鑑定と嘘
す前回活動報告をTwitter「で」と言いましたが、通常通りなろうの活動報告も致します!
紛らわしい形となってしまいすいません。
「皆さん、ついてきましたわね?では、ここで貴方達のステータス…能力値を測らせてもらいますわ!」
王女が部屋に入りつつ言う。
連れてこられたのは薄暗い部屋で、俺たち以外には司祭のような人が3人部屋の中心で水晶を持ちながら立っており、およそ大臣クラスの人間が10人程部屋の奥でニヤつきながら座ってみている。
扉が閉まると同時に、王女がくるりとこちらを向く。
「こちらの水晶で貴方達のステータスが分かりますの。ではまずメイさんからお願いしますわ」
呼ばれた萌瑋さんは水晶の前まで来る。
その目には期待と不安が満ちていた。
「…………」
司祭達が小声で詠唱し始める。
おそらくは情報隠蔽のためだろう。
しかし、俺には全部聞こえている。
ここまで耳がよかった覚えは無い。
どうしたんだ…?
不思議に思いつつも、水晶の方を見てみる。
終わったのか司祭が王女に耳打ちしている。
「………」
「まあ!萌瑋さん!「勇者」のジョブをお持ちですのね!素晴らしいですわ!!!」
周囲がどよめく。
大臣たちの中には勇者が女なのが不満な人間もいるようで、こちらを睨んでくるやつが何人かいる。
俺には決められねぇよ?
「次ね!アイリさん!こちらへ」
不安そうに水晶を見つめつつ愛梨さんが歩いていく。
「…………」
やはり小声で詠唱しているし、それがはっきりと聞こえる。
転移の時になにか能力を貰ったのか…
今度は水晶を見つめてみる。
おおよそ何も見えないだろうが、なにか手がかりは得れるかもしれない。
見つめること数秒後、ある表示が頭に浮かんだ。
『鑑定水晶(劣化)
HP100/200
MP0/0
能力鑑定Lv1』
これは…水晶自体のステータスか?
では、一度鑑定が終わっている萌瑋さんならどうだ?
『メイ=ルリハラ(瑠璃原 萌瑋)
18歳 人族(転移者) 勇者
Lv1
HP50,000/50,000
MP30,000/30,000
力S
守A
速A
魔A
火A
水A
風A
土A
光A
闇A
聖剣術Lv10
不屈の心Lv10
光の鎧Lv10
HP自動回復Lv3
』
なるほど、これは鑑定能力のようだ。
しかも水晶より能力が強いようだ。
なら自分はどうなのかと、自分自身を鑑定してみる。
『レン=カタザワ (片沢 漣)
17歳 人族(転移者)・竜人族 龍神
Lv683
HP93,200,000,000/100,500,000,000
MP5,000,000,000,000,000/5,000,000,000,000
力SS
守SSS
速SS
魔SSS
火SSS
水S
風SS
土SS
光SS
闇S
【以降すべてLv10】
身体強化
鑑定
剣術
槍術
槌術
弓術
薙刀術
聖剣術
魔剣術
能力複製強化
龍化
飛行
HP自動回復
MP自動回復
不老不死
寿命付与
星術
空間魔法
時空魔法
重力魔法
隠蔽術
』
…は?
はぁ?
ナンダコレナンダコレナンダコレナンダコレ!?!?
チートにも程があるぞ!?
神、程度知れよ!
って思ったが俺も神じゃん…
どうしよう…とりあえず隠蔽術で隠すか…
そう1人心の中の葛藤をしている間に鑑定が終わったらしい。
「…………」
「ふむふむ、アイリさんは「軍師」ですわ!!!」
「へ?アイドル?」
「はい!軍を率いる軍師ですの!」
「…そう、ですか」
…ああ、なるほど。
この声に聞き覚えがあると思ったら正統派アイドル「IRI」の声か。
というか反応を見る限り本人だな。
まあ、アイドルはあまり興味がなかったから、知らないがIRIはよく歌を聞いていたな…
「次にユキさん!こちらへ」
「はい!お願いします!」
めっちゃ緊張してるな、あいつ。
「……………」
目を瞑り嘆願するように手を合わせている。
「………」
「ユキさん!貴女は「聖女」様ですわね!良かったですわ!」
「ありがとうございます!」
鑑定の終わった由紀が走ってくる。
「!凄いよ!凄いよ漣くん!私、聖女だって!!」
「お、おう。良かったな!」
「ふっふふ~さぁ、次は漣くんだよ?」
王女が微笑ましく見ていて、水晶の前まで行くと
小声で「仲が良いですわね」と言われてしまったのは秘密だ。
「……………」
どのような表示になっているのかはわからないが、まあ隠蔽したし大丈夫だろう。
終わったようだ。
「………」
「ん?「騎士」?それだけですの?」
「………」
「…わかりましたわ。レンさん、貴方は「騎士」ですわ…」
周囲が静かになる。
先ほどまでのどよめきが嘘のようだ。
「…そうですか、ありがとうございます。」
由紀が心配そうな目で見ている。
「…では、皆さん。食事に致しますわよ!」
沈黙を破るように王女が言う。
正直有難い。
「それでは、行くか!」
萌瑋さんも話に乗る。
大臣たちも「そうするか」などと言って部屋を出ていった。
王女がそれを横目に見つつ先導役をするためにこちらにやってくる。
「…後でまたここに。」
すれ違いざまに王女が言う。
…なんだろう?
俺はそう思いながら食堂へついていくのだった。