いざ、異世界へ
お爺ちゃんに言われて私は異世界人だと分かったものの、当の自分は実感がわかない。
教室の中はいつも通りで、友達のサアヤも変わらずだ。
「ねえ、わかな浮かない顔してどうしたの?」
「え?なんでもないよ!…サアヤ、もし私が遠い場所に行ったらどうする?」
「もしかして…!わかな大学は県外行くの??」
「ん、まあ、そんなところ。」
そう言うとサアヤは泣きそうな顔を無理矢理笑顔にして、
「…っ!県外行ってもずっとマブダチだからぁー!」
と言ってハグした。
私も涙を我慢して、うんうんと頷いて抱きしめた。
その時。
急に世界が無音になった。
「レーラ。来るよ!」
テオの声が聞こえた瞬間に、目の前の教室はペラペラな紙のようになった。私がそれをめくると、強い光が差し込んで思わず目をつぶった。
目を開けるとそこにはもう教室はなく、広大な草原が広がっていた。
「レーラ!レーラ!」
「あ!テオ!」
と言った瞬間に目の前がぐるぐると回って倒れた。
ガンガンする頭の中に流れ込んでくる記憶。ああ。これは7歳までの私の記憶。勇者のお父さん。精霊のお母さん。2人とも優しくて強くて大好きだった。そして国王の祖父との3人に毎日色んな技や術、魔法、剣を教えてもらった記憶。全て愛おしい。全て思い出した!
目を開けるとそこは、宮殿の中の私のベッド。
起きて鏡を見て驚いた。ウェーブがかったロングの美しいピンクブロンドの髪。目はミルクパープル。そして、背中に生えた純白の羽。
7歳の頃は髪も目もピンクだったのに、なんでこんなに変わったの?
そんな疑問はすぐに解消した。両親が部屋に入ってきたのだ。
「やっと、やっと会えたわ。レーラ!」
と言い、純白の羽と目も髪もピンクの女神様と言う言葉が相応しいお母様が駆け寄ってきた。
「お母様っ!」
と駆け寄った。
「本当に長かった。お父さんのせいで苦労させて悪かった。」
とブロンドにブルーアイのお父さんが言った。
「お父さま!…お父様のせいって?」
「お父さんは勇者だが、その前はレーラが行った世界の欧州に住んでいた。」
「そして僕の血が作用を起こして、たまたま異世界通路のある日本のお寺に転送され姿も日本人になっていたんだ。」
ああ。あっちの世界にいったから、お父さんの血とお母さんの血が半分の強さになって、髪や目も半分になったのね。
なんて、ボンヤリ考えていた。
「お父さん気にしないで!お寺のお爺ちゃんは凄い優しくて、それに友達も出来た。あと、テオも来てくれたから!」
両親は不思議そうに目を合わせた。
「テオって誰?」