知らぬ存ぜぬ
走ったはいいが、ここ何処?です
ハリーくんが
「僕に任せて!」
と言うので、そのまま走る
「こっちだ!」
フェルト様が、馬車を用意して待っていてくれた
急いで乗り込んだ馬車には
「あ、αさん?」
エンジェル・スーを肩に乗せたαさんが乗っていた
私とハリーくん
フェルトさんとαさん
αさんの肩にクソピンクjr(改)スー
「何この面子」
思わず溢れる私の言葉に
「私は、αなのだな?」
と、αさんは穏やかに笑った
「私の名は『ルイ・フェルデナンド』だ」
で?どちら様?
何の説明もなく、理解をせよと?
「そうか、知らぬのか?」
面白そうに笑うけど、何それ?
「申し訳ありませんが…『エベス』としては、存じ上げない事ばかりです」
『何だその、天下の副将軍的な感じ…』
私の困惑する顔を見て、フェルトさんは続ける
「王家に近い者を知らないのか…これは本物かもしれんな…」
「どういう事かは分かりませんが、覚えろと言われれば覚えますよ?
樹形図的な?…あ、家系図とか描けばいいじゃないですか?」
描くというか、樹形図だったら『かく』だけれどね
何故そこで、『?』の顔をする
勿論、守秘義務あれば口頭保存もありだけれど、
「書くものありますか?」
例を書く方が手っ取り早い
フェルト様が、『紙とペンを』と、唱えると
おおー、出たな紙とペン
この、『紙とペン』で大まかな聞き取りと家系図を書いてみる
「まぁ、こんな感じですか?」
私が書いた、家系図を見せる
「おお、確かにそうだ…」
「では、ハリーくん、これを燃やして」
ハリーくんは、スラスラ書き留める私に不信感もあったようだから、訳もなく燃やした
さすが、王族
私は満足
αさんもフェルトさんも、『あっ』という声を上げるのを自嘲した
「これは、王家がやるべき事であって、私の預かり知らぬ事です」
と、告げた
これって、守秘義務って奴?
「方法論のみ、お伝えしましたゆえに、後はお好きな様に…」
そこまで伝えて、後は知らない
本当に知らない
疲れて寝てしまったようだ




