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幸せを届ける花火

修助と小熊は、なかなか帰ってこないしおりに呆れて帰ってしまった。

俺はそういうわけにも行かないので、後10分程で終わる花火大会の花火を、一人見ていた。

なんともいえない気分だ。

「龍翔、待たせてごめん」

俺は、その声の主がすぐわかった。

「しおり、用は済んだか?」

「うん」

どこかすっきりしたな顔のしおり。

「お前なんか吹っ切れたような顔してるな」

しおりの口に笑みが浮かぶ。

そして呆れたように言った。

「そうね。どっかの熱血さんのせいでこのざまよ」

「そうみたいだな」

しおりは、言いずらそうに言った。

「わっ・・・私ね・」

「ん?」

「バスケまたやろうかなって思うの」

どこか嬉しそうで、恥ずかしそうな感じのしおり。

俺は、それを見て、応援してやりたい気分になった。

「俺は、お前の意見を尊重する。」

しおりは、少し安心したようにため息をつき、胸に手を置くと、

「ありがとう龍翔。」

「何で謝るんだよ?」

しおりは、上目遣いで、涙で曇らせた目でこちらを見て、言った。

「いつも私の事を考えてくれてありがとう。」

言いながらボロボロ涙を流しているので、俺は涙を拭ってやった。

「俺は当たり前の事しただけだよ」

そう・・・

もしかしたら今まで自分は、頑張ることが出来なかった事への後悔からっていうのもあると思う。

でも、これは本当だ。

「俺は、今日のお前を見て思った。お前はがむしゃらに突っ走ってるときが一番似合ってる。だからお前には、自分の好きなことへ何も考えず突っ走って欲しい」

しおりは、ボロボロ溢れる涙を拭いながら、

「生意気なこと言うじゃない」

と照れくさそうに言った。

その姿は、なんかすごい魅力的だった。

しおりは、ニッと笑うと、からかうように言った。

「私が頑張っちゃったら、あんた困るんじゃない?」

「おいおい・・。嫌味なこと言うなよ」

しおりは、「フフっ・・そうね・・。」嬉しそうに笑ってそう口にすると、

「見てなさいよ。私が通るだけで、人だかりが出来るぐらいまで、有名な逸材に私は、必ずなって見せるわ」

俺に指をさして強気で、そう言い張った。

俺は、それを見てこいつらしいなって思った。

「それでこそ白川しおりって感じだな」

「だから・・」

しおりは、俺の手を握って、笑顔で言った。

「いつも私の傍で、私を見守っていてくれる?」

俺は、可愛らしくどこか大人びたしおりの姿を目の当たりにして、なんか娘が出来たような気分で微笑ましかった。

しおりへの返答は決まっていた。

「当たり前だろ。俺は、お前の幸せのためなら死ぬ気で、頑張ってどこまでもついていく」

「ありがとう」

こうして俺たちの花火大会は、幕を閉じた。

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