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レッド、それは 2
あぁ、そうだと
思い直したように、レッドは問いかける
「ひとつ、思い出した事があるのですが…よろしいでしょうか?」
という、一言に、
静まりかえるその場
「私は、泳ぎだけは習っておりませんが
それでも、よろしいのでしょうか?」
『あぁ』と、声にならない、安堵の声が溢れた
人族の、しかもその貴族と上位にいる女性からのその一言に
少女から少年になったばかりの、魚族の王子は
思わずレッドを抱きしめた
魚族の宰相は、王子と、その番の誕生に歓喜し
それを、基本的には監視していた龍王も暖かく見守った
特筆すべきは、
レッドが第一王子を見た時
王子が
『おめでとう』
と、口で見せて、少し涙し
その上で
「獣人の方々!
私はその、!愛と誠実さに免じて、この婚約破棄を受け入れよう‼︎」
と、宣言した
その潔さが、彼の味方を作ったことを
第一王子は、まだ知らない




