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クリスタル・ブルーとグリーン その3
『な、何と…?』
クリスタル・ブルーことβは
酷薄な顔をひくつかせ、
実は
感動に打ち震えていた
思えば、下級貴族に生まれ
過去には、美少女と見紛う美少年であっだが故に厚遇された過去の自分
しかし、
少しずつ薄毛になっていく恐怖に、せめて学問だけはと
必死になって、勉強し
誰よりも貴族たらんとして、頑張った
しかし、髪が薄くなるにつれて、自分を見離していった親たち…
今も、彼らは知らないのだろう
自分が、獣国との交渉の重要人物であった事も…
真っ直ぐに見つめる、グリーンは
鬘屋?
元々は…
「お任せしよう」
βは、告げ
グリーンこと、フローレンスは
とても嬉しそうに笑った
「あ、でも…」
と、グリーンは真面目な顔になり
「この事は、エベス様に許可を取ってきます」
嬉しそうな、彼女を見守るβであったが
部屋を出る瞬間に、振り向いたグリーンが
「β様『へッ』は、今後おやめくださいね
美しくありません」
と、グリーンは告げた
その一言に、それまでの柔らかな顔が
苦虫を噛み潰したようになってはいた
しかしながら、本音を語る人が出来たようで…その後、少し微笑んだ




