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カウントアップ  作者: 東条 李禹
ランクマッチ編
4/5

Level #4

ランクマッチ編が始まりました!

え?いきなりイベント?と思った方もいるかと思いますが、展開の速さを重視しているので申し訳ありません。

内容はその分濃くしていきます!


 突然のゴングによりゲームは始まった。


「これは一体⁉︎」

「クラスマッチよ、すっかり忘れてた。あなたとわたしは今から敵同士になるけど、誓って攻撃しないから、他のプレイヤーに殺されないように気をつけてね」


 と言い残して彼女は視界から消えた。これも彼女の能力である思念伝達テレパシーの一部なのだろうか?

 しかし、考えている時間はない。彼女の言うことと、さっきの音声を組み合わせるとランクE vs Bでゲームが始まる。もちろん、命がけの。そしてこの二つのランクには大きな差がある。


「マズイな」


 定員15000人と言ったか。確証はないが、あれがもし生き残れる人数ならどれだけの人が死ぬんだ。

 こうしちゃいられない。

 おれはさっきまで賑わっていた喫茶店を後にして、駆け足で外に出る。人影はない、が、殺気に満ち溢れているような妙な感覚。

 

「ひとまず、ランク・Eの人々を探そう。味方ではないかもしれないが、同じランクなら敵ではないだろう」


 品川駅のすぐ近くにある喫茶店から移動したのは「品川プリンセスホテル」大きな映画館やホテル、水族館などたくさんの施設がある。人が身を隠すならここしかない。

 下位のランカーが上位のランカーに挑むのは無謀。戦うよりも逃げるのが最優先だ。

 

 大きそうでそうでもない区、品川区。サイのような形をしたこの区を会場としたデスゲーム。

 始まったばかりのゲームをおれを含めるEランカービギナーたちはこのゲームを理解できていない。



◇  ◇  ◇


 場所 ????



「E vs Bか、運営も酷なことをする。ランクの差は戦闘力の差は直結する。いくらビギナーが頑張ったところで結果は変わらない。Bの全勝だ」


 髭を生やした偉そうな男はBの圧勝と予想した。


「いや、そうとも限らないだろ。今回のEには固有能力保持者が2人もいる。もしかしたら、番狂わせあるかもよ」


 チャラ男は見た目に即さない論理的な根拠をもとにEの勝利に期待を寄せた。


「甘いですね。結局は実力ですよ」


 豊満な女は見透かしたかのような目でBの勝ちを確信した。


「それはどうかなぁ?」

 

 気さくな女はそれをさらに反対した。


 世界を救う王に一番近い存在。Sランカーたちの話し合いは完全に対立した。

 四天王と呼ばれる彼らは長年、ゲームを行っていない。なぜなら、強すぎるからだ。自分たちより下位のランカーでは数分と持たないほどの実力が彼らにはあった。

 

 のちに高い壁となる4人の存在を未来の王はまだ知らない。



◇  ◇  ◇



「誰かいないか?おれは戦う意思はないぃ」


 反応はない。真っ暗でなにも見えないが、やはり気配がする。

 なら敵?

 念のために持っていた弾交換不要ノン・リロード銃を構える。上位の敵に勝てる可能性は低い。できれば戦闘を避けていきたいが。


「動くな!動けば撃つぞ!」


 低くよく響く声。男の声だ。

 声色からわかるのは恐怖と不安、負の感情そのものだ。

 

「おれは敵じゃない!ランクはEだ!あんたもEなんだろ?攻撃はしないし、銃も置くから話し合おう」


 少し黙って男は銃を降ろした。

 正直、使ったことのないこの銃で戦うのはリスクが大きすぎるし、反動も測りしれない。

 敵でなくてよかったっとホッとした。


「おれの名前はタイガ。お前は?」

「ミヤだ」


 軽く自己紹介を済ませて、状況と互いの戦力を照らし合わせる。

 

「じゃあやっぱり、このゲームは定員まで殺し続けるのか?」

「そうみたいだ。フレンドのDランカーが教えてくれた」

「互いの戦力は時間巻き戻しカウントアップ・弾交換不要銃と磁場制御マグネット・ショットガンか」


 磁場制御は、体の磁場をコントロールして金属を引き合わせたり、退けさせたりできるらしい。

 本人は気づいていないが、この能力はかなり役に立つと思う。武器が遠くにあっても引く寄せることができるし、弾丸などは退けることができる。

 そして話を本題に移す。

 

「これからどうする?」

「どうするって隠れるに決まってるだろ」


 タイガはハッキリと言った。異論はないが、定員が15000名で全体人数は30000名。内訳はEが20000名Bが10000名ならしい。

 ここで言えることは、Bが10000名全員とEの上位ランカー5000人だけが生き残れる、実力差的にも。

 これはあくまで大体の数字。しっかりと数えるならば、もっと厳しくなるだろう。


「異論はない。が、生き残れるのか?」

「……確証はない。品川の中でも目立つこの場所はおれたち以外にもたくさんのプレイヤーが寄ってくる。その中にはBランカーもいるだろう」

「なるほど。なら、まずはこの場所を本拠地・・・・・・・・にしよう」

「は?」


 おれの作戦は意外と単純。

 拠点をつくりそこに仲間を引き寄せる。拠点からは敵を排除して、外部の敵を奇襲で掃討していく。


「お前正気か?」

「なにが?」

「この狂ってる空間でそんな冷静に殺人を……」

「なに言ってやがる。今は殺らなきゃ殺られる。自分の命が最優先だろ」


 自分の言葉を繰り返し頭の中で言い直してみると自分の言動に驚愕する。なぜこんなことを冷淡に言えるのだろうか。

 死に対する恐怖。これが今のおれにはない、死なないからだ。

 ならば次に大切なのは自分に近しい命。タイガも例外ではない。それを守るためなら、手段は厭わない。

 


 網縞あみしま智也ともやは、ごくごく平均的な少年。……狂った正義論を持つところを抜けば。

 


「さて、作戦の詳細は伝えたと思うが、二人での奇襲は困難だ。まずは仲間を探そう」

「──おう」


 薄暗い部屋を抜けて足音立てずに非常階段を降りる。


「いいか。このホテルは30階だて1階には様々な施設がある」

「オーケーだ。一階一階に敵がいると考えて行動しよう」


 とは言ったものの、敵が現れることはなく気づけば1階についていた。

 予想外だが、ラッキーな出来事でもある。高い場所での戦闘は目立つだろう。他の敵を呼び寄せては意味がない。

 しかし、ピリピリとした空気をずっと纏うのは想像以上に疲れる。おれはともかく、死の恐怖と隣り合わせのタイガにとってはかなりのものだろう。

 気を使って休むわけにもいかない。今は仲間を作らなくては。


「よし。ここからは開けた場所が多いゆっくり行こう」


 やはりタイガには疲れがみえる。戦いはおれ主体でいこう。


 ──その時だった。


 ドーンッという爆発音とともに一組の男女が姿を見せる。

 

「あっごみ虫だ」

「本当ねごみ虫だわ」


 ごみ虫というのはおれたちを表しているらしい。普通なら言い返したいがそれはできなかった。二人からの殺気とも呼べるそれは日常では決して経験できないものだったからだ。

 二人の関係は多分双子。顔立ちがとてもそっくりだ。

 殺気には圧倒されたが、タイガの顔はおれ以上に強張っている。


「どうした。タイガ?」

「最悪だ。まさかツウィンズに会うなんて」

「ツウィンズ?」

「Bランカー・上位5位と6位。カップル・プレイヤー通称ツウィンズ。おれたちの勝てる相手じゃねぇーぞ!」


では、次回もお楽しみに!

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