テオとの出会い
私には両親がいないし7歳までの記憶がない。最初の記憶はお寺の前だった。
突っ立っていると坊主頭のお爺さんが私に向かって
「ここに住むかい?」と全てを理解したかのように優しく迎え入れてくれた。
お爺さんと住んで何年もたちしばらくするとテオは現れた。
どーーーんっと
ものすごい音がお寺の外から聞こえて外へ出ると、彫刻のように真っ白な肌で、長いブロンドの髪、透き通った海のようなブルーアイの美しい子供が地面に倒れ込んでいた。
「だ、大丈夫…!?」
私が尋ねると男の子か女の子か分からない美しい中学生くらいの子は答えた。
「やっと見つけた。レーラ。」
レーラ?人違いかな。
「あの、、あなただれ?」
その言葉に完璧な顔を歪ませ一気に悲観した顔になった。
少し間を置いてその子は答えた。
「…俺はテオドール・ド・リュミエル。君が元の場所に戻るまで守りに来たんだ。」
あ、俺ってことは男の子なのかな?
「よく分からないけど、私はレーラじゃなくてわかなと言うの。」
「ううん、君は違う世界から来たんだ。18歳になる時にその世界に戻ることになっている。」
テオはこの時からずっと私をレーラだと勘違いしていて、ずっと異世界について語ってくる。
「えと、テオドール君」
「テオでいいよ。」
「じゃ、じゃあテオ。私よくわかんない。」
「そうだな。じゃあ、レーラに僕の魔法見せてあげる。」
テオはそう言うと光がテオの周りから出てきて真っ白な蛇に変身した。
私はありえない光景に驚きを隠せなかった。その美しさから私と同じ人種では無いとは思っていたけど、この世界の人では無い?と頭をよぎった。
「信じてくれた?」
テオはそう言い、私に向かって魔法を掛けた。
「アトンテルダって言ってみて?」
「え、えと、…アトンテルダ…」
言われるがままそう言うと世界から音が消え時が止まった。落ち葉は空中で止まり、世界はテオと私だけになったようだった。
「ね?俺たちが異世界から来たってこと少しはわかったでしょ?」
その後も私が異世界の国王の孫だとか、勇者と精霊の娘だとか色々聴かされた。テオが異世界人なのはわかった。だけど、私が異世界から来たレーラってのは信じられない。
だって、この時を止める術はテオが私に魔法を掛けたからだと思うし、人種が違いすぎる。
私はその後もレーラだと認めなかったが彼はずっと私に構ってきた。