聖人勇者の最善理論
君はこのシステムをどう思う?
少し狂った聖人勇者。
彼は魔王討伐のために勇者に選ばれた、虫も殺せない心優しい少年である。
彼は魔王討伐のために奔走するが、その時一度も剣を握らなかった。
勇者の資格である聖剣アクアルを一度として握らなかったのだ。
彼が魔王討伐のために起こしたのは話し合いによる解決。魔王の目的を明確に知り、人類
と何とか和解させる道を選んだのだ。
そしてその結果、魔王すらも諭し世界を争いから救ったのだった。
しかし彼は世界から評価されなかった。心無い人からは勇者なのに誰にでもできることを
やったに過ぎないと言われたのだ。
しかし彼はそれでもよかった。むしろ誰にでもできることだけで世界を救ったのだから、
誰でも世界を救えると説いてまわった。
それで世界は平和になりかけた。そこで勇者は世界平和を望んだ。
しかし世界は平和には、ならなかった。一時的に平和にはなったが平和になった影響か、
スリルを求めて悪いことをする人が増えた。なんと娯楽のために悪をなすようになったの
だ。彼はいけないことだと諭して回った。しかし、いかんせん数が多すぎた。
さらに彼の影響か他にも諭して回った人はいたが、不滅で何度でも蘇るのは勇者だけ、
犠牲者が多く出た。彼らは正義の心を持ち、善に溢れていたのに悪にやられたのだ。
しかし彼は悪を憎まなかった。しかしどうにかしたいとは思った。
その時彼に天啓が走った。
正義だ。悪をさせないのではなく悪を行えない。そして皆が正義のため、世界の平和、発
展のために行動すればいいのではないかと。自由や娯楽は減ってしまうが、その点はどう
にか別の案を考えればいい。節制が大事だ。犠牲者、全てを憎まれるのは私だけでいいか
ら世界を恒久的に平和にしようと。
そうして彼はとある計画を開始させた。
その計画の名前は幸福牢獄都市計画。
誰もが人類のために働き、誰もが囚人。優秀で人類に貢献したり、正義と善の心を持って
行動をすれば善性得点が貯まり、それを使用すれば自由や娯楽を得ることができる。
そして悪や不正。人類の発展にそぐわないことをすれば、善性得点を全て没収。一時的に
拘束し、自由を全て奪い、人類最下層の地位に置き、再び善性得点を貯めることになる。
そこは全てが禁じられた世界。自由な労働の禁止。結婚、恋愛の禁止。子供をつくること
を禁止。異性に接触することの禁止。何もしないことを禁止。娯楽を開拓するのは許可な
く禁止。外に出ることの禁止。
その自由を得たければ、得点を貯め、人類と正義の為に貢献しなければならない。
全人類が平和に、幸福になる為のプロジェクト。
もっといい方法があるのかもしれないが彼にはこの方法しか思い浮かばなかった。
この方法なら上層部は絶対に腐ることはない。良きことをすればするほど自由になるし、
全人類にあった職業を与えられる。カースト制度も実行しなければならない。
良きことをすればするほど、部屋を変えるような。
特別的に見逃すなんてことはここでは許されない。別に最下層に落ちても仕事は変わらな
い。ただ自由がなくなるだけだ。