信じるか信じないかは、あなたしだい
「本当に、手慣れているのだな」
フェルト様がつぶやく
「そうですか?」
解答を見たのは少ない人数だったけれど、自分の解答の見直しに向かった人たちもいて
「色々と前向きに検討して頂けるとありがたいです」
期待はしていないけどな!
「そうそう、寝室に関しては…元、寮だった所の中でも、まともな部屋を取り急ぎ準備させている」
とフェルト様仕事早い、元々の計画の中に含まれていたのだろう
「ありがとうございます」
「ところで、エリザベスという名だったな?そのまま、呼ぶ方が良いのか?
ヘンリー元王子は、ベスと呼んでいたが」
いや、ほんと何でもいいです
ベスでもペスでも、なんでも、どうでも…あ、でも…
「罪人にエリザベスは大袈裟ですねー
もし、自分で呼び名を考えても良いのなら…」
「言ってみろ」
「…エベスというのはいかがでしょう」
「ふん、エリザベスの前と後ろから取って、エベスだと?
いかにも単純な…」
言うと思ったよダリウス
「立ち聞きした上、話に割り込みますか?」
意地悪してやろうか?お前の意見は聞いてねーよ
「いや、その…」
ほんとにこの子は、という目をしてやると、なぜだ?恥ずかしそう?
そこは、もっとストレートに恥じろよ!
あるいは、悔しがれ?それも違うかー
フェルト様は、
「構わないが…些か面妖な、何か特別な意味でもあるのか?」
「ありますよ」
「何だ?」
「ドザエモン?」
ぼく、ドザエモン
古い〜ウケない〜知らない〜
「余計に分からないが、ドザエモンとは?」
「わかりやすく言えば、水死体ですかね」
フェルトさん、引いている
ダリウスはもっとだ
「悪ふざけはよせ」
フェルトさんに静かに嗜められました
「もうひとつの意味は、漂着物です」
確かそうだった
「得体の知れない漂着物って、今の私ですよね」
なんとも言えない顔をされる
テンション上げていきましょうよ
ついでに、免疫力も上げていこう
「いいのか、それで」
フェルト様が確認する
「はい
慣れたらエベっさんと呼んでくれたら愉快です」
ウケない
「分かった
エベス、と呼ぶことにしよう
皆も聞いたか?『エベス』だそうだ
名を呼ぶ必要がある時は、そう呼ぶように」
フェルト様の呼びかけに、
「了解しました」
と皆、元気よく答えた
福をもたらすかどうかは…?




