661/725
龍の首を射落とした者
人族の世界で、龍の首を射落とした者
それは、勇者である
『やった!』
と、彼は思った
彼の心の中で、自分は勇者である
人型の少女は、助け出す為の『囚われの姫』であった
『囚われの姫』からの、感謝と賞賛
『私は、龍に囚われていただけなのです』
という言葉を期待した自分は、あまりにも『世間知らず』であることを思い知る
『囚われの姫』は、囚われてはいない
少女は、戸惑いもせず『龍の首』に向かって,飛んだ
そして、その首を抱えると
美しいピンクゴールドの髪を輝かせ、
慈しむように『龍の首』を抱えると、そのピンクゴールドの髪で繭を作った
呆気に取られる我らをよそに、転移していく
ただ、その一瞬に向けられた殺意
その殺意の先は、確かに、龍を射た『自分』に向けられたのだ
と思った




