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異世界世紀末勇者無頼伝説   作者: ヘルメット
2/24

炭鉱の町の勇者

今回のお話は炭鉱の町です。

 街道沿いの村を出たあと、森を抜け、川を超え、山も超えようとしていたら鉱山の町に出た。

俺の拳法【機神破砕拳】を以ってすれば鉱山を掘ることもたやすい。坑道の一つでも穿り回してやれば素直に食料をよこすだろう。


「なんだぁ?」


 俺がたどり着いた町の入り口にはバリケードが張り巡らされていた。そこかしこに死体も転がっている。数人の兵士と思しき武装した集団が俺を囲んで槍を突きつけてきやがった。


「この町に何しにきた、よそ者は去れ!!」


 こいつ怯えてやがる。ぶれぶれの槍を指でつまんでやると、押したり引いたりしようとしてもがいているがはっきりいってお話にならない。


「くそ、動かない、うわあああああ」


 そのまま持ち上げて捨ててやると別の奴が話しかけてきた。


「あんた、【鉄の団】の人間じゃないのか?」


「そんな奴等はしらねぇ。俺は歓迎されに来たわけだが、こういうのは望んでねぇ」


 男はしばらく考えた後に俺に話を持ち掛けてきた。


「ならあんた、腕は立ちそうだし俺達の用心棒やってくれんか?」


「ああん?用心棒だぁ?」


「ああ、謝礼もきちんと出すし宿と食事も提供する。どうだ?」


 働くとか面倒くせえと思いつつも、悪くはない条件だったが、俺を報酬で釣ろうとするのが気に入らねぇ。俺は俺の意思でしかやらねぇ。


「お断りだぁ。俺は俺の好きにさせてもらう。鉄のなんとかとか知ったこっちゃねえ。ムカつく奴ならぶち殺すだけよ、だが宿と飯はよこせ。」


「え、ええ?」


「わかったのかてめえらぁ?」


 俺は地獄の底から湧き出るような声で要求をつきつけると、こいつらは従った。生物としての格の違いがよくわかるぜ。間違いなく俺の方が上だ。


 俺は町を歩きながら警備してる奴らを見て選別をする。あいつは駄目、こいつも駄目、駄目駄目駄目駄目、こいつら全然戦力にならねえ。鉄の団とかどんな奴らがくるんだか知らねえが、まあまともにぶつかれば生き残りは少なくなりそうだ。


「おい、そいつは何だ?なぜ間者を連れてきた」


 こいつは、ある程度できそうだ。長髪のスカした顔の若い男が俺に指を突きつけて案内していた男共にからみやがった。


「アレクセイ様、この者は旅人でございます。宿を所望されております」


「鉄の団による襲撃が目前だというのに旅人なわけがないだろう、鉄の団の斥候にきまっている。そうだろう貴様!!」


 アレクセイは俺に殺気をぶつけてきやがった。確かにこの町の奴ではできる方だが、俺にからむとは勘違い野郎だ。


「お前がこの町のボスか、俺に食事と宿を提供しろ。さもなければどうなるかわかるだろう?」


「馬鹿、やめろ!?アレクセイ様はな・・・・・・」

 

 横から何かいおうとしていた男の言葉は最後まで発せなかった。俺の背後にいた奴が問答無用でそいつの頭をねじ切ったからだ。


「さすがだな、アレクセイ王子。寡兵で視察に等くるからどんな盆暗が来ているのかと思ったが、なかなかやるようだ」


「単刀直入に聞こうか、貴様ら鉄の団の長は私の義弟、バスクか?」


「そこまでわかっているのなら話は早い。貴方には死んでもらいましょうか、そしてこの炭鉱の奥に眠る神の復活をさせていただく」


 俺を無視して話が進んでいく。許せねぇ。アレクセイが目配せすると青い鎧に身を包んだ騎士が数名飛び出し、間者目掛けて切りかかる。しかし間者は次の瞬間残像を残し一人の騎士の頭上に上ると頭を掴み、首をねじ切った。この技は機神破砕拳奥義・暗転殺!!次々と騎士達は首をねじ切られて死んでいく。間者と騎士達の戦力の差はガキでも見ればわかる程の差だ。


「貴様、名前を名乗れぇ。そして機神破砕拳をどこで覚えた」


「なんだ、貴様?とうに名前など捨てたわ。冥土の土産に教えてやるが、この技は我が鉄の団の長、バスク様から伝授された技よ」


「俺の名はゼロ、覚えておけ。最もてめぇは生かしておけねぇがな」


 俺の台詞が終わった瞬間、アレクセイが不意打ちを間者にかましやがった。


「あまいわ!」


 アレクセイの突きは鋭かったが間者はそれを回避して上にとびやがった。狙いはアレクセイの首。


「あまいのはてめぇだ!ぐえっへっへっへぇ」


「馬鹿な、俺の技が破られただと、ぐぎゃあああああああああ!?」

 来る場所がわかっていれば防ぐことなど造作もない。その技は暗殺拳なのだ。見られながら使う技じゃねぇ。俺はアレクセイの首目掛けて襲い掛かる間者の両腕めがけて奥義を放ち打ち落とす。


「機神破砕拳奥義・破掌落命。その手の傷は貴様の全身に広がる。帰ってバスクとやらに伝えるがいい。このゼロの名をなぁ。グフ、グヘ、グエッヘッヘェ」


「馬鹿な、何なのだ貴様は、貴様さえいなければ、ぐぅ・・・・・・」


 間者はそれだけいうと全力疾走でこの場を離れた。最もあと数時間もすればあいつの傷は心臓にまで達し死ぬのだ。俺の技こそが本物なのだ。


「ゼロ、とかいったか、貴殿の助力に感謝する。あのような使い手が侵入してくるとは思っていなかった。貴殿がいなければ私の命も危うかっただろう。このアレクセイ・ド・クレール、心からの礼を以って貴殿を歓迎したい」


「グエッヘッヘェ、そういうなら歓迎してもらおうじゃねえか。おら、てめえら見てんじゃねえよ!!酒と食い物をもってこいやああああ!!!!」


 俺はそこら辺の町の連中に聞こえるように大声をあげる。犬は逃げ出し、ガキは泣き出したが俺の知ったこっちゃねえ。

 この日はアレクセイに話を聞きつつ宴を満喫した。最近略奪してねえ気がするが、人に食わせる程物があるってのはいいことだ。




アレクセイの手記



 義弟バスク、どこからか父王の連れてきた得体のしれない技の達人であり、その目的は一切不明だが神とよばれるモノを復活させようとしている。その手段は非常に過ぎ、私はその目的の妨害をするためだけの後手に回っている日を倦んでいた。

 間者が紛れ込んだのはすぐにわかった。私は住人全ての名前と顔を把握しているのだ。ゼロという男については、あんなにでかい不自然な間者がいてたまるか、という思いが先行したが、目を見ればあの鉄の団の狂信は感じられなかったので初めはスルーした。

 しかし私の思っていたよりも間者は強く、あわや一巻の終わりというところをゼロが助けてくれなければこうして手記など書いていられなかったことだろう。

 しかしあの兜はどうにかならないものだろうか。あとあの笑い方だ。今日日、山賊の頭領でもあんな笑い方はしないだろう。育ちに問題があるのか、出身地の特性なのかわからないが、今の私にわかることは、あの男は義憤で動き、困った者は見捨てられない好漢だということだ。

 明日、あの男には全てを打ち明けてみよう。敵が強大なだけに無理強いはできないが、彼ならばあるいは。





※ちょこっとキャラ紹介


ゼロさん・・・・・・機神破砕拳を使いこなす無頼漢。でかい。好きな食べ物は肉。酒は飲むがアホみたいな量を飲んでも酔うことがない体質。メチルアルコールを飲むと常人は死ぬが、ゼロさんはほろ酔いですますレベルでアルコールにつよい。近未来に生きている彼らの体質は毒物耐性がやたらすごいのだが、ゼロさんはその中でも更にすごい頑丈。彼の機神破砕拳は一子相伝のため、他の人物が使うとマジで怒る。なお、全ての拳法を網羅した最強の拳法たるこの機神破砕拳には似たような技を使う別の流派の可能性も多大にあるのだが、ゼロさんはそんなこと気にしない。目についたらデストロイ。


槍の人・・・・・・ゼロさんに優しく遊んでもらった炭鉱の町の青年。鉄の団と戦うのは実は怖いので嫌な人。彼の父親がB24坑道掘削中に【神】を発見したために今の状況になった。


槍の人の横にいた人・・・・・・アレクセイが間者を指摘したがために死んだ人とも。実はラーメン屋の親父で、彼が死んだことで店の味付けが息子によって大幅に変わり、行列のできるラーメン屋になった。彼の味付けはくそまずかったらしい。しかし町の人はたまにあのくそまずいラーメンがくいたくなる時があるらしい。なお、もしゼロさんに食わせていたら・・・・・・切れて殺すなんて展開にはならない。ゼロさんは割りとなんでもおいしく食べる人。


アレクセイ・・・・・・イケメン王子様。病身の父王に代わり政務についてる兄王子は動けないため、代わりに謎の義弟バスクの野望を妨害するために炭鉱の町に来ている。彼のつれている騎士達は青い鎧を着ている。本人もこの世界の普通の人にしては強い方だが、今回は相手が悪かった。


アレクセイの騎士達・・・・・・青鎧の精鋭。全部で20人がついてきているが、今回4人死んだ。彼ら一人で山賊三人は相手にできる猛者だが、相手が悪かったため犬死する。


間者・・・・・・今回の敵。ゼロに破壊された手の傷は全身を粉砕する。絶命する前にゼロとアレクセイの情報をバスクに伝え、死亡する。


神・・・・・・炭鉱の奥に鎮座していたゼロの世界に関係ある存在。まだでてこない。

キャラ紹介欄書いてると楽しいです。

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