39.祭りの後で
すみません、短めです。
本日、もう1話更新予定です。
はあ、、、、、
どうも、アンズです。
困りましたね、昨夜のキスがぐるぐる回ります。
こうして、朝の図書室で、返却本を戻している時も、ふっと、唇の感触を思い出してしまうと、そこからするすると、食まれた感触とか、なぞられた感触とかまで鮮明になり、カサンディオ団長の熱っぽい目も思い出して、頭に添えられてた大きな手まで出てきて、「~~~~っ」と1人で赤面しては、手が止まり、本を戻す棚を間違えてしまっています。
そしてあの、“忘れてくれ”からの、“忘れなくていい”は何ですかね。
忘れてくれ、は、お互いの立場があるし、衝動的にキスしてしまったけど、無かった事にした方がお互いの為だよね、だから忘れよう、という解釈でいいよね。
じゃあ、忘れなくていい、は?
忘れなくていいって事は、この先があるという事なのかしら。
そんな事言われると、いろいろ勝手に期待してしまって苦しくなるんですけどね。
ええ、勝手にね。
くそう、きゅんきゅんするな、私の心臓よ。
まずいな、あれだな、私、けっこうあのワイルド系イケメンの事、好きなんだな。
“気をつけなさい。あの方は外堀から埋めるタイプだと思います”
ローズの言葉が甦る。
どうしよう、ゆくゆくは、カサンディオ団長の、め、妾とかになるのかしら?
ちょっと、いや、かなりお妾さんには抵抗があるんだけど、、、、、。
それに、そもそも、カサンディオ団長から、好きとか言われた訳じゃないんだよなああああ。
私の事が好き、でいいのかなああああ。
「はああぁ、、、」
長いため息をついて、こんなんじゃ仕事にならんぞ、と思って周りを見回せば、周りもけっこうぼんやりしている。
昨日は建国祭、ほぼ全ての人が朝から祭りに繰り出し、夜は遅くまで飲んでいたのだろう、今日は、仕事なんてやってられねえよな、みたいな気だるい雰囲気がムンムンで、私の、「はあ、、」とか「ふう、、」もそこに紛れている。
「アンズさんは建国祭、楽しめましたか?」
そんな中、こう聞いてきたのは、この気だるい図書室で唯一、いつも通りのヘラルドさん。
「はい、楽しかったです」
「グレイがお宅にお邪魔させてもらったようですね」
ドキイィッ
私の心臓が、1メートル先くらいまで飛び出る。
そうだった、ヘラルドさんはカサンディオ団長の叔父だもんね。そういう話もするんだね。
「ええ、はい」
「ここの所、あの子は忙しかったから、良い息抜きになったと思います」
「忙しかった?」
「ええ、少し家の事で、バタバタしてまして」
「カサンディオ家がですか?」
何かあったのかしら?と思うけれど、お家のゴタゴタに突っ込むのは良くないわよね。
「はい、私も少しバタバタしましたね。もうすぐ終わります、それにしても、今日は仕事になりませんねえ、来室者も少ないですし」
「ほんとですね、今日はもうゆっくりするしかないですね」
「ええ、アンズさんは今の内にゆっくりしておきましょうね」
私の言葉にヘラルドさんが目を細めて、そう言った。
あのキスは、賛否両論あるんだろうなあ、、、、と思いながら書きました。
団長の懺悔か言い訳まで、もうしばらくお待ちください。




