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テンプレマスターのテンプレ異世界転生  作者: スカーレットちゃん
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018

 王太子妃改め、姉さん女房スカーレットちゃんです。


 王太子と婚約という話ですが、現在も一応そのままではあるのですが、先日ゲイルマン帝国のエルゼ王女が来国され、モルドレッド王子と意気投合、モルドレッド王子がエルゼ王女との婚約を望まれているそうです。


 このままいくと、モルドレッド王子とエルゼ王女が婚約、ウィリアム王子と私が婚約になります。


 伯父様は私と婚約した者が王太子だと考えているようですが、第一王子を飛ばして第二王子を擁立しなくてはいけないほどモルドレッド王子は無能ではないので、周囲はモルドレッド王子が立太子すると考えています。


 私ですか?


 私は伯母様よりお母様の方が自由だし、ウィリアム王弟妃、つまり大公妃になればお母様とお揃いでいいなぁと思っております。


「はー、緊張します」


「大丈夫よ、スカーレット。皆さん良い子みたいですから」


「そうですよ、お嬢様。お嬢様の知的かつ愛くるしい笑顔に皆さん魅了されることでしょう」


 なんだかセーラまで親馬鹿になってきている気がします。弟子っ子が可愛いんでしょうね。


「ねーね、大丈夫?」


「大丈夫よ、ガウェイン君! お姉さま、ちょっと人見知りなの」


 前世ではそうでもなかったのですが、やはり使命があるのと無いのでは違いますし、今世ではまだあまり他人と出会わないんですよね。箱入り大公令嬢なもので、えへへ。


 心配そうに見上げてくるガウェイン君を抱き上げて頬摺りします。


 大きくなったらヒゲモジャになっちゃうのでしょうね、お父様の子ですから。お姉さま、悲しい。


 それでも頬摺りしようとしたら、『やめろよ、姉貴! 引っ付くんじゃねーよ!』とか言うんですよ、きっと。


 ダメです! 許しませんよ!


 と言いたいところですが、武闘派大公家の跡取りですし、遺伝的にやっぱりヒゲマッチョでしょうね。


 お父様、武闘派デスクワーク大公ですけど。


 絵本とか書いちゃってるメルヘン親父ですけど。


 あ、他の国は知りませんけど、うちの国は大公というのは王弟に与えられた個人的な称号で、大公自体は相続されません。


 大公は相続されませんが、バイロン公爵家を興しているので、公爵家として相続されます。


 領地ないんですけどね。


 まあ、お父様に領地経営できるのか疑問ですし。


 でもね、お父様、肉体派勇者ですけど、意外に脳筋じゃないんですよ。


 元々デスクワークですし。


 召喚前は宰相を勤めていたそうですが、召喚中に後任ができており、現在は司法と軍のトップです。


 行政専門だったのに、肉体派武闘派になったため軍に回され、平和なので基本的に軍は訓練と演習しかすることがないので司法も任されたそうです。


 宰相の後任が優秀だったので、ブランクのあるお父様を戻すのはやめたらしいです。


 今日は私の友達作りのためのお茶会で、宰相の娘もやってきます。


 入学前にある程度側付きというかお友達を作るものらしいです。


「『おーほほほっ!』の人とかいるかな?」


「いえ、さすがに『おーほほほっ!』はいないかと。そういうのはコメディ小説くらいですよ」


「そうねぇ、コメディ小説くらいね」


「そうよね、コメディ小説くらいよね」


 しかし、本当に私『おーほほほっ!』しなくて良いのでしょうか。


『おーほほほっ!』は悪役令嬢ではないとセーラから指摘されてしまったので、やるつもりはないのですけど。


 セーラによると、『おほほっ』くらいなら令嬢として大丈夫らしいですよ。


 今日いらっしゃるのは、宰相スタンリー侯爵令嬢アゼリア様、スチュアート侯爵令嬢シャーロット様、ランカスター伯爵令嬢クラウディア様です。


 やがて皆様がご到着になり、別室で揃われるまでお待ちいただいてから、庭園のお茶席にご案内です。


「皆様よくいらっしゃいました。私がスカーレット・バイロンです。本日はよろしくお願いします」


「本日はお招きに預かり、誠に光栄に存じます。スタンリー侯爵が長女、アゼリアでございます。

 何卒、よろしくお願い申し上げます」


 堅いっ! 堅いわー、この子。五歳なのに! なんかキリッとしてますよ。


「よろしくお願いします」


「本日はお招き、ありがとうございます。シャーロット・スチュアート、五歳です!」


 か、可愛い! お人形さんがいますよ! おめめぱっちりです。


 まあ、私も気合いの入ったセーラによって悪役令嬢改め、ビスクドールスタイルですけど。


 いいですね、子供らしいご挨拶。ほのぼのします。この子は癒し系担当です。愛称はシャーリーです。


 ええ、勝手に決めましたよ。


 いつかシャーリーと呼んでやります。


「よろしくお願いします」


「お招きありがとうございます。クラウディア・ランカスターです」


 この子は綺麗な子ですけど、表情に乏しいですね。ご挨拶もシンプルですし。


 おめめトロンです。おねむなのかな?


「よろしくお願いします。

 では皆様、早速お茶にしましょう。お母様が取り寄せた珍しいお菓子もありますのよ」


 私も堅いなー。見知らぬ人と話すの久し振りなので、ちょっと距離感が掴めないのと、令嬢としていきなりフランクなのもどうかと思いますし、難しいですね。


「あらあら、うふふっ。皆さんとてもお行儀がよろしくてらっしゃるわね。

 でも皆さんまだ五歳ですから、もっと子供らしく楽にして普通に話して良いですよ。

 皆さん甘い物はお好きかしら。今日のお菓子は私も大好物なのですよ」


 お母様はそう言って、皆様のお母様達と別室に移られました。


 大人は大人同士、子供は子供同士で親睦会なのです。


 皆さんの力を抜かせるべく、ベルガモットをブレンドしたアールグレイをサーブしてもらいます。


「ふわぁ、いい匂い! 私この香り好きです!」


 よし! やっぱり可愛いぞ、シャーリー!


 お母様、シャーリーみたいな妹一名、追加お願いします!


「まあっ、それは良かったです。私もこの紅茶好きなんですよ。爽やかでいいですよね」


「そうですね。私も好きです」


「んー、私もー」


 クラウディア様一気に砕けてきましたね。眠いのか緩いのか。嫌いじゃないですよ。


 いやぁ、美少女が三人もいるのは華やかで良いですね。


「今日のお菓子は温かいお菓子なんです。冷める前にいただきましょう」


 さあ、食らえ!


 グルメ戦士ママンが用意した、至極のスウィーツを!


 そしてスウィーツ女子になるがよい!




 カッ!


 眠そうだった戦士クラウディアの目が見開かれました。


「エ、エクセレーントッ! 素晴らしい!

 焼き上げられた表層は香ばしく食欲を刺激し、サクサクな表層にナイフを入れると、中はしっとり柔らかな生地。さらに切り進むと最奥からは熱く滑らかな黒きマグマが零れ出す!

 黒きスポンジケーキ、ガトーショコラから流れいでしものもまた、ショコラなり!

 ショコラのマグマを抱きしガトー、ショコラ・ボルカン!

 同じショコラでも、ガトーとガナッシュで食感は勿論、甘さ、酸味、さらには温度も変わる!

 生クリームや酒によって目立ちはしないが、この酸味の違いはカカオマスによる違い。カカオマスの種類あるいは焙煎が異なるはず。

 ということは、外と内とで原料のショコラも変えているのか!

 トレビアーン! ベニッシモ!」


 ああ、ここにも興奮すると謎言語が飛び出すグルメ戦士が。


 あなた、何行喋るんですか。


 さっきまで、『んー、私もー』とかでしたよね、あなた。目が見開いたままですよ。


 そうですか、あなたには甘党戦士クローディーの名を与えましょう。


「ふふっ、気に入ったようね、クローディー。ショコラ・ボルカンも悪くないネーミングですが、それはフォンダン・オ・ショコラです」


 しまった。心の中の愛称クローディーで呼んでしまった。


 まあ、いいや、ドヤ顔で押し切ろう。


「おお、フォンダン・オ・ショコラ!

 素晴らしきショコラに、そしてこの出会いをもたらしてくれた、レディ・スカーレットに感謝いたします!」


 いきなりのクローディー呼びよりもクローディーの豹変ぶりに、皆さんドン引きです。


「うわぁ、美味しい! 美味しいですねっ、スカーレット様!」


「ああ、シャーリー! なんて可愛いの! 癒されるわぁ」


 あっ、また心の声が漏れてしまいました。またしても心の愛称が出てしまいました。


 まあ、いいか。またスルーされるでしょう。


「わぁ、私のこと、シャーリーって呼んでくれるんですね! 嬉しいです!」


 スルーされませんでした。


 良かった、シャーリーが天使で。


 良かった、気分を害さなくて。ええ子やー


「あら、ごめんなさい。あまりにシャーロット様が愛らしくてらっしゃるから、つい、シャーリーと呼んでしまいましたわ」


「良いんです、スカーレット様。シャーリーと呼んでください」


「分かりました。ありがとうございます」


「では、私のことはクローディーで結構です」


 あ、あなたあんなにトリップしてたのに、そんな細かいことを憶えているなんて、恐ろしい子!


 そんな面白い子は大好きですよ!


「ありがとうございます。そして失礼しました、クローディー様」


「私達だけの時は様もなくて結構ですよ」


「私もです!」


 な、なんていい子たちなの!


「嬉しいわっ! じゃあ、私もスカーレットね」


「「いえ、それはちょっと」」


「なんで!」


 なんでと叫びながら、皆笑っていました。


 この人達とは終生の友となる予感がしました。笑いのセンスが近い人と話すのは楽しいです。


 あ、一人笑ってませんでした。


「あ、あのー、私の愛称は無いのでしょうか」


 アゼリア様がションボリしています。


「ごめんなさい、アゼリア様。でもアゼリアというのは略すほど長くないのでは?」


「いや、クローディーだって略してないでしょう?」


 アゼリア様は大変ご聡明でいらっしゃいまして、私のごまかしをすぐに見抜きました。


「じゃあ、リアで」


「はいっ!」


 割と適当に決めたのに、リア様嬉しそうです。申し訳ありません。でも、やっと五歳児らしくなりましたね。


 早速私以外は愛称呼びになり、四人のグルメ戦士達はフォンダン・オ・ショコラの前に結束したのでした。


 私もレッタとかでいいのにね。




「おーほほほっ! お邪魔するわよ!」



 



さあ、次回はついに『おーほほほっ!』の人が登場です!

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