巧言令色鮮矣仁 とはいうけれど
ダリウスったら、呆気にとられた顔をして…
ただ、フローレンスさんだけが、サクサクと髪を切ってくれる
しかしながら、何か言いたげではある
「フローレンスさん、何か変化はありますか?」
と、問うと
「髪に関しての特に変化は…いえ、やはり、若干の髪の強さが感じられますが
美しい御髪でございます
ただ…」
「何か気になることでも?」
フローレンスは、少し考えて
「いえ、先程の
『そんなつもりはない』という、言い訳について若干思う事がありまして…」
と答えた
「よろしければ教えて頂けませんか?」
と言うと
「大した事ではないのですが
『そんなつもりはない』とか、『知らなかったから』とか
何と言いますか、自分の鈍感さや無知を…どのように考えているのか、と思いました」
「フ、フローレンスさん…?」
なんかきついこと言ってない?
「自分の鈍感さと向き合って精進されるのか?…と、ダリウス様はそのようなお方だと思っておりますが」
ダリウスが
「…あ、あぁそうだが?」
ダリウス、何故疑問形
「自分の至らない点を見せて許しを乞うのか、それとも…
そうまでしても、大目に見て欲しい
『仕方がない』というある種の許される特権を手に入れてほくそ笑みたい…と思ったりするのだろうか、と
…
どのように思い、成長するのか
成長よりも、利用した方が得だと考えるのか…色々と興味深いと思いまして…」




