプルバグを視界に抑えながら、近場にある岩に両腕を差し出した。


バリッボリッゴリッ


すると、両手にできた凶暴な口は岩にかじりつき岩を食べ始めてしまった。その光景は不気味である。

やがて、咀嚼を終えた両腕が静かになると、デルタは慎重に周囲を見回してほかの外敵がいないことを確認すると、これまでよりも高く舞い上がった。

グングンと上昇して離れていく地面を見て、先程まで地面を這いつくばるように移動していたストレスが飛んでいくようである。


遠くで囀っている鳥の鳴き声も心なしか、デルタを応援しているように聞こえる。

十分な高度を確保したデルタはウィンプルバグに向かって両腕を向けながら滑空を始めた。

ウィンプルバグがこちらを仰ぎ見るような動きを見せたが、デルタの大きさを見て安心したのか、気にすることなく地面を探っている。


そして、射程距離に入った瞬間に


「《圧縮空気銃(エアガン)》」


デルタの右腕の口から一発の弾丸が放たれた。その弾丸は先ほど咀嚼していた岩から作られたようで、粗削りながら弾丸の形をしている。

弾丸は回転しながらものすごいスピードで突き進み、ウィンプルバグの背中を貫き、硬いはずの腹側の降格も貫いて地面に穴を空けた。

ウィンプルバグはその衝撃に体を跳ね上がらせたが、急所に当たったのかそのまま地面に落ちて動かなくなった。


「よっし!初ハント成功!」


初めての狩りを成功させたデルタは地面に着地するとスキップしながらウィンプルバグへと近づいていった。

ヒフニ―に頼まれたのはウィンプルバグからとれる魔石10匹分だったが、この調子ならすぐに終わりそうだ。



魔石を取り出すためにウィンプルバグにピョンピョン飛び跳ねて近づくデルタは、次の瞬間大きな影に吹き飛ばされた。


「どわぁあああーーーーー!!なにっ!?なにっ!?」


地面を転がり目を回しそうになったデルタが起き上がろうとすると、再び大きな影がすごいスピードで接近してきた。

風を切るような高速でデルタに襲い掛かったのは小鳥の姿をした魔物であった。小鳥とはいえ、今のデルタにとっては、見上げるほどの巨大な怪鳥である。

デルタを吹き飛ばしたのではなく、爪のとがった脚で捕まえようとして偶然失敗したらしい。


その爪が迫り、とっさに横っ飛びで転がりながら躱す。


「えぐっ!小鳥のくせに!」


悪態をつきながら転がったデルタはそのまま伏せながら銃手を構え、空中を大きな弧を描いて再びこちらに向かってくる小鳥を睨みつけた。


「《圧縮空気銃!(エアガン)》」


先程ウィンプルバグを倒した攻撃を小鳥にも放つ。

銃弾が小鳥の頭めがけて突進するが、弾丸発射時の魔力的な揺らぎを警戒した小鳥は体を捻るようにして弾丸を回避した。

そのままデルタのすぐそばを掠めるようにして飛んでいく。

デルタは攻撃が躱されて少し驚くも、すぐに切り替えた次の攻撃手段を選択した。


「なら、次は……」


小鳥は反撃も受けてもデルタへの執着が消えないのか、またしてもデルタに向かって特攻してくる。

しかし、攻撃を警戒してか先程のように直線的な突撃ではなく翼を用いて小刻みに方向転換しながら近づいてくる。スピードは少し落ちてはいるが、十分に脅威である。

デルタは小鳥が先程よりも近づいてくるのを待った。そして、小鳥が脚の爪をデルタに食い込ませんと開いた瞬間に起動ワードを叫んだ。


「《空気炸裂弾!(エアロショット)》」


今度はデルタの両腕から同時に小さなつぶてが一斉に飛び出して小鳥に向かっていった。

面上にばらまかれた弾丸にさすがに小鳥も避けられずに直撃を食らう。

その威力は猛スピードでこちらに向かってきた小鳥を押し返すほどであり、一瞬意識を失わせることに成功した。小鳥は地面に落ちる。


「これでトドメだ!《二重圧縮空気銃!(ダブルエアガン)》」


すぐ近くに落ちてきた小鳥が意識を取り戻す前に次なる一手をデルタが放った。

両腕から発射された弾丸がお互いを巻き込むように二重らせんを描いて小鳥へ向かう。

小鳥は地面に落ちた衝撃で意識を取り戻し、慌てて羽ばたこうとしたが時すでに遅し。

二発の弾丸が小鳥の胸元を抉るように貫通して背中から飛び出していった。

小鳥は再び地面に倒れるが、今度こそ起き上がることはなかった。


「ふぅ~。何とかなった……VRで訓練しておいてよかったぁ~」


ため息をつきながら小鳥に歩み寄ったデルタは小鳥を銃手から戻した手のひらでポンポンと叩く。

VR訓練で自分よりも大きな魔物と戦う訓練を繰り返していたため、巨大な敵と戦う心構えができていたらしい。

この竜甲翼人は自分よりも大きな生き物がトコトン嫌いらしい。


「お前の敗因は、俺を見下ろしたことだ。だから俺に見下ろされていることに気づけなかった。《解体》」


よくわからない決め台詞を吐いて顔を決めながら、小鳥に向かって解体魔法を放つ。

すると、小鳥はあっという間に羽が抜け落ち、肉が開かれ、骨が外れ、バラバラになってしまった。

その中にきらりと光るデルタの体ぐらいの大きさの石が転がっていた。


「この魔石は……50円ぐらいか。まあ、そうだよな。」


魔物の体の中に存在し、魔力を蓄え使役魔術が刻み込まれている魔石である。

この魔石を特殊な方法で加工すれば、魔物が使っている魔法を再現できるらしいが、たいていの魔石は資源として別の活用方法が待っていた。

そう言って少し落ち込みながら首から下げているネックレスの護符(タリスマン)を掲げた。

護符から青白い光が魔石に向かって伸びると、光が当たった魔石は護符に吸い込まれるように消えていった。いわゆる異空格納倉庫(インベントリ)のようなものらしい。

質量保存の法則はどこに行ったのか?否、デルタが小人になっている時点でそんなものあってないようなものなのだろう。


そして、獲物であるウィンプルバグをようやく解体してデルタの頭ほどある大きさの魔石を護符に収めて少し休憩をとると、残りの9匹分の魔石をゲットするために立ち上がった。


「まあでも、VR訓練でかなりやりこんだから、ここら辺は余裕かな!」

My PC is broken.

泣いてるぜ、ローン払い

座して待つよ、ニューフェイス

あやして、優しくぎゅーって

スマホはおめめが、like a STORM

間違いだらけの sentence bomb

だから俺は石橋叩く

あがりが遅れても推敲果たす。 

yeah.yeah...

これが俺の近況メーン。

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