表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/725

規矩作法 守り尽くして破るとも 離るるとても本を忘るな

αβさんは、期待を胸に帰路に着く 

私とフローレンスさんは

「今後とも、良いお付き合いを…」

とか言って、彼らを見送る

フェルト様も

「少し仕事をして来る」

と、馬に乗って出掛けて行く

王宮で報告しなければならない事ができたのでしょう…(他人事)


鬘のご主人とフローレンスさん、そして、フローレンスさんの弟は切り取った髪を処理している


ダリウスたちは、訓練について話し合っているようだ

ハリーくんが率先して、意見を述べている


何とも言えない、凪の時間だ


私は一問でも多く、代数の問題を作ろうと頑張っていたが、

幾何学がやりたい

計算問題は数式で、私の古文に見えるという説明文を回避する事ができるのだけれど

なんか物足りない

そうなってくると欲が出てくる

『コンパスと定規が欲しい!』

いや、あの100円均一ショップで買える様な、安価で性能の良いものを求めているわけではなく

むしろ、家紋を描く様な、あの美しい技術

半径のぶれない素敵な技術があるはずだと思っていた

中心が確定した円が描きたい

いっぱい描きたい


原理としては理解できる

2本の棒を固定して糸で長さを決めれば良いのだろう

でも違うの

一個描いて満足できる状態ではなく、曼荼羅でも描くのかというくらいいっぱい描きたい

これは、幾何学とは関係なくない?

きっとそうだ

ストレスから来るのだろうか?

イライラしていたのだろうか?してるしてる

「ベス様?」

「はい!」

食い気味にいいお返事をする

「どうなさいました?」

優しく、呆れた声のフローレンスさんがこっちを見てる

いや、皆さま此方を伺っていらっしゃるではありませんか

「えーっと?」

自覚はなかった

「気付いていない様ですが…髪が伸びてますよ?」

あらま、先程までショートカットだった髪が、肩より長くなっていた

どこの妖怪だ

そのうち、あれか?

髪、飛ぶのか?

何か見つけたら髪立つのか?アンテナか?

さりげなく、正義の味方に寄せようってか?しゃらくせ〜わ自分!


「というわけで、コンパス?ぶん回し?

とにかく、円が描ける道具が欲しいなぁという欲望が、暴走し始めた次第でございます

多分」

指先で、くるりくるりと丸を描いて伝える

フローレンスさんは、鬘屋のご主人と顔を見合わせて頷く

「円…丸を正確に描く道具ですね?心当たりがあります

うちの鋏をお願いしている、腕の良い職人に問い合わせてみましょう」

「ありがとうございます、フローレンスさん!そしてマスター!」

「ま、マスター…」

フローレンスさんの手を取って、感謝の気持ちを表し、ご主人にもお礼を言うつもりが

勝手に『マスター』に変換されてた

ご主人は、困惑しているけど『ダメ?』と言う顔をすると

「いいでしょう」

と、納得してくれた


どうやらこのクソピンクは、顔だけは可愛いらしく

髪がいい感じに長いと、女子力が上がるようだ(ケッタクソワルイ!)


「それから、もうひとつ!

定規も欲しいです

本当は、一緒に勉強している子たちにもセットで持たせたいです、全員に」


「えー?」

久々聞くぞ、地鳴り

あんまり分かってない気もするけど、言いたいだけ?


ただ、ハリーくんには心当たりがあるのか、私を見てニコッと微笑んだ











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ