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スコーピオの女王 その4
「其方の意見など要らぬ」
スコーピオの女王は、退屈そうな顔で
「この者と、このもので良い」
「流石、と言いたいところですが」
その言葉を知って打ち消す、横やりを入れるのは
エベスだ
「確かに毒の力及び、使い方においては素晴らしい者ですが…」
忌々しいかの様な笑顔で、エベスは言う
「それでは…此方にまで、来て頂いた意味はございませんね?」
「どうぞ、この者をお試しください」
エベスの推しは、トカゲ族の少女であった
その巨体と、無愛想な雰囲気に
スコーピオの女王は怯む
しかし、その少女の
「よろしくお願いします」
と、頭を下げる
媚びもせず、淡々とした態度には嫌なイメージは無かった
「ひとつは、これでも良い
しかし、もうひとつは、如何するつもりじゃ?」
と、女王は聞く
「わ、私を…是…ひに…」
思わず手をいっぱいあげた
その声の先にいたのは
トカゲ族系の巨大とは対極にある様な…
とても小柄な軟体動物
『ヒョウモンダコ』の一族の少女だった




