友達
その日はバイトをしていた。あの後仲良くなった女の子?の幽霊と話すことが多くなった。
旅館の清掃活動のバイトだ。彼女はいつもそばにいるようで話しながらつまらない作業をこなしていた。
彼女と話すのは楽しくて、バイトの時間も忘れてしまうくらいだった。
「コバヤシ君!次はここね」
「はい。わかりました」
ベットシーツの交換、枕を整えたり、掃除機をかけたりそんな作業を数時間。
「周なんでこんなことしてるの?」
「つまらないけど、やらないとお金もらえないんだ」
社会活動、働くという事。社会人としての当然のこと義務だ。
まあ大して賃金も稼いでいないから貢献できているかはいまいち実感できないが。
「周好き!」
「あ。えっと・・・」
こういう時に素直になれないのが周の良いところ・・・。
とか思っているのだろうか。
素直に口に出せないところは悩みの一つだが、でもこんな風に思う自分も嫌いじゃない。昔から俺は変わり者だ。
「ありがとう」
お礼を口にする。そうすべきだと俺は思うから。
「部屋の中、覗けたりする?」
「なんで?」
「幽霊なら出来るのかなって思って」
「わかんないけどやってみる」
「・・・」
一瞬の合間、彼女を待っていると話しかけられる。
「あそこの部屋、人がいないみたい」
「よし、じゃああそこ掃除しに行ってみよう」
一応ノックして静かに部屋を開けてみる。
確かに清掃している他のバイトもお客さんも見当たらない。
「ほんとだ」
「すごいでしょ」
「そういえば名前って何て呼べばいい?」
「なんでもいいよ」
「君だから・・・ミキ、でいい?」
「それでいいよ」
_______そんなこと、言われたことなくて私はドキドキした。