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7 心をのぞく -1-

 パークでの一日はそれなりに楽しかった。

 油断するとひかりちゃんはすぐに玲人くんと二人で突っ走って行ってしまい、私は俊くんと取り残されてしまうので気をつけなくてはいけなかったけれど。男の子にしては話しやすい俊くんだけど、それでもやっぱり長く話すのは気まずい。今日会ったばかりで、何を話したらいいのかもわからないし。


 置き去りにしたことに気付くとひかりちゃんは戻ってきてあやまってくれたけど。玲人くんはあまり気にしていないみたいで、すぐにひかりちゃんをどこかに引っ張って行こうとするのでちょっと疲れた。


 アトラクションは面白かった。ひかりちゃんと玲人くんはシューティングやアクションゲームを一緒にいっぱい遊んだことがあるみたい。俊くんはあんまりゲームをやったことがないそう。

「母親がゲーム嫌いで、あんまり買ってくれなくって」

 うちのママみたいな親もいるのに、本当に家ごとに違うよね。


 そう言えば、ママがイラストで参加している新しいスマホゲーム『都道府県男子』の大きな広告が出ていた。四十七都道府県をイケメン男子に擬人化し、彼らと共に日本史の隠された秘密を追うというゲームらしい。四月配信開始予定。


 ママの担当イラストも広告に出ていたんだけど。

「あー、この人知ってる。天心院蓮華のイラスト描いてる人だよね」

「俺、こういう女向けのイラスト苦手。キモい」

「そこまでは思わないけど、私もあんまり好みじゃないかなー」

 ……何か、お姉ちゃんが『ママがイラストを描いていることは口が裂けても誰にも言うな』っていつも言っている意味がちょっと分かった気がする。



 いろいろ遊んでいろいろ食べているうちに、日はだんだん西に傾いてくる。

「ひかりちゃん、そろそろ帰らないと」

 私はひかりちゃんの服を引っ張った。


「えー。まだいいじゃん。ここ、八時までやってるんだから」

 玲人くんが不満そうにそう言ってくるが、こっちにも事情がある。

「七時前には寮に帰っていないといけないんです」

 出来れば三十分前には戻りたい。そして寮まではここから二時間以上かかる。


 十津見先生にも暗くなる前に帰れと言われたし。それには多分もう間に合わないけど。

「だね。そろそろ帰ろうか」

 ひかりちゃんが言って、話は決まった。



 テーマパークを出て、駅までの道を四人で歩く。

 ひかりちゃんと私が並んで歩き、男の子二人は少し離れて後からついてくる。

 やっと帰れると思うとホッとした。ひかりちゃんには悪いけど、やっぱり知らない男の子たちと一緒ではかなり緊張してしまう。


「じゃあ、私たち行くから」

 改札が近付いてくるとひかりちゃんが言う。

 ひかりちゃんや玲人くんの家は、ここからバスで二十分ほどのところだそうだ。男の子たちは電車には乗らないから、ここで別れることになる。


 玲人くんが意味ありげに俊くんを突っついた。俊くんはバツが悪そうに下を向いていたが、やがて意を決したように顔を上げる。

「ひかり。あの……今日来てもらったのは、玲人が気を遣ってくれたからで」

「え、急に何」

 ひかりちゃんが眉をひそめた。俊くんはそれにかまわず言葉を続ける。

「俺がお前に言いたいことがあったから。あの……あの時はごめん! そんなつもりじゃなかったんだ」


 ひかりちゃんの眉がキッと逆立った。

「ちょっとやめてよ、こんなところで。忍も聞いてるじゃない。それに玲人が気を遣ったって……俊くん、あんた、あんなことを玲人にぺらぺらしゃべってんの?」

 とても怒っている様子だ。こんな怖い顔をしたひかりちゃんを見たことがなくて、私はどうしたらいいか分からない。


「しゃべってるってわけじゃ……」

 俊くんは気まずそうに黙ってしまう。

「違うって! 何か俊が落ち込んでるみたいだから俺が聞き出したんだよ。ほら、俊って抱え来んじゃうタイプだからさ」

 玲人くんがフォローに入るが、

「何でそういうことするの? 玲人は関係ないじゃん」

 ひかりちゃんの怒りに油を注いだだけだった。


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