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レッド…それは
レッドは、想い出していた
第一王子なのだけれど、王太子候補にもなれないかもしれない人の事を…
それは、美しく頼りない、そんな人だった
支えになりたいと思っていた
自身が、第二王子が王太子が上がっても
その人がやらかしても、
自分が御后候補としてやってきた事は、無駄ではなく…
と思っていた
『でも、それって何だろう?』
目の前で、少女が
少年に変わる
美しい少年だ
『獣人は、決められた番以外は、愛せない』
と、いう
お妃教育の中で知った一文を思い出す
美少年は
見飽きていたのかもしれないが
その顔が、
ビキビキと鱗に覆われていくのは、初めて見た
それを恥じて、去ろうとするその手を…
私は掴む
驚いたように振り返るその人が
かつての、婚約者に似ていて
少し笑った




