喧嘩売ってるのか
おじさんが、フッとニヒルに笑ってこっちを見てる
「化けの皮が剥がれたか」
あら、失礼な
「所詮この程度の下賤な女、こんな女に引っかかるとは、王子も器が知れてるということか」
そして始まった、怒涛のお説教タイム
長い長い、
まぁ、あれだ
ざっくり言うと、この騒動の顛末ってやつだ
悪役令嬢が大逆転、お花畑ヒロインが自業自得で
引っかかった元王子以下取り巻き全員が処罰されて、めでたしめでたし
私はめでたくない
何やってんの、このヒロイン?今は縁もゆかりもないこの私、だけどね
「聞けば、淑女の嗜みはおろか、勉学も滞りがちだったというではないか
さもありなん、頭の悪さが顔に滲み出ているな」
えーっと?ここらで少し質問をしてみます
「まことに申し訳ありません、少し質問をさせて頂きたいのですが
お許しを頂けますでしょうか?」
下手に出て様子をうかがう
おじさん、ちょっと驚いている
「ほう、口のききかたは、幾分かマシになっているようだな
言ってみろ」
「勉学のことですが、よろしいでしょうか?」
これは、是非聞いてみたい
「お前の口から勉学の言葉が出るとは、何か良からぬことでも考えているのか?」
うわ、バカにされてる
「いえ、こちらでは幾何学は習いましたでしょうか?」
「幾何学?」
「四角、三角、丸などに関する問題のことです」
おじさん、ふんっと鼻で笑った
「頭の悪いだけのことはある
子どもの落書きの話でもしたいということか?」
内心『あれ?これはもしかすると』と思う
では、聞いてみよう
「四角、三角、丸の大きさは、どうなっておりますか?」
「それは…横の長さと縦の長さで決まる…」
「それは、四角形の面積ですね
横の長さと縦の長さをかければ出てきます、では体積は?」
「たいせき?」
おじさん、さっきまでの賢そうな顔が…
「四角い箱にどれくらいの量の水が入るかということです」
「そ、それは箱の深さによって決まるだろう?」
「そうです、ただし底の部分の四角の大きさと深さによって決まりますから、四角形の面積かける深さですね、
では表面積は?」
「ひょう?面積?」
あ、この人頭いいかも、面積の概念は理解できたみたい
「そうです、正六面体というものはご存知ですか?…サイコロ?ダイス?というか…」
おじさん、ここで黙った、何か考えている
『何か良からぬことでも考えているのか?』
さっきおじさん、同じこと言ったな
気があうのか?そんなわけない