日常と非日常
おはようございます!
新作出来ました!
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キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン…
俺の高校の放課のチャイムが鳴る。
俺は片沢 漣。
どこにでもいるような男子高校生である。
俺はいつものように廊下を歩いている。
そして、廊下の向こう側、下駄箱の辺りに見慣れた顔の女子生徒がいつものように手を振っている。
彼女は幼馴染の小鳥遊 由紀だ。
「漣く~ん、帰ろ~」
のんびりとした声で由紀は言う。
「お~う」
俺も気だるげそうに返す。
そう、これが俺たちの日常であった。
◇◆◇
しばらく進み商店街エリアに入った時、突然由紀が気づいたように口を開く。
「ちょっといい?漣くん」
「何?」
「夜ご飯の買い物しないと、冷蔵庫に何も無いよ~」
「それはやばいな…よし!買いに行くか!」
これもやはりいつも通り。
俺たちはスーパーで買い物が終わるとまた帰途についた。
◇◆◇
雑談しながらも進んでいき、互いの家から200m程の距離にある神社近くの公園まで来て、俺達は2人でコンビニエンスストアで買ったアイスを食べながらダラダラと雑談をしている。
例えば今日〇〇が告白されただの、△△先生の頭は今日も輝いてた~だの、くだらないがこれも日常、平常運転。
俺は日常とか平常とかいつも通りという言葉が好きだ。
人によってはもっと変革を求めた方がいいと言うが、俺はこのいつも通りの生活に満足してるし、変わって欲しくもないのだ。
そんなことを思っている間に食べていた棒アイスは棒のみになっていた。
俺は棒を捨てようと近くのゴミ箱まで歩いていく。
しかし、この時までいつも通りであったものがいつも通りでなくなっていた。
具体的に言うと、アイスの棒に「当たり」ではなく謎の言語がびっしり書かれていたのである。
俺は驚き、腫れ物を手に乗せられた時のように棒を投げ捨てた。
「きゃああああああぁぁぁ」
由紀の声だ!
俺は急ぎ彼女の元へ向かう。
すると、彼女が食べていたカップアイスの容器とそれ用の木のスプーンが俺のと同じように謎言語が書き連ねてあったのだ。
俺はすぐさま容器とスプーンをゴミ箱に投げ入れ、バックと買い物袋を持ち由紀の手を引いて公園から出ようとする。
がしかし、出ようとすると見えない壁に遮られ、出ることが出来なかった…
「漣くん…」
由紀が不安そうに抱きついてくる。
「大丈夫。俺も一緒だ…」
俺は安心させるように言う。
ついでに頭を撫でてやると少しは落ち着いたのか、抱き締める力が若干弱くなった。
ただ、今の状況が非日常的であることに変わりはない。
俺たちはこれから来るであろう変革に備える。
空はどんどん暗黒を含んでいき、足元にいつの間にか出来ていた魔法陣が光っている。
その光がどんどん強くなり、周りが明るくなるほどに輝いたあと光は俺たちを包んだ。
俺たちはお互いが、決して離れぬように抱きしめあった。
◇◆◇◆◇
光が晴れるとそこは中世ヨーロッパのお城のようなところだった。
由紀は隣でこの光景を見て「うわぁ~」と声を上げている。
俺たち以外には更に横の方に日本人らしき人が2人。
どちらも帽子とマスクを付けていて顔は分からない。
前には金髪ロングの少女と栗色の髪の老人が跪いていて奥には玉座があり、少女と同じ金髪の壮年男性が座っていた。
さしずめ前にいるのは「王女」と「大臣」。奥は「王」だろう。
すると、目の前にいる「王女」が声を発し始めた。
「皆さん、よくぞお越しになられました!貴方達は異世界より勇者召喚の儀で呼び出された素晴らしい魂をお持ちの方々です!貴方達と出会えた事は私共にとって大層光栄にございます。申し遅れました、私はユーリ・メイズ・フューリティア。このレティスマータ王国の第一王女になります。以降お見知りおきを。」
…なんてことだ。
俺たちは非日常の中の非日常、異世界に転移してしまったようだ。