生々流転
「こ、これはまた、いったい何が起こりましたのか?」
鬘屋の主人は、困惑しているが
助手の女性はすぐさま駆け寄って、私の髪を手に取った
怒髪天をつく状態は割とすぐに治って、重量のまま、ただの長髪?ラプンツェルくらいの長髪になって床にトグロを巻いているが、体の方は大きくはならなかった
『あれは、ラプンツェルっていう感じではないよね
服も破れずに良かった、胸も小さいままだし…これは、ちょっと残念
…この後に及んで、トグロだって…ww』
「今日も楽しそうですね」
「えっ?」
「失礼しました、突然話しかけて」
助手の女性が、髪を確かめつつ、話しかけてきた
「いえ、大丈夫です」
そういえば、こうなって会話をする女の人って、この人だけだ
「あの、お名前をお聞きしてもよろしいですか?」
どうだろう、嫌がられないかしら
「…フローレンスと、お呼びください」
「フローレンス様」
「フローレンスで、」
「では、フローレンスさんで」
あぁ、ありがちな会話が今は貴い
「どういたしますか?この髪」
と、フローレンスさんが聞くので
「そうですねー、切っちゃってください」
フローレンスさんは、ため息をつきながら
「まぁ、この長さですと扱いに困りますでしょうし…
どれくらい切りますか?」
「前と同じくらいに!」
「そうですか…では、少々お待ちくださいね」
フローレンスさんは、何かお考えがありそうだ
お考えがあるのなら、丸投げ致しましょう
戻って来たフローレンスさんは、私に問う
「何とお呼びすれば良いのでしょう」
フローレンスさんは、独り言のように私に問う
「エベスで」
「そうですね…エベスという名を事も無げに使われますが、
本当のお名前ではありませんね」
「確かにそうですが」
何の話だ?
「私、フローレンス・ラジヴィは、貴方と契約を望んでおります」
「?、何をおっしゃっているのか、よく分かりませんが…」
「どうか、真名をお聞かせください」
もっと、何言ってるか分かりづらい
『ちょっと、フローレンスさん、あんた、何言ってんの?
いや、言葉がきつくてごめんなさい!』って感じです
「フローレンス様、それでは唐突でベスが混乱してしまいます」
混乱する私を助けてくれたのは、ハリーくんだった
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