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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

中抜きオークショニア

作者: 初月・龍尖

 

 

 わたしはオークションという物に憧れがあった。

 母に内緒で連れて行ってもらったオークション、そこでわたしが見たのは全裸で並べられたヒト以下の存在だった。

 わたしが”奴隷”をはじめて見たのはその時だった。

 ふと顔を横に向けると丁度わたしの目の高さに父の腰があった。

 前の部分がこんもりとふくらんだ父の腰をみてわたしは慌てて視線を下に向けた。

 わたしの股はふくらんでいなかった。

 かつこつと鳴る音と共に大きな声があがり奴隷たちが台の上から引っ張り下ろされる。

 泣き、喚き、嫌がる奴隷たちに会場は熱がこもったようだった。

 わたしは全裸の奴隷よりもオークションの進行者の言葉に興奮を覚えた。

 たったひとりの言葉で大量の荷を売りさばく。

 声を荒げるだけでなく、間を作る事によって場を支配する。

 わたしの股は進行者の鳴らすかつこつという音でいつしかふくらんでいた。

 

 それからわたしは勉学へまい進した。

 商家の下働きをしながらさまざまなことを学んだ。

 正式に雇ってやると言われたがわたしはそれを断り違うけれどやはり商いをする店へ潜り込んだ。

 さまざまな場所でさまざまな商家を渡り歩きわたしはいつの間にか若者と呼ばれる年齢ではなくなっていた。

 それでも休日はオークションへと足を運んでいた。

 買うためではなく欲を満たすために。

 オークション界でわたしは”入札しないのにいつもいる変なヤツ”と言われていたと後で知った。

 

 転機が訪れたのは小都市の教会で雑用まがいの仕事をしていた時だった。

 大飢饉が起き口減らしが発生したのだ。

 山積みになって下の方が圧死するほどの赤子が教会の前に放り出された。

 わたしのいた所ではそうだったのだが大都市ではそんなにひどくはなかったらしい。

 話は変わるがこの教会の神父は子供好きで頭の固い男だった。

 教会の前に捨てられた赤子を放置などできるはずはない。

 神父に命じられるままわたしは赤子を拾い集め育てることとなった。

 その時、わたしの脳内でいくつもの点が繋がりひとつの図が出来た。

 わたしが丹精込めて育てた子供をオークションにかけよう。

 もちろん神父に内緒で色々な教育を施して、になる。

 わたしは表だけでなく、裏や闇の方のオークションにも顔がきくし赤子から育てた方が矯正がしやすくていい。

 性商家(男娼としてだけでなく薬師としても働いていた)にもいたし裏が殺し屋だった商家(わたしは表の方で働いていた)に在籍していた時期もある。

 性的な人形も殺戮的な人形も、たぶん作れるだろう。

 ああ、自分でオークションを開いた方が早いかもしれない。

 あっちへこっちへと忙しなく赤子の世話をしながら、わたしの頭は自分でオークションを開く方法を模索していた。

 

 すくすくと赤子は育ち、かれらは専用の訓練を神父に内緒で行っていた。

 流石に山積みになっていた赤子が全て育ったわけではない。

 圧死していたのはもちろんだが弱い赤子は締めて別の赤子の栄養になってもらった。

 世話を進めながら神父へ薬を盛った。

 暗示効果のあるものだ。

 わたしの行う訓練を見ても見なかったことにできるよう暗示を調整するのはかなり手間がかかった。

 まあそのおかげで教会の地下に闇オークション会場ができたわけだが。

 ここで売られるのは赤子から丁寧に育てられ手に職を持ったさまざまな子供たち。

 わたしは伝手で赤子を集め、育て、オークションにかける。

 もちろん気に入ったからと言って人形を手元に残しておくつもりはない。

 むしろ気に入ったものは手放すのが早くなる。

 気合を入れて育てるからだ。

 わたしがするのはつまみ食いだけだ。

 

 

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