メスガキ・ファミリー
「うわー。キモッ♪クサッ♪ちっちゃ♪」
「……うぅ」
何でこんな娘みたいな年齢の女に公衆トイレで裸に剥かれてこんなボロクソに言われなきゃいけないんだ。
「なっさけな~い♪ハーゲ♪デーブ♪チービー♪」
「やめてくれぇ」
悔しい。悔しい。惨めだ憐れだ。
「低収入~低所得~実家暮らし~♪」
「実家暮らしは関係ねぇだろが!」
「ざーこざーこ。クソザコおじさーん♪ゴキブリよりも価値がないうんこ製造機~♪」
もう限界だ。このメスガキ。悪口の語彙力が半端ない。心が折れた。もう好きに言ってくれ。
「J⚪にボロクソに言われて大人として恥ずかしくないの?へへへ。シャッターチャンス!」
「やめろ!やめてくれぇ!」
写メは写メはやばい!撮らないで!いや!動画はもっとダメ……こんなのがネットに流出したら私は社会的に死ぬ!!
「この写真をばらまかれたくなかったらぁ?おじさん私の言うことなーんでも聞いてくれるよねぇ?」
「ぐすん。分かったよぉ。お金なら払うからぁ。もう許してぇ」
「じゃあ……」
・
「ちっちゃ♪キッモ♪くっさぁ~♪」
何で……何でこんな幼女に裸に剥かれてこんな酷いことを言われなきゃいけないんだぁ!
「ざーこ♪ざーこ♪クソザコおじさん子供の裸見じっと見てやーらしいんだぁ?」
「そ……そんな分けないだろ!?」
「怪しいなぁ~♪おじさん動揺しすぎ~♪この事を奥さんに言われたくなかったらぁ……わかるよねぇ……パ・パ♪」
「いい加減になさい!」
「ひぇー」
「ほら!肩まで浸かって50秒ね!」
「パパノリ悪~い」
「全く誰に似たんだか」
言うまでもなく妻だろう。メスガキの娘はメスガキか。まだ幼稚園児なのに半端ない煽り能力だ。
将来が心配でならない。この娘には妻のように脅しで交際を申し込むようにはなって欲しくない。
『じゃあ……私と付き合ってください!』
『え?』
私は私の恥ずかしい写真を誰にも見られたくなかったので今の妻と交際する事になった。
脅迫されて結婚まで行くとは思わなかった。子宝にも恵まれ今では私も三人の女の子の父親だ。もちろん全員メスガキだ。
・
「ざーこざーこ。クソザコお父さん。メスガキ特製のお弁当を惨めに召し上がれ♪」
「ありがとう」
長女も料理がずいぶん上手くなった。いつか彼氏に料理を作るのかなぁ。想像しただけでムカつく。
「一生出世できない永久中間管理職のクソザコパパにお似合いの服よ♪」
次女がアイロンをかけてくれたYシャツはクリーニング屋よりもパリッとしていて着心地がいい。
初めはアイロンの形に焦がしてたのになぁ。いつか彼氏の服をアイロンかけるのかなぁ?
「パパ~♪縛り上げてあげるからいい声で鳴いてねぇ~♪」
三女が屈んだ私にマフラーを巻いてくれた。可愛い。本当に一生パパのそばにいてほしい。彼氏が出来たらパパはそいつを殺してしまうかもしれない。
「いってきまーす」
「ざーこざーこ♪クソザコ旦那様。いってらっしゃいませ♪」
「隙あり!」
「!?」
私は妻に熱いキスをした。妻はキスに弱い。いつもバカにされてるお返しだ。娘たちにガン見されているが知ったことか!
「ふわぁぁぁ。あへぇぇ」
妻はよだれを垂らしながら痙攣して床に膝まずいた。
「メスガキが!」
クソザコ旦那にクソザコ嫁。私たちはお似合いだと思う。