リセットカメラ
忘れたいことがある。
昔いじめられていたこと。仕事で失敗してひたすら頭を下げたこと。憧れている先輩との飲みで、盛大に吐いたこと。あと、日記にポエムを書いていたこととか、恋人と人目を憚らずイチャイチャしていたこととか……。
忘れていたつもりが、不意に思い起こされて自分を苦しめる。
無かったことにしたい過去を、本当に無かったことに出来たとして……。
その行為は、果たして善か悪か、どちらだろうか。
――――――――――
「だからさぁ、コイツが悪いと思わない竜介!?」
「いや、何度も言ってんじゃん! お前が思ってるような意味じゃないって!」
竜介はうんざりしていた。何が楽しくてカップルの痴話げんかに巻き込まれねばならんのだ。と。だが、二人とも自分の大事な親友だ。知らんぷりは出来ない。
出来るだけ穏便に二人が仲直りするよう仕向けられないかと思案するが、その想いとは反対に親友たちはヒートアップしていく。
「俺は! 俺とお前はそれくらい気が合うって話がしたかったの! いい加減分かれよ!」
「そういう話じゃないのが分かんないの!? 付き合ってまだ三か月だってのに、別れた後の話するとか信じらんないんだけど! って話! 竜介も葵ちゃんに同じこと言われたら嫌だよね!」
「だからさぁ……!」
どうやら、暫く思っていることを吐き出させた方が良さそうだ。事の発端は、俺の親友、景虎の一言だった。
「――俺たちってさ、別れた後も普通に仲良くしてそうじゃね?」
これに景虎の彼女、莉緒は激怒した。
「はぁ? なんで別れた後のこと考えてるわけ?」
二人は付き合い始めてまだ三か月。まだアツアツラブラブの時期で、喧嘩もしたことがない。そこへ投下された景虎の一言は莉緒の導火線に火をつけてしまったのだ。
竜介としては、正直どうでもいい内容の喧嘩だ。始めこそ「景虎何言ってんだ」と思ったが、彼なりの愛情表現であったことはもう分かった。
要は、今後二人の間に何かあって別れることがあるかもしれない。それでも莉緒と一緒にいたい。それくらい好きなんだと、そういうことらしい。勿論、別れるつもりは毛頭ない。そして莉緒も怒っているのは景虎が好きだからこそだ。
互いに好き同士な癖に、言い方が悪いだの察せないのが悪いだの下らない言い合いがもう三十分以上も続いている。もはやこいつらは、初めての喧嘩を楽しんでいるのでは? とも思えてくる。しかしまぁ、こういう喧嘩が二人の仲をより深めたりするのだ。見守ってやろう。
「そういえば、来る途中良いもん拾ったんだよ。なぁ竜介?」
お互い言いたいことは言い尽くしたのか、若干熱が引いていくのを感じたとき景虎はそう言った。
「ん? あぁ、そうだったそうだった……よいしょと」
言われて竜介はリュックから、「良いもん」を取り出した。
ゴトッとテーブルに置かれたのは、カメラ。
普通の一眼レフだ。ただ一つ変なのは、普通メーカーの名前があるはずのところが削り取られていること。
こんな高価なものを落として、持ち主は相当焦っているに違いない。誰かが盗んでしまってはいけないので、飲み会から帰るついでに交番に届けよう。そう二人で話して拾ってきたのだ。
「もう充分分かった。お前が俺と別れたくないこと。俺も同じ気持ちなんだ。だからほら、これで写真撮って仲直りしよう」
「いや、写真撮るってこれ拾いもんだし、勝手に使っちゃマズイだろ」
「届ける前に、ちょこっと写真撮るくらいわけないっしょ。仲直りの証に一緒に写真を撮ってさ、お互い好きって証明! な!」
「まぁ、トラがどうしてもっていうならいいけど……」
喧嘩にも疲れてきて、景虎に別れるつもりが無いことも分かった莉緒。そうすぐに素直になれないが、まんざらでもないらしい。前髪を整えはじめた。
(何を見せられてんだ俺は……)
景虎は変にロマンチストというか、たまにキモイ(誉め言葉)ことを平気で言ったりする。
(なんだよ、好きって証明って……。ともかく、この地獄から解放されるならカメラマンでもなんでもやってやろうじゃないか。景虎はいい親友を持ったな)
ようやく終焉を迎えた痴話喧嘩にホッとしつつ、竜介はぐっと後ろに体重をかける。顔の赤い二人を画面に収めパチリと写真を撮った。
瞬間、竜介は奇妙な違和感を覚えた。
なんというか、ラグ、のような感覚。パソコンが重たい作業を処理するときに起こる、画面が一瞬止まるような、そんな感覚。見えている景色が、レンズの向こうの二人が、それを写す自分が、世界が、一瞬だけラグった。
「あれ……。君、だれ?」
「えっと……。竜介のお友達?」
――景虎と莉緒は、互いの記憶を全て失った。
――――――――――
次の日竜介はバイト先で奇妙な光景を見た。昨日までアツアツでラブラブだった景虎と莉緒が、チラチラと初々しい様子で互いを伺ってたのだ。かと思えば、急に意気投合して盛り上がって話し込んだりして……。
竜介が拾ったものは、写った人間同士の記憶を無くす、というものだったのだ。
「竜ちゃん~。あの二人なんかあったん? 昨日一緒に飲んだんでしょ?」
おかしな二人を見ていると、後ろから店長に声をかけられた。長くて黒い髪をまとめ、スラリと伸びた手足が素敵な、大人のレディといった第一印象の人。
ここはあえて、第一印象と言っておく。竜介は、こんな綺麗な人が、焼肉屋のエプロンをしているのがなんとも不思議だった。
「さぁ……。何があったんでしょうね……」
「もしかして……飲み会の後に……? 二人とも初めてだったんかなぁ……。ふふ、微笑ましいなぁ」
「店長……。下世話ですよ」
「冗談やって! 竜ちゃんは堅いなぁ!」
そういって背中をバシバシ叩かれた。もう半年も勤務しているからか、元からこういう性格なのか、この人は遠慮というものが無い。
「痛い。痛いっす、店長」
「あっはっは! じゃ、今日も仕事頑張ってくれ~」
「うぃーす」
その日の夜、景虎から連絡が来た。
「昨日竜が紹介してくれた子、めっちゃいい子だな! 大学もバ先も一緒とかマジ運命みたいじゃね?」
メッセージには、景虎と莉緒のツーショットも添付されていた。あのカメラで撮ったものじゃない。きっと今一緒にいて、自分のスマホで撮ったのだろう。普通の写真だ。それを見て、竜介は胸の奥がズキリと痛んだ。写真とは、思い出を残すためにあるはず。なのに思い出を全て壊してしまうなんて、なんて恐ろしいカメラだろうと。
そして、そのシャッターを押してしまったのは自分なのだ。親友と、その彼女の思い出を、自分が全て消し去ってしまったのだ。
二人は気づくはずだ。自分の携帯に、憶えの無い写真が大量に残っていることに。誰かが、何かが自分たちの記憶を奪ってしまったのだということに。
怒られるだろうか。失望されるだろうか。ずっと親友でいられるだろうか。ともかくこのカメラはしばらく自分が持っておこう。誰かの手に渡ったらと思うとゾッとする。竜介はクローゼットの一番奥にそれを押し込んだ。
「葵にはこんなこと言えないな……」
ふと、つき合って二年半程が経つ彼女の顔が浮かんだ。
――――――――――
それから三か月が経った。竜介の心境を知ってか知らずか、景虎たちはあっという間に付き合い始め、以前よりもずっと二人の世界に没頭していった。
憶えの無い写真のことを聞くと、最初は変に思ったけど今は気にしていないらしい。
「なんというか、俺たちが前も付き合ってて、記憶を無くしたのかなってことは想像がついたよ。ちょっと信じられないけど。でも、それって別れる理由にならないっていうかさ。むしろ、記憶が無くなったのにまた付き合い始めるなんて、ちょっと運命的でよくね?」
怖かった。何か言われるかもしれない。親友でいられなくなるかもしれない。だが、なるほど。返ってきた答えはいかにも景虎らしいものだった。二人は自分たちが恋愛映画の主人公のような気分なのだ。だからこそ、燃える何かがあるのだろう。
そんな二人の様子を見て、竜介は別の考え方が浮かんできた。それは悪魔のささやき。倫理的に間違っているかもしれない正義感。自己の正当化。
しかし、罪の意識に苛まれる竜介には、それに完全に抗うことも出来なかった。
(もしかすると、俺がやったことは完全に間違いでも無かったかもしれない。出会い方が変われば二人の運命も変わる。自分が二人の記憶を消してしまったことで、二人はより幸せになれる道へ進んだのではないか?)
おかしい考えだということは分かっている。運命なんて存在しないし、事故とはいえ二人の思い出を消した事実は変わらない。
だが、そう思わずにはいられないのだった。そう思わないと、何食わぬ顔で二人の前に立つ自分を嫌いになってしまいそうだったのだ。
――――――――――
隠し事を完全に隠し通せる人間は存在しない。竜介も人間だ。抱えきれない感情を、ついに酒の勢いで吐き出してしまった。
景虎たちのリセットから半年が経った、二月のことだった。
店長に飯でも行かないか、と誘われてシフト終わりに焼き鳥屋に来たときのこと。
その日は忙しかった。受験が終わるシーズンだからか、単なる偶然か分からないが想定以上の客が押し寄せた。朝十一時から午後五時までだったシフトは四時間も伸びた。
疲れ、酒、時間経過による気のゆるみ。相手が信頼のおける人だったのもあるのだろう。竜介は自分でも驚くほど口が回った。時効など存在しないだろうに。懺悔でもするかのように。
店長はその話を真剣に聞いた。にわかには信じられないが、事実として半年前の景虎と莉緒はおかしかったのだ。
「そのカメラってさーぁ、まだ竜ちゃんちにあんの?」
「ありますよ。誰かの手に渡るのも怖いので」
「そっかぁー。まだあるにはあるのね……」
「動くか分かんないですけど……」
問答しながら竜介は、嫌な流れを感じていた。つい話してしまった。相手は自分よりも大人で、倫理観もしっかりしていて、きっと自分を諭してくれるのではと思っていた。これからどうすべきか道を示してくれるかも。もしくは、こんな自分を厳しく罰してくれるのではないかとも思っていた。
「私にもさぁ……忘れたいことがあんのよね……」
焼き鳥を串から外しつつ、店長はらしくない顔で呟いたのだった。
――――――――――
私の母はキラキラしたものが好きな人だった。周りは可愛いぬいぐるみや、ピンクのもので埋め尽くしてないと気が済まない人だった。私は物心つく前から可愛く着飾られていた。父親は始めからいなかった。十八歳で黙って家を出た私だが、母からその男の話を聞くことは無かった。
そんな母は、私に姫と名前を付けた。
どうしても可愛い娘に育てたかったのだろう。ピンクのフリルが付いた服ばかり着させられ、やんちゃざかりで、遊びに行くたびに泥だらけになる私に公園遊びを禁じ、女の子らしくない行動を厳しく咎められた。ママ以外の呼び方も禁止された。他の子と遊びたくて仕方無かったが、幼い私にとってママの言うことは絶対だった。
当然……なのかは分からないが、私は少しずつそれに反発するようになった。小学生五年になる頃には、自分の環境がオカシイことにも完全に気づいていた。
早めの反抗期が来た私は、母の忠告を無視して毎日のように友達と公園で遊び、中学に入ると陸上部に所属した。家に帰らなくていい理由が欲しかったのと、陸上部ならたいして金もかからないと思ったからだ。
私が泥だらけになり日に焼けて帰ると、母は毎日毎日発狂した。ヒステリックな金切り声が嫌いで嫌いで仕方なかった。煩くて煩くて仕方なかった。
しかし、一応部活に必要なお金を出してもらっているという意識はあった。そして、なんとかあの金切り声を聞かなくて済む方法は無いかと考えた私は、最低限、家の中では可愛く着飾ることにした。
打算も正直あった。私は母にあまり似なかったせいで、目も切れ長で手足も伸び、もうピンクのフリルが似合うことは無い。鏡を見て絶望した。この恰好で母の前に出るなんて地獄よりも地獄。屈辱的だ。だがこれを見れば、あの頭がオカシイ母親も目を覚ますかもしれない。
淡い期待を胸に抱えて部屋から出ると、母はこれでもかと歓喜した。絶望的に似合わないピンクのフリルを着た私を見て、泣いて喜んだ。今度は姫ちゃん可愛いねぇと毎日言うようになった。
このとき、私は十三歳にして理不尽な大人との付き合い方を学び、母を家族だとは思わなくなった。私を産んだ過去をもつ頭のオカシイ女。それが私の母親だ。
もう私の居場所はグラウンドにしか無かった。ただただ走り、風を感じ、走り、地面を蹴って、蹴って、蹴って、走って、走って、走って。
全部全部出し切ってグラウンドに横たわる。放課後のグラウンドの真ん中で、空と大地を独り占めする感覚が大好きだった。誰にも支配されない。気を使う必要もない。自由で、ありのままの自分がそこにはあったのだ。
泥だらけ、汗だらけになった私は必ずシャワーを浴びて帰宅する。家の近くまで来るとピンクのリボンで髪をツインテールに結ぶ。スイッチを入れ戦場のドアをくぐる。
中学三年間を、ほぼ毎日、私はそうやって過ごした。
一日でも早く家を出たかった私は、高校に入ってからは部活には入らずアルバイトを始めた。
初めての給料を貰って最初の休日のことだった。母は私の給料で勝手に、私の服とメイク道具を買いそろえた。これが正しいお金の使い方なのだと。女は可愛くあるべきだと。可愛いは正義なのだと。私の為に雄弁に語る母を、私はただただ、虚ろな目で見ることしかできなかった。
悲しいし、辛いし、私が私であることを毎日毎日否定される。
私が着たい服も、やりたいことも、なりたい職業も、恋も、全て母に支配された日々。地獄のような毎日。段々と生きている意味が分からなくなってくる自分を感じて、なんとか早く家を出られないかと画策した。だが、十六歳の私が、親の庇護下を離れ一人で生活することは叶わなかった。
就職が決まり、高校を卒業したその日に、すぐに家を出た。家を出るとき母に相談することも無かった。ようやく解放されるかとおもうと、何年振りかという胸の高鳴りを感じた。分からないことだらけの一人暮らし。社会人一年目の苦労。たしかに辛かった。失敗ばかりで沢山怒られたし、就職したのは小さな会社で、理不尽で、器の小さいオジサンたちとの関わりに腹を立たせることもあった。
それでも、母から解放された喜びが私にはあった。あの日々に戻るくらいならこっちのほうが幾分マシだと思って乗り越えられた。
夜の街で働くこともあった。アルバイトをいくつも掛け持ちして生活することもあったし、父親がいなかった私だ。碌でもない男に振り回されて貯金を殆ど失ったこともあった。
それでも母の元に戻ったり、縋ったりしようと思うことは無かった。
ようやくマシな就職先が見つかった。今の焼肉屋だ。楽しいし、それなりに充実もしてる。煙草とお酒はやめられないけど、私が私であることを感じられる。
ただ、それでも。今でも。もう家を出て十年も経つのに、未だに私の頭の中には母親が住み着いている。私が可愛いと思ったものを、私の中の母が肯定したり否定したりする。たまに買い物をしに出掛けても、可愛いものからは全力で逃げてしまう自分がいる。
呪いに近い。気にしない方がいい。だが、染み付いて取れないのだ。時には可愛いものを楽しみたい。癒されたい。そのたびに母が頭にチラついて嫌な気持ちになるのだ。
書類に名前を書くたびに、会社で名札を下げるたびに、姫という名前と母が結びついて離れないのだ。
こんな記憶、無い方がマシだとは思わないか?
――――――――――
竜介と店長は、店長の実家の前まできていた。
「……と、いうわけで、納得してくれた?」
「……」
ここにくるまで、店長は自身の過去を聞かせてくれた。あと少しで消えてしまう記憶を。その残滓だけでも現世に残すかのように。それか、追悼するかのように。
竜介は頷く他無かった。いつもヘラヘラして、煙草をふかしながら飄々としている店長。ずっと残念な美人だと思っていた店長が語った過去は、竜介の想像をたやすく超えたものだった。
「じゃ、行こうか」
迷いなく店長は家の鍵を開け、中へ入っていった。
「え、っと、ちょっと大丈夫なんですか? 断りも無くいきなり入っちゃって」
「大丈夫でしょ。一応私の家なんだし」
いつになく棘のある口調の店長。緊張しているのだろうか。十年ぶりの母との再会に。嫌な場所として刻み込まれたこの家に。
玄関の中は、ファンタジーの世界だった。ピンクの装飾がこれでもかと散りばめられ、ぬいぐるみが竜介たち二人を見つめていた。
リビングへと続く扉まで歩く。扉の前についた店長はフッと息を吐いてノブを回した。
「ほら姫ちゃん? お母さんとご飯食べましょうね?」
「「……」」
中にいたのは、なんというか、派手な格好をした女性と……。女性と、人と同じ大きさの女の子の人形だった。
店長の母は、その人形を姫ちゃんと呼び食卓に座らせ、ごっこ遊び……なのだろうか。をしていた。
「あんた……」
「だ、誰!?」
店長の母親は、突然やってきた竜介たちに驚いている。
(どうしよう、説明した方がいいかな……?)
そう思った矢先、店長の母は動き出した。
「姫っ……姫ちゃんなの!?」
食卓の料理も、椅子も、『姫ちゃん』も勢いよく跳ね除けて店長に飛びついた。
「ずっと……ずっと心配してたのよ……」
「……」
「……私、育て方を間違えちゃったのね」
「……っ!」
急激に温度が下がる感触が竜介を襲った。店長の表情はここからは見えない。ただ、全身が強張ったように見えた。
(それは……っ)
竜介が何か思うよりも前に、もっと早く店長の怒号が飛んだ。
「早くしろ竜介!」
「えっ、でも!」
「もう沢山だ! 全部全部! 私が何したっていうんだ! 私は、私は、もう自分らしく生きたい……。もうあんたに縛られたりしない! あんたの元になんて生まれなきゃ良かったんだ! 早く撮れ竜介!」
「何を言ってるの姫ちゃん……?」
「早くしてくれ! もう耐えられない!」
普段の店長からは想像もつかない声色に気圧され、慌ててカバンからカメラを取り出して構える。
レンズを除くと、肉眼では見えなかった二人の表情がはっきりと見えた。店長と、そのお母さんと。
竜介はシャッターを押した。
前回と同様、世界にラグが生まれた。全てが硬直する。コンピューターが膨大な情報を処理するように。
「……」
竜介は、状況をよく分かってない二人を引きはがし、店長を連れて変な騒ぎになる前になんとか家を出た。
後ろの方でヒステリックな金切り声が聞こえる。
「誰!? 誰よあんたたち! 勝手に人の家に入ってきて! 通報しますからね!」
――――――――――
「私、なんで人ん家にいたんだ?」
帰り道で店長は竜介に聞いた。
「……僕もよく分かってなくて。気づいたらあそこにいました」
とても説明する気にはなれなかった。それに、説明する意味があるのかもわからなかった。きっと、知りたくないだろうし。
「不思議なこともあるもんだなぁ~」
「そうですね」
帰り道、竜介はうまく喋ることが出来なかった。
電車の中で、夕日に照らされる横浜の街を見ながら、歴史の中に消えていった『姫』たちに想いを馳せる。
彼女たちは、何を思い生きていたのだろう。生まれたときから立場と責任に縛られ、生き方も選べず、『姫』であることを強要されて……。
現代の姫には、どうか、自分らしく生きて、幸せになって欲しい。
――――――――――
次の週、竜介がシフトに入ると店長は楽しそうに働いていた。更衣室で着替えていると外から会話が聞こえてくる。
「店長なんか最近元気になりましたね!」
「分かるぅ? こないだめっちゃ可愛い熊のぬいぐるみを見つけて衝動買いしちゃったのよぉ」
「へぇ~、なんか以外ですね。そういうの興味ないかと思ってましたけど」
「そうなんだけど、なーんか欲しくなっちゃってね。あの子がいれば、エリアマネージャーの圧にも負けず頑張れそう!」
「癒しは大事っすもんね!」
二つの成功体験は竜介の、悪魔的な考え方をより強くした。もしかすると、記憶を消すというのは悪いことばかりじゃないかもしれない。
関係を一度リセットすることでより深い仲へと発展した景虎と莉緒。いわゆる毒親との記憶を消すことで、自分らしく生き始めた店長。
確かに倫理的に良くないことかもしれない。だが、忘れたほうがいいことだってきっとある。そうした方が幸せになれる人は沢山いるはず。
(俺にも人の為に出来ることがあるんだ。俺にしか出来ないことがあるんだ……。)
――――――――――
揺れる電車の中。竜介は葵と二人、並んで座っていた。
時刻は十一時。三月に入って寒さは和らいだものの、夜はまだまだ冷え込む。座席の下のヒーターが心地よい。
殆ど終電だからだろうか。この車両は貸し切り状態だった。
「今日は楽しかったねぇ」
「お。楽しんでもらえたなら何よりだよ」
「もちろん! 色々準備してくれたみたいで、嬉しかったよ。ありがと……」
そう言って葵は、自分の頭を竜介の肩に預ける。準備とは、そう。今日はホワイトデーだったのだ。
竜介は二日前、デパ地下で小さなお菓子を何種類も買っておいた。それを今日、デート中の色んなタイミングで小分けにして渡してきた。
待ち合わせ。ランチを済ませたとき。水族館を回る途中。その後のカフェ。時間を潰す為に訪れた本屋。
最初は「これお返し」とそっけなく渡していたが、「お嬢さん、落とし物ですよ」とか、「店員さんがぜひ葵に食べて欲しいって」なんて冗談めかしてふざけてみた。
葵はそのたび喜んで、はじけるような笑顔を見せてくれた。口を大きく開けて、でも可愛らしいその顔が竜介は大好きなのだ。
今は、予約していたお店で夕飯も済ませ、電車で彼女を送っているところ。
「リュウちゃんなんか大人になった?」
すぐ耳元で、葵がそうつぶやいた。そうかもしれない。人の人生に立ち会って、罪の意識を感じたり、人の役に立てたのだと感じたり。そういうことを経て、何か成長できたのかもしれない。
半年の間ずっと胸に抱えたもやもやが、スッと溶けていくのを感じた。
「そういわれたら、なんかめちゃくちゃ元気出てきたな!」
「あれー? なんか今度は子供っぽくなった?」
「なんでやね~ん。ところでこれ、見覚えあったりする?」
「ん~? なに~?」
竜介は葵の頭を揺らさないよう気をつけながら、自分の鞄を漁り『あるもの』を取り出した。
「アルバム?」
「そう。今日の最後のプレゼント。高価なものは用意出来なかったから……。どう?」
「りゅうちゃん……」
竜介の位置からは、葵の表情は見えない。チラッとでも、可愛い顔を眺めようと首を伸ばすが、見えるのは実習の為に黒く染められた髪だけだ。ふわりといい香りが漂ってくる。電車に乗る前にトイレで香水をふったのだろうか。さりげない気遣いが自分の為なのだと思うと、むず痒い気持ちになる。
「これ……。毎日見てる……。実習とか課題とか、看護は大変なことばっかりだから、辛いときこの写真見てるよ……」
葵の声は震えている。ズビビビッと鼻をすする音も聞こえる。ゆっくりとページをめくりながら、写真に添えたメッセージを葵の頭が追っている。
(よろこんでくれたみたいだ……)
竜介は顔を覗き込むのをやめ、車窓の向こう、横浜の夜景に目を向ける。が。
「……もう!」
「はは。ごめんて!」
電車の窓には二人の姿がバッチリくっきり写っていた。
竜介は、黒いキャンバスに写った幸せそうな顔を脳裏に焼き付けた。
――――――――――
それから三か月の間、竜介は人の為にとリセットカメラで写真を撮りつづけた。
忘れたい過去を持つ人は、自分が思っているよりも遥かに多い。そう感じる。飲み会でさりげなく、出来ることなら忘れたい過去はあるのかと聞けば誰もが口を開いた。例えばいじめられた過去。忘れたくても忘れられない元恋人とか、単なる黒歴史だとか。
中には、「あれがあったお陰で今の自分がある」と言う人もいた。それはそうだろう。
だが、自分を前に進める為に忘れたいこと、糧になる以前に、単純に恥ずかしかったから忘れたいこと、というのは万人共通して持っているようだった。
そういう話をしたりされたり、はたまた全然違う話で盛り上がったり。先輩や後輩、バイトの仲間。彼らと頻繁に食事に行き、竜介はさりげなく忘れたい過去を聞き出した。
酔いが少し回ってきたあたりで、記憶を消すカメラを拾ったと話を出せば、意外と皆食いついた。あんまり真剣に話しても引かれてしまうので、冗談めかして言う。
本物なんだったら撮って欲しいと言われれば、すぐに約束を交わし、後日、本人と写真を撮りに行くのだ。
そうして写真を撮りに行くと。いや。記憶を消してしまうと、当然、消さない方がよかったように見える人も出るかと思った。が、そういうことは無かった。
例えば元いじめっ子と写真を撮った先輩は、以前よりも自信を持ってハキハキ話せるようになったし、元カノと写真を撮った後輩は結局よりを戻した。
出会うのがもっと遅ければ別れることは無かったかもしれない。そういう恋愛だったのだろうか。例えば、経済力とか、受験とか、家庭環境とか。そういう条件が変わってから出会えば全く違った恋模様になるのだろうか。
リセットカメラを使うことは、快感だった。シャッターを一つ押すだけで、簡単に人助けができるのだ。なんの才能も無い自分がだ。
多くの大人、特におじさん達は説教によって若者をより良い方向へ導こうとする。基本的にありがた迷惑なのだ。だが彼らはやめない。見栄もあるのだろうが、誰だって誰かの人生の恩師になりたいのだ。あなたのお陰で人生が変わったとか、生き方が変わったとか、そんな風に言われたいが為にオジサンたちは今日も人生は何たるかを大仰に語って回るのだ。
自分は違う。確かに、自分は人生を一変させる。が、恩師だと思われたいとか、感謝されたいなんて感情は無い。ただのボランティア。縁の下の力持ちというか。とにかく、そういう人知れず人助けをするのが粋なのだ。
下心無く、ただただ、自分の周りの人たちには幸せになって欲しいだけなのだ。
――――――――――
「最近周りで話がかみ合わないことが多いんだけど……リュウちゃんなにか知らない?」
「嚙み合わないってどんな?」
毎度のごとく、葵を家まで送っていく途中。葵がふいにそんなことをこぼした。
今いるのは公園。駅と彼女の家のちょうど真ん中にある小さな公園だ。竜介たちはよく葵の門限ギリギリまでここで話をして、中々帰ろうとしないのだ。
「うん。なんかね、友達が昨日まで元カレのことで悩んでたのにスッカリ元気になってたりとかして……。それはいいんだけど、本当に何も元カレの記憶が無いみたいな感じ……? 踏ん切りが付いたとか、そういうんじゃなくってね……」
ヒヤリとした。あまりに急だったので、竜介はとっさに誤魔化した。
ぬるい風が頬を撫でる。梅雨前のじめっとした空気が竜介たち二人を包み込む。
「いや、何も知らないけど……」
「ホント? でもね、そういう人が周りに何人かいて、みんなリュウちゃんと会ったって言ってて……。リュウちゃんが何かしてるとは思ってないけど、何か悪いことに巻き込まれたんじゃないかと思って……」
「……」
悩んだ。これは困ったことになった。今まで彼女には何も言ってなかった。それは言う機会が無かったのもそうだし、きっと信じてもらえないだろうと思ったのだ。
でも、周りにそういう事例がある今なら、信じてもらえるかもしれない。今までどういう理由でどんな人の過去を消してきたのかとか、そういう経緯もキチンと説明すればきっと分かってくれるだろう。
なによりも……。なによりも、葵にだけは隠し事はしたくない。正直でいたい。そう思って、全てを打ち明けることを決意した。
葵は静かに竜介の話を聞いた。驚きも、喜びも悲しみも、それらの感情を見せず、ただ真剣な顔をして聞いた。
このカメラによって自分がどれだけ素晴らしいことをしたか、自分がしたことによって、記憶を消した人がどれだけ幸せになったか。前向きになったか。過去に縛られることが無くなったかを語った。景虎と莉緒のこと、店長のこと、昔いじめられていた先輩、元カレとよりを戻した後輩。その他にも、必要ない過去を忘れたことで一歩前に進む人たちのこと。
葵はピクリとも表情を動かさなかった。
――――――――――
目のまえにいる人は誰だろう。本当に私の恋人だろうか。理解できない持論を熱く語る竜介を見て、葵はそんな錯覚を覚えた。
記憶を操作する? 関係をリセットできるカメラ? そんな荒唐無稽な話を信じられるはずがない。
そんなことが出来るのはおとぎ話の中だけのはずで、現実でそんなことを吹聴して回るなんて『頭のおかしい人』に他ならない。
だが、そんなことを大真面目に語っている目の前の人は私の恋人なのだ。もう三年も付き合っている。それなりに長く、それなりに深く知っている人物なのだ。
優しくて、気遣いが上手で、毎回デートの度に家の下まで送ってくれる。サプライズも毎回手が凝っているし、私のことが大好きで仕方が無いって顔が可愛い竜介。
そんな、私の、大好きな竜介はどこに行ってしまったのだろうか……?
とはいえ、彼の言っていることを完全に否定できるか、と言われれば葵は無理だとも思っていた。
そして、理解してあげたいと思う自分もいる。
事実として、自分の周りで記憶を消された人がいる。一瞬だけ、皆が口裏を合わせて私を騙しているのかと思った。そんなことするわけない。って信用はあったけど、それすらも今や分からなくなってきている。そんなことする必要、ないよね……?
「リュウちゃん、どうしちゃったの……?」
どうにか声を絞り出した。涙が一緒にあふれ出てきた。悲しいとも苦しいとも感じてない。ただただ分からない。竜介の言っていることも、どうして涙が出てくるのかも分からないが、とにかく涙だけはとめどなく溢れた。
「え?」
竜介は理解が追い付いてないような顔と声で驚いた。
「ど、どうして泣いてるの……?」
「分かんない。分かんなくなっちゃった……」
「えっとね、つまり人助けの為にやってるから、心配しないで欲しいっていうか……」
しどろもどろになりながらも、彼は必死に自分に説明してくれる。
「……うん。そうだよね。リュウちゃんは人助けの為に頑張ってるんだよね……」
「そう! そういうこと! だから変なことに巻き込まれても無いし、怪しい仕事? とか宗教とかでも無いし! ね! 大丈夫だから!」
分かっていることはある。それは、竜介が本気で人助けの為に頑張っていたらしいということ。
……ただ、得体のしれない不気味さと、記憶を操作するという行為自体への嫌悪感はどうしても拭えない。なによりも気になるのは……。
「リュウちゃんは、その店長さんのお母さんからも話を聞いてあげたの――?」
――――――――――
「リュウちゃんは、その店長さんのお母さんからも話を聞いてあげたの――?」
葵がようやく竜介の説明を飲み込めてきたとき、思いもよらない疑問が彼女の口から飛び出した。
それには当然こう答える。
「いや、聞いてないけど?」
それに対する葵の返答は、またもや竜介の思いもよらないものだった。
「え、なんで?」
「なんでって、聞く必要あったかな? シャッターを押すことはもう決めてたし、店長も辛そうだったから聞く余裕が無かったってのもそうだけど……」
「必要あったかじゃないでしょ!? 大事なことじゃない!」
葵が今まで聞いたことの無いような声を出した。
「いやいや! 店長の話を聞いたらどれだけ嫌な親か分かるでしょ! なんでその人の言い分も聞かなきゃいけないわけ!」
「そんな……そんな考えで、ボタン一つで簡単に人の記憶を消しちゃったの……? 本当に……? よりを戻したっていう後輩の子も、相手の男の子の話を聞かずに記憶を消しちゃったの⁉」
「……あぁそうだよ! だからなんなんだ急に叫んだりして! 何もおかしいことはしてないだろ⁉ 困ってる人がいたんだから手を差し伸べる。それだけのことなんだよ!」
「相手の男の子は、忘れたくなかったかもしれないじゃない!」
「……!」
「店長さんのお母さんだってそうだよ! 忘れたくないから、お人形に娘の名前を付けて一緒に暮らしてたんじゃないの⁉ 女の子は、可愛くないってだけでずっとずっと苦労するの! どんだけ勉強が出来て、運動神経が良くていい子でも、可愛くないってだけで沢山沢山傷つけられて生きてるの! だから……」
「だからって、あの母親のやり方はおかしいじゃないか! 葵はあれが正しかったって言うのか⁉」
「違う! そういうことじゃない! ……でも、最後に言ってたんでしょ? 育て方を間違えたって」
「それは……」
「お母さんだって、謝りたかったのかもしれないでしょ……。親だって人間なんだから失敗するんだよ……。一人で子供を育てるのは簡単なことじゃないよ……。お母さんだっていっぱいいっぱいで、子供の為にずっとずっと考えてたんじゃないの……? 一日中働いて、娘が家にいる時間だけでも家にいたかもしれないでしょ……? そういう想いをリュウちゃんは踏みにじったんだよ……?」
「……だとしても、店長があの母親を許す日は一生来なかったと思うよ。俺は正しいことをしたと思ってる。結果的に、忘れられたお陰でいい方向に進んだんだ。向こうがどんな気持ちだったとしても、子供の頃に刻まれた心の傷は癒えることは無いんだよ。過去は消えないんだよ。だったらせめて、忘れてしまった方がいい……」
そうして沈黙が二人を包んだ。お互いに言いたいことを出し切った。夜の空気はぬるいが、互いの間にある僅か数センチの隙間は張り詰めている。
門限を過ぎてしまったのか。沈黙の中で葵が携帯で親に連絡をとる。公園の真ん中にある街灯が、小さな滑り台を不気味に浮かび上がらせている。その横を、終電で帰ってきたのだろうスーツの人たちが数人横切っていく。皆驚くほど速足だ。
葵と竜介の考え方は平行線をたどった。
葵は、頑なに自分の考えを変えず間違いを認めようとしない竜介に違和感を覚えた。彼はきっと、自分の正義に酔っているのだ。正義を貫くためには、悪は完全な悪でなければならない。だから、悪役にも人の心があったことを認められない。それを認めてしまったら、勧善懲悪物語は根本から揺らいでしまう。
気付いてほしい。自分が犯したことの愚かさに。残酷さに。元の優しい竜介に戻って欲しい。
でもきっと、もう無理かもしれない。
竜介は、正論や理想論で語る葵に堅苦しさを憶えた。
感情は確かに大切だ。しかし、人がより良い方向へ進むためには感情を排した行動も不可欠なのだ。
自身を縛り付ける過去があるのなら、さっさと忘れて次のステップに進んだほうがいい。実際、被写体になった人たちは前よりも幸せそうだ。
飲み会で「考えすぎじゃない?」とか「忘れたほうがいいよ」なんて言葉を何度聞いてきたことか。
そして加害者に同情する必要は無い。罪には罰が必要なのだ。
これから社会人になっていく自分たちは、新しいものに寛容でなければならない。柔軟でなければならない。なぜ葵は分かってくれないのか。
「……分かった」
竜介は不意に立ち上がり鞄の中をごそごそと漁りだす。
「……何してるの?」
「……決まってるだろ。やり直すんだ」
鞄から取り出したのは例のカメラ。メーカー名が入っているはずのところが削りとられたカメラ。シャッター一つで他人の運命を大きく変える、リセットカメラ。
「やめて……来ないで……!」
竜介はカメラを片手に一歩一歩と葵に近づいていく。
「もうここまで来たらやり直せない。互いに意見を譲る気が無いんだ。別れるくらいならいっそ、記憶を消してやり直そう。次はうまくいくかもしれないだろ?」
「いや! 忘れたくない! 来ないで! あっち行って!」
「暴れるな! 大人しくしろよ!」
「嫌だよ! なんで! リュウちゃんは忘れたいの⁉ 三年間の思い出全部全部……!」
「嫌に決まってるだろ! でも仕方無いんだよ! こうする以外に方法が無いんだよ!」
ベンチに座り身を固くする葵の腕を掴む。葵は必死に振りほどこうとするが、そうすればするだけ、竜介の手には力が込められていく。
「それは誰かの為⁉ 違うでしょ! ねぇ来ないで!」
恐怖に歪んだ顔で葵は必死に叫ぶ。
「嫌! 戻って……! 優しいリュウちゃんに戻って……! お願いだから……」
嫌がる葵を見て、竜介の頭に、あるセリフが浮かんだ。いつか親友が言っていたクサいセリフ。
今の状況にはあまりにも場違いなセリフだ。
(仲直りの証に写真を撮ってさ、お互い好きって証明……だったっけ……。皮肉だな……)
――――――――――
「ただいまー」
家に帰ると、心配そうな顔をして母が出てきた。
「おかえり。大丈夫? 竜介君と何かあったの?」
葵は、変なことを聞くのだなと思った。
「竜介って、誰?」
読んで頂きありがとうございます。
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この短編は、2022/2/13日に行われる「文学フリマ広島」というイベントで
販売予定の冊子「かくし味は噓」に収録されます。
同人即売会というもので、プロアマ問わない色んな作家たちが自費で刷った小説を販売しているイベントです。
(コスプレの無い小さなコミケ、と言えばわかりやすいでしょうか)
私の小説が初めて本として、商品として、形をなす初めての機会です。
記念に買って頂けたらとても嬉しいです。
作品には描かれなかった裏設定などをまとめた、読み応え抜群のページも用意しています。
お近くの方、入場無料ですので是非お立ち寄りください。
当日は広島産業会館東展示場 ブース位置『D-07』でお待ちしております。
他に収録予定の「かくし味は噓(旧タイトル:サヨナラさとみさん)」と
「遥」を読んだことのある方も是非、応援して頂ければなと思います。
(この二本は、webサイトには投稿していません)
(追記:2/05)
今月14日に行われる予定だった文学フリマ広島ですが、新型コロナウイルスの影響で延期となりました。
開催日は4/17日になります。
延期となりましたが、青葉たつが出店予定であることに変わりはありませんので、4/17の文学フリマ広島に是非お越しください。
お待ちしております。