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フェルトへの感謝
「幾許かの増毛を貴方に」
エベスは、うやうやしく傅いて言う
「そして、『リフトアップ』も…」
「…ち、ちくっとしたぞ」
と、何とも言えない表情を見せるフェルトに、
ここぞとばかりに、グリーンが手鏡を渡す
「…お?…おぉ…」
フェルトは、手渡された鏡の中で、自分の容貌が若返り、美しくなっていくのを
目の当たりにした
『…わ、私は美しい…』
満足気に頷いている
「フェルト様」
と、エベスは呼びかける
…返答はない
(自分の容貌に夢中だ)
「フェルトさん…?」
…返答はない
「…返答しないと…劣化させるぞ…」
小さい声で呟くエベスに
ピクッと反応したフェルトは
「申し訳ない、話の途中だった」
と、満面の笑みを浮かべる




