鉄の団の終わり
ここまでヒロイン一切なし。読んでくれてる方ありがとうございます。でもまだこの話まではヒロインは出てきません。
炭鉱の町の連中はなんだかよくわからんうちに俺を隊長とか呼び始めていた。なんだか面倒くさくなってきたから俺は思いついた名案をアレクセイに話してみた。
「おい、面倒くせえから俺がバスクとかいうのを殺してきたら解決じゃねえか?」
「正気か?」
真顔で返された。むしろ何で正気を疑われるのかわからねえ。俺の力を以ってすれば略奪も殺戮も思いのままよ、とめられる要素がねえ。
「後手に回り確かに今は苦境に立たされているが、さすがに鉄の団の中枢に侵入するのはリスクが高すぎるだろう」
なんか勘違いしていやがるなこのキザ野郎。
「いや、侵入なんてケチくせえことするわけねえだろうが」
「侵入しないでどうする?魔法でも使えるのか?」
「正面から全員皆殺しにするだけだが問題ねえだろう?」
俺の名案はさすがにこいつも予想だにしていなかったのだろう。表情がひきつっている。
「いや、貴殿がやるというからにはやるのだろう、だが単身で乗り込むのは・・・・・・」
「うるせぇな、俺が殺るって言ったら殺るんだよぉっ!!」
俺はアレクセイを放置して鉄の団が陣を敷いているという渓谷を訪れることにした。
よく馬で出てこれるなというレベルの地形を歩いていると、鉄の団らしき集団が襲ってきた。自然を堪能していた俺の邪魔をした罪は重い。貴様ら全員死刑だあああああああ。ちなみに出てこなかったらこないで、面倒をかけた罪で死刑だああああああああ。グヘヘヘ。
「ここから先は行き止まりだ。おっと、後ろにも道はない。なぜなら貴様はここで死ぬからぶへぁ!?」
前口上を述べようとしていたマヌケにそこらに落ちていた岩を投擲する。見事に顎をぶち抜かれたマヌケはその場で絶命、次々に岩の投擲で数を減らしていく。ぐへへへへ・・・・・・こういうのは得意なんだ。
「おのれ、卑怯な!!正々堂々と挑んでこい!」
「馬鹿が、勝てば何をしてもいいのよぉっ!ゲハハハハ!!」
一人を集団で囲んでいる事実はどこへ行ったのか謎な正々堂々だが、リクエストに答えて間合いをつめると、一撃で即死された。ゴミ以下の強度じゃねえか。
ものの数秒で全滅させてそのまま奥へ奥へと俺は進む。道中300人かそこらを片っ端から殺して回ったが、俺の体は返り血一つあびてねえ。我ながら天才的な拳の冴えだ。
「貴様がゼロとかいう男か」
偉そうな奴が馬の上から俺を呼び止めた。紫の長髪、鼻の上で一文字に走る傷、大柄な体に動きを阻害しないアーマーを着込んだ目つきの悪い男、アレクセイに聞いたバスクの特徴だ。つまりこいつを殺して俺のやることはおしまい。
「機神破砕拳究極奥義・神魔撃滅!!」
俺は問答無用でバスクに飛び掛り、全身から気を放出、その出力で小型の太陽になり奴の肉体を消し飛ばした。
「な・・・・・・何?」
バスクの部下らしき騎士が事態を理解せず、間の抜けた台詞を言う。
「見ての通りだ、何か言おうとしていやがったが、消し飛ばしてやったぜ、ゲヘ、ゲヘヘ、グエッヘッヘ」
奴の目的も何も知ったことではねえ。俺は邪魔な奴を殺しておしまいだ。
ついでということで目撃した雑魚共も一人残して片っ端からゴミにしてやった。
「お、お助けをおおお!!」
「うるせえ!!お前は炭鉱の町へ行け。そしてアレクセイにバスクと鉄の団を葬ったことを伝えろぉ!!オラ!!オラ!!ウルアアアア!!!」
ひとしきりボコボコにしたその騎士の背中鎧をはぎとり、むき出しの背中に手紙をしたためる。
皮膚を爪でほじくるたびに悲鳴があがって面白い。おっと、殺しちまうと本末転倒だ。
バスク撃破、俺は旅に戻る。次寄った時になんか食わせろ。
俺はこれだけ書くと騎士を放った。
「さーて、次こそ略奪しねえとな、ゲッヘッヘッヘヘェ・・・・・・」
アレクセイの手記
バスクについては撃破したことしか書かれていなかったが、鉄の団との決戦を犠牲を出さずに達成してくれたことに感謝がつきない。
ゼロは紛れもない勇者に違いない。彼はこの世紀末の救世主として次の人々を救う旅に戻ったのだろう。難事をなしとげたというのに礼の一つも求めない高潔な精神、身分すら超越した尊敬の念を抱かざるを得ない。
次あったときはバスクの最後を聞いてみよう。あの男が何を望んでいたのか、そして何故このような結果になってしまったのか、義理とは言え私は兄として知らなければならないだろう。だがきっとゼロならば、強敵<とも>として想いのすべてを受け止めてくれたことだろう。勇者の旅立ちに祈りを残して今日は筆を置こう。
※ちょこっと人物紹介
ゼロさん・・・・・・一つ所にいると飽きちゃう人。放浪癖がひどい。あとすごい自己中。でも必殺技は容赦なく出血大サービスで使う。
アレクセイ・・・・・・ますますゼロへの勘違いが悪化している。もし次回遭遇したときゼロのピンチだったら身代わりに死ぬくらいに惚れこんでいる。なおこれは勘違いである。
バスク・・・・・・ゼロさんを付けねらって砂漠を追いかけていたら、一足先に召還陣にまきこまれてこちらの世界に来ていた人。機神喪心掌という流派の達人で、機神をハッキングして操作可能。一足先にこちらにきたのが10年ほど前、その過程で勇者がゼロさんであると予測し、共に飛ばされた機神を復活させ、ゼロさんを倒そうと思っていたのだが・・・・・・ゼロさんは覚えていませんでした・・・・・・。
手紙の人・・・・・・その後炭鉱の町で度Mに目覚め、度Mバーで働いている。
次回はまた別の場所へ旅立ちます。