鬱陶し その2
何か忙しそうな、社会人のように
「というわけで、何処か知りませんが
あっちの方に行かなくてはいけませんようなので
行きます」
と、伝える
「な、何も分からない国へ行こうというのか…?」
と、王が答える
王座に座っていない王に言われても…
簒奪を望みながら、ピンクの毛でグルグル巻きにされたフェルトを見ていると
『カオス』の一言だが…
「此処も知りませんし、大国もよく分かりません
だから、今から行く所も知りませんよ?」
と、普通に答える
「でも…」
なぜ、息を呑むのか?
「この状況の中、接触して来たという事と
向こうは知ってて、此方は知らないというのは…」
「何か面白いと思いませんか?
どうせ、此処の国、抗うだけの力も無さそうですし!」
「「そ、それは!」」
こんな時だけ、シンクロする兄弟
「ふーん」
スーさんが、呟く
「まぁ、ええか」
とも
「ダリウス、ハンスを連れて飛んでもいい?」
と聞くと、
「御意」
と、答え
虚ろな意識のまま、ハンスまでも頷く
「あと、グリーン!
フローレンス、後からでいい?呼ぶよ?」
『…はい』
そう確認してから、呼ばれた国へ移動することにした
「レッド!後は任せた!」
と言うと、
「御意です!」
と、力強い声
さて、と思った転移のその瞬間
腰に縋りつくのは…
「は、ハリーくん?」




