15 Happy Valentine’s Day -5-
がっくりした様子の玲人くんを引きずって、俊くんが帰っていく。
うーん、悪いことをしたんだろうか。でも、こういうことは早目にはっきりさせた方がいいって聞くし。
三回しか会ってないし、ちょっとしか話してないし、それほど私のことを好きってわけでもないだろうから、そんなに心配しなくてもいいか。
ひかりちゃんと俊くんはあまり話さなかったけど、別れる時はお互いに手を振りあった。
だから、わだかまりは少しは解けた……んじゃないかなって思う。
「ありがと、忍。付き合ってくれて。それにしても玲人、魂抜けてたね。忍って案外鬼だわー」
「え? 私はひかりちゃんの方が容赦ないって思ったよ」
「えー? 私はちょっとからかっただけだけど、忍は死刑宣告してたし」
「いやあ……ああいうことでからかわれるのダメージ大きいと思うよ。私が何も言わなくても致命傷だったと思うけど」
顔を見合わせてそう言って、それからどちらからともなく吹き出した。
結論。どっちにしても玲人くんは(精神的に)死亡決定。どっちもひどいな、私たち。
「まあ、しょうがないね。タイプじゃないんだもんね」
「うん。悪いけど、玲人くんに興味を持てないし」
「ひど! ナチュラルにひどいわ、あんた」
「え、そう?」
「自覚持て。自覚のない鬼だよ、忍って」
ちょっと前まで、こんな会話をひかりちゃんとするなんて思っていなかった。
私が思っていたひかりちゃんと、目の前のひかりちゃんは違っている。
ひかりちゃんが思っていた私と、目の前の私も違っているんだろう。
そして誰よりも自分が、こんな私を知らなかった。
友達と笑い合いながら寮への帰り道をたどる。
ケンカしたり仲直りしたりしながら、前よりも友達と仲良くなっていける。
今日は、生まれてきてから一番幸せなバレンタインデー。




