勝利への執念
今度は、金髪少女のターンだった。
いきなりシュートモーションに入る。
しおりは、微動だにしない。
少女は、そのままシュートをしようとした瞬間。
パン!
目にも止まらぬ速さで、しおりがブロックした。
「ウソッ・・・」
しおりは、当たり前と言った表情で言った。
「随分舐めたまねするじゃない。いきなり打って入れられると思った?」
「次は入れる」
「無駄。私にあんたは勝てない」
互いに火花を散らしていた。
しおりは、今度は先ほどと打って変わって、ドリブルで少女を左右に揺さぶる。
「抜かさせない」
必死のディフェンスで、しおりを抑えている。
正直ここまですごいとは思わなかった・・・
目の前で見ると、すごすぎて言葉が出ない・・・
俺とか体育の授業じゃ、よくボールポンポン取られてるってのに・・・
それどころかボールに触れることができればラッキーみたいなかんじなのに・・
こいつら見てると、黒歴史にしか思えないよ・・・
「とろい」
またしおりがぶち抜いた。
そして今度は、後ろ向きでダンクした。
もうプロの試合見てる感じだった。
その後も一方的にしおりが押していく展開だった。
でも全く諦める様子なく、夢中でしおりと戦っていた。
その姿に俺は感動していた。
二人とも俺と同学年とは思えないほど、たくましかった・・。
「私は、お前に勝つ。」
「だから無駄」
バン!
少女が抜きに来たのを予測したブロックだった。
少女は、バランスを崩して倒れる。
しおりは、見下ろす形で行った。
「もうこれで8回目。スコアは8対0.勝ち目のない戦いにそんな闘志燃やすだけ無駄」
言い過ぎじゃねえかと思ったが、少女はそれに対してこう返した。
「一点と0点じゃ雲泥の差がある。だから私は諦めない」
少女の熱い言葉は、俺の心を振るわせた。
俺は、大声で応援した。
「二人とも頑張れ!」
二人ともきょとんとした顔つきだった。
それに続き、中村と小熊も
「頑張りなさい」
「頑張れよお前ら!」
二人とも顔つきが変わった。
「私が完勝する姿見てなさいよ」
「いや私が点を取る姿見せてあげるわ」
少女のターンで始まる。
「これを含めて2回。これ以上落とせない」
「あんたの全てを私にぶつけてきなさい」
シュッ・・・
先ほどとは段違いの速さだった。
一発であのしおりをぶち抜いた。
「なっ・・」
しおりは、焦った感じで、追いかける。
少女のレイアップが炸裂する寸前に・・・
「もうブロック確定ね」
追いついた・。
なんていう身体能力・・・
でも・・・
「残念。これは、私の勝ち。」
右手から左手に持ち替えて、ゴールの反対側の反射角にシュートを放つ。
「ダブルクラッチ・・・」
見事にゴールにボールが吸い込まれ、初得点。
「おおwwwwすげえ!」
俺たち3人は、興奮していた。
しおりはここで、ヒヤッとした顔して言った。
「まさかさっそく取られるなんてね」
少女は、自分の胸を拳でポンと叩いて言った。
「有限実行達成」
最後の勝負。
ここにいるみんながすごい緊張していた。
一体どうなるんだろう・・・
「これで、最後か」
「ええ・・」
「これ決めて、すっきり終わらしてもらうわ」
「そうはさせない」
しおりは、いきなりシュートモーション。
でも今度は、反応しない。
それを読んでいたのか、そのままシュートしに行くしおり。
「そこだ!」
ジャンプしてブロックしに行く少女。
そこで、ボールを下に下げ地面に、ボールをバウンドさせるしおり。
「くそっ・・」
そしてバウンドして、ゴールしたの所で丁度バウンドしたボールを取ろうとしたしおり。
「させない。」
すごい速度で、ダッシュして追いつく少女。
「やるじゃない。でも・・・」
しおりは、スピンで、逆サイドにかわしてバックシュートを決めた。
「くそっ・・・」
結局しおりのオフェンスは、一回もとめることが出来なかった少女。
でもその目は死んでいない。
「取り返す」
疲れを感じさせない華麗かつ素早いドリブルで、しおりを抜きにかかる。
でもしおりは、上手く対応して、抜かせない。
「もうさっきのようには行かない」
少女は、後ろにステップバックした。
「なっ・・」
反応に一瞬遅れたしおり。
フリーの状態で少女はシュートを放った。
綺麗な放物線を描いて、ゴールに向かっていった。