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因縁

「まさか佐藤しおり、こんなとこで会うなんて運がいい」

俺たちは、その声のほうを向いた。

花火が打ちあがる中、静かにこちらに近づいてくる少女。

その少女は、バスケットボールを指の上で回りしている。

その少女はなぜかジャージ姿だった。

しおりは、つまらなそうに言った。

「中学時代、随分私を止めようとしてきたボロカスにした女じゃない」

なるほど・・・

バスケ関係の奴だったのか・・・

だからバスケットボールなんて持ってるわけだ。

暗くてよく見えないが、黄色い花火が打ちあがったとき、その顔が照らされ、ハッキリと分かった。

金髪で、髪型はポニーテイルの碧眼少女で、少しギャルっぽい感じで整った顔立ちをしている。

しおり以外の3人(俺を含む)は、この状況を見ているしかなかった。

目の前の少女は、拳を強く握り締めて言った。

「私は、今日お前を越えたことを証明する。」

すごい強い想いが伝わってくる。

しおりは、どうでもよさげに言った。

「私は、もうバスケをやめた。あんたに因縁つけられる理由がない。」

「ある!」

大声でそう怒鳴った金髪少女。

しおりは、ため息をつき、

「過去にいつまでも囚われてて情けない。」

「何とでもいえ。私はお前を倒すために頑張ってきたんだ」

まさか打倒しおりをここまで掲げて頑張ってるやつがいるのに驚いた。

あまりにも俺からしたら、すごすぎて目標にできるような存在じゃなかったからな。

「今の私にバスケなんて必要ない。そんなもんで勝ちたいんだったら、わざと負けてあげるわ」

「ふざけるな。私は、本気のお前を倒さなければ気が済まない」

しおりは、鼻で笑うと、

「なら私とあんた、オフェンスそれぞれ5回ずつやって、点を多くとって勝ったほうが勝ち。これでどう?」

しおりの提案に、少女はこういった。

「10回ずつだ。私の力を思い知らす。」

「いいわ。地獄に落としてあげるわ」

ゴールのある公園に移動して、しおりは、トイレでたまたま持ってきていた私服に着替えた。

そして因縁の対決が始まった。

しおりがオフェンスで一対一の勝負が始まる。

「来い。佐藤・・」

「黒田クラスの馬鹿には、強烈なのが良いわね」

そう言って、いきなりシュートモーションに入った。

「入れさせな・・」

止めに行く少女。

「かかったわね」

途中で止め、右側に直進してしおりはむいた。

「く・・」

ものすごい速さで、しおりはゴールしたまで持っていくと・・・

「まず一点っと」

一メートルは軽く飛んだだろうか・・・

人とは思えない跳躍力で飛んで、ダンクをぶちかました。

「嘘でしょ・・」

少女、そして俺たちも驚いていた。

「おいおい、あいつ人間なのかよ・・・」

「さすが孤立クイーン・・・」

しおりは、反応を見ても表情を変えず言った。

「こんなの私が出来ないわけないじゃない」

少女は、目を輝かせていった。

「面白い。それでこそ私の宿敵」

「勝手に言ってなさい小娘」

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