お楽しみはこれからだ
フローレンスさんが驚愕して目を見張る
「な、何ということを…」
「フローレンスさんの考えとは、違うのですが」
「確かに髪が健やかであれば、美しさ、そして強さにも繋がるのでしょうけれど…
それは些か乱暴ではないですか?」
そうか…残念
あれこれ手を伸ばすのは、当初の目的から外れると言う事だ
発想の暴走は禁断のジョーク?
いや、冗談では済まない
「すみません」
真摯に謝る
「いいえ、髪の美しさと強さ、これもまた、良い鬘の真髄です
何か新しく発見があるかもしれませんので、どうぞ今後もお話をお聞かせください
私は、なお一層心掛けてお世話をさせて頂きます」
フローレンスさんがお世話をなさるのは決定ですね
依存はありません
「よろしくお願いします」
さて、人体実験ではなく、鬘の広告塔になって頂く為にαβさんたちにはご意見を伺おう
「お待たせ致しました
どう言った鬘…髪型をご希望されますか?」
営業スマイルを貼り付けます
気分は『ワテはナニワノアキンドダっせ(ダサいという意味ではない)』
ソワソワされてます
βさんが
「あ、あの…出来ればストレートの長髪にして…後ろでひとつにまとめたい…」
何と!そのような願望があったとは?
思い詰めてる?思い詰めてるよこの人
「そうですね、細面のお顔に長髪はお似合いかと思います」
さすがフローレンスさん
私は今一瞬、言葉を失っていたよ
そんな言の葉を紡ぎ出す能力はないです
プロと素人の差に感動します、勉強になります!βさん満足そうです
αさんは
「…長めにして…少しウェーブをかける事は可能だろうか?」
ウ、ウェーブぅ?何かを察したフローレンスさんが『メッ!』って顔で小さく私を叱る
ここで何か言ったら営業妨害です、黙りましょう
「可能です
予めその様に加工致しましょう
ただ、そうですね
御本人が思い描くのと、相違があるといけませんので、何度かご確認頂かないといけませんので
その分、若干お時間と手数料が掛かります」
「構わない
私も納得したものが作って頂きたい」
αさんが、うっとりしている
怖い怖い怖い!何を想像しているんだ?知りたくないけど…
「優しそうなお顔がより一層素敵になる様に、尽力させて頂きます」
αさん頷く
今『ふふん』って言った?鼻でせせら笑うフフンじゃない
このふふんは…鼻歌だ〜嬉しくて奏でる鼻のメロディーだー!うわー
しかし!この2人の頭上にクソピンクの髪が乗るのかと思うと、私も愉快ではある




