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(閑話休題)その後のクリスタル・ブルー
『私は、やり遂げたのだ』
クリスタル・ブルーは
自国に戻った時、本当にそう思っていた
『この、美しき鬘ともお別れだ…』
クリスタル・ブルーことβさんはとても真面目だった
全ては、このミッションの為に仕組まれたもので
鬘の話も、これで終わったのだと思っていた
もし、願いが叶うなら、αさんのように、例え寝込もうとも
植毛を…
と、儚い願いを思っていたのだ
ミッションは終わり
鬘は残る
「鬘すら、ありがたいと思っていたのに…人とは、欲深いものだ…」
と、独り言ちた時
「私は、エベス様の命によってここに来ました」
それは、共に大国に赴いた1人、フローレンスだった
「グリーン」
しばしの沈黙の後、クリスタル・ブルーは呟いた
「痛みに耐えられますか?」
グリーンは問いかける
「もちろん」
クリスタル・ブルーは答える
「では、私にその身を委ねてください」
「ああ」
それは、感嘆なのか、同意なのか分からないまま
クリスタル・ブルーは目を閉じた
彼の決断が、大国との関係を変えるとは
βは知る由もなかった




