追放
他の作品でお勉強してたらこんなに経ってしまいました…
すいません…
10/15 意味の通らない部分を修正しました。
王女と密会をした翌早朝。
俺は乱暴に衛兵に起こされ、謁見の間に来ていた。
「おはよう。レン=カタザワよ。昨日はよく眠れたか?」
大臣が聞く。
「ええ、お蔭さまで。…ご用とは何でしょうか?」
知っているので白々しいかもしれないが、おそらくこう聞かないとダメだろうと思い話に踏み込む。
「…言いづらいのだが、貴殿にはこの城を出ていってもらわねばならんのだ。」
実直な答えだな。
だか、それならばこちらも正々堂々としやすい。
「…理由を聞いても?」
これはあくまでテンプレの解答だ。
これで糸口を作り、少しでも裏の情報を得ておきたいものだ。
「3つあるのだが、1つ目はこの国の財政難だ。戦時中のインフレと軍備費で国庫がどんどん圧迫されているのだ。」
それはわかる。
何せ現役男子高校生だからな。
「2つ目は軍部の反対だ。これのせいで騎士団にも入れないようにされてしまった。」
…これも分かる。
何処の馬の骨かもわからんやつに背中は預けられないだろうからな。
「3つ目は勇者召喚の失敗だ。本来なら1人、召喚される予定だったものが4人も召喚されてしまえば足りるものも足りなくなってしまうのだ。」
大臣は説明すると邪魔そうにこちらを見て言う。
…そこまで素直だとかえってわかりやすいな。
「わかったか?」
「ええ、まあだいたいはな。しかし、ひとつわからないことがあるんだ。」
「何だ?」
「何故失敗したのかだ。」
「………」
大臣は突如黙り込む。
言い難いことなのか?
「………それはわからん。伝承通りのやり方でやったら失敗してしまったのだ。」
これは何かを知っている!…と確信が持てたところで大臣の心の戸が閉じる。
「ええい、そんなのはどうでもいい!早くすすめるぞ!次はお前の処遇についてだ。」
…どうなってしまうんだろうな?
「まず、王城への立ち入りを禁ず!我々は王都からも出ていってほしいのだが、王女様の温情によって王城のみになった。王女様に感謝しろ。」
「ありがとうございます、王女様。」
王女はコクリと頷き微笑んだ。
「次に勇者たちへの接触も禁止だ。言わずともわかるな?叛逆されては困るのだ。」
やはりか…
由紀は悲しむな…
「最後だ、勇者召喚について言外してはならん。情報統制のためだ。」
当然だな。
「では、現時刻を以て貴殿レン=カタザワを、王城から追放する?そちらの戸からでよ。」
大臣がそう締めくくったので、
「お世話になりました。」
と皮肉たっぷりに言ってやってから出ていった。
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門へ向かう途中、王女に偶然出会った。
「王女様、お世話になりました。」
「いえいえ、何も出来ず本当にすいません。…こちらをお持ちください。」
そう小声で麻袋を出してくる。
中には硬質のものが入っているようだ。
「これは旅の支度金です。どうかお役に立ててくださいね?」
「ありがとうございます!」
「それでは、また会いましょう?」
「はい、またいつか…」
そう別れを告げ、裏門から出ていったのだった。