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贖罪と食材

いい感じで浸かったフレンチトーストを焼き始める

芋もちも焼いている

呼ばれて来た人に罪はない

ただ、私はそういう事を生業とした事はない

美味しいと言われて嫌な気はしないが、普通に嬉しそうに『おかわり!』とか言われると、だんだんめんどくさくて腹が立ってきた

戻って来たフローレンスさんも頑張って焼き方に回ってくれている

てんてこ舞いだ

踊ってやりたい、てんてこ舞いは知らんけど

そんな時にやって来るのがダリウス

「あ、うん…その」

うるせ、本気でうざい

「とても、美味しく…」

はいはい、で?

「有り難く…」

有り難いだと…?そう思うなら

「お前も手伝えー‼︎」

感謝の言葉はどうでも良い

お前も動け!

という事なのに、オロオロして何か手伝おうとする

「違うだろー⁉︎お前に今出来る事は?

欠食男どもを落ち着かせて来いー‼︎」


我意を得たりとダリウスが立つ

「落ち着け!」


さすがだダリウス、その一声で男どもは動きを止める

獣ども、聞く耳を持て

「我らが食べた食材は、王室より配給された物だと分かっているのか?」

食欲の魔の手から逃れた獣どもが、かき込む手を止める

罪悪感で、顔が歪む


「…でも、こんな美味しい物食べた事がなかった…」

この子は誰だ?あぁ、数式見た子だ

「…何か悔しくて、こんな上手い物食ってた奴がいると思うと…」

食べる手を止めながら、皆んな悲しそうに頷く

「いや、それは違うよ」

ハリーくんは、話に入る

「私も、こんな美味しい物は食べた事がない…」

悔しそうに顔を歪めていたのに、皆んな驚きの声を上げる

「ゴオオオォ〜!」

むさ苦しいよ、地響き通り越したよ


「さて、質問です

これは、何で出来ているでしょうか?」

私は、見かねて質問する

「…芋の味はしました」

ハンスくんが答えたが、納得する人と、半信半疑の人が多数

「正解です」

今、芋の味に納得した人、賄い役に適する舌を持ってるね

「で、この甘い奴ね」

ふむふむと聞く奴ら

確かに甘味は好みが分かれるだろう

「これ、残り物のパンね」

『ゴオオオォ〜』じゃねーよ、うるさい


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