何かようかい?
王宮に行くのだから、ドレスコードとかいう奴はあるんだろうか
服ないですよ?罪人ですから
罪人ですから、何でも良いのか?
と思っていたら、王室から服が届いた
サイズがぴったりなのが気持ち悪い
深くは考えたくないので、こちらで配給された機能的な(地味な?)ワンピースがゆったりしていたので、そこから目分量で引き算されたのだろうと思う事にした
フローレンスさんが『フン』と鼻で笑い、
「少々手直し致します」
と、ドレスを引き受けてくれた
型落ちの古いデザインだという事だ
誰かのお古だろうか?これでも着ておけ!ってことか?
地味な嫌がらせなのか?
こちらのファッションの事はよく分からんし、競って美を追究していた時代も、ひとつ間違えは後世には特殊な例として残される(頭に帆船のせてるイケてる淑女とか)
時間のスパンが短いほど、些細な違いが恥ずかしいのが流行らしいが
私は罪人なので、ドレスの型落ち程度で精神的なダメージを喰らうわけがない
罪人への心遣いありがとう!
ラストの曲は壮大な星々の歌…って気分だ(どんな気分だ?)
私は自分のやるべき事に戻る
問題作りだ
定規はなくても図はかける
放物線は、定規使わないし
でも、ふと思い出す
長い布さえあれば、サリーの様な着こなしもありか?
着付けは教えてもらった事がある
あれだと、シンプルなチョリとペチコートさえあれば、布によってはゴージャスにもシンプルにもなるんじゃないか?では、今後の課題ということで
「ベス、ちょっといいかな?」
ハリーくんが、憂いを含む顔
ちょっと大人びて見える
「どうしたの?ハリーくん」
「王宮からドレスが届いたそうだけれど…」
「今、フローレンスさんが手直ししてくれてる」
「そう…何か気になる事はなかった?」
「いや、型落ちという以外は特には…」
その時、フローレンスさんが何かに気付いた
「こ、これは…」
小さく縫い付けられた布には針と共に
『王宮には来るな』の文字
うわー何これ?
3人で顔を見合わせる
「念の為、針に毒が塗っていないか、調べた方がいい」
ハリーくんが言う
「フローレンスさん、ケガとかしていない?」
「いえ、大丈夫です…
こんな事もあろうかと、用心していましたので」
なるほど、想定されていたのか
くそ、考えが及ばなかった
こう、ふつふつと怒りが溜まってくる
髪に手をやると…やはり伸びてきている
怒りに任せて、1本引っこ抜くと
「お、おやめください」
フローレンスさんが悲鳴をあげる
数本抜けたみたいだ
「これをやった首謀者は分かる?あくまで首謀者」
髪に聞くと、ピンと立ってコクコクした、了解
「では…」
私は、髪に命じる
「その首謀者の所に飛んで行って
『呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃジャーン!』って書いて、飛んで逃げて来い!」
ハリーくんが
「うわあ」
と、呆れた声を出す
式神っぽいけれど、私には呪いとかのセンスがない
「捕まりそうになったら、相手の髪を数本お友だちにして逃げて来い!」
「それ、えぐい事になりませんか?」
フローレンスさんが心配そう
「これやったの、もしフェルト様だったら…」
私も少し心配、でも
「立派な鬘を作ってあげましょう」
と高らかに告げる
まどろっこしい事はやってられない気分であった
「行け!」
ピュゥ〜
飛んでった、飛んでった
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