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フェルトとて
「どうしました?
とても、騒がしかったので驚いてしまいましたよ?」
と、フェルトは優しく応えた
「あの!」
と、応えてくれたのが嬉しかったのか
扉をこじ開けるように入って来た顔は
蜂
だった
『蜂?』
フェルトは、虫嫌いではない
ただ、それは
とても大きかった
少なくとも、赤子の頭くらいには…お
フェルトは、ニッコリ笑った顔のまま
失神した
虚な意識の中
女性の怒る声が聞こえてくる
『やめてくれ…女の…キンキンとした声は…好まぬ…』
と、フェルトは思う
少しずつ覚醒する意識の視界の中
[フェルト様!申し訳ありませんでした」
と、頭を下げる
その姿は、その背ににキラキラ輝く翅をプルプルさせる以外は
普通の少年に見えた
「ほら、そっちの顔の方が
フェルト様のお好みですよ」
と、優しく言うのは
エベスであった
「はい…」
と、悲しげに顔を上げるのは、
確かに美しい顔の少年だった




