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異世界からの来訪者

書こうかな、と思っている脳内作品のプロローグ部分です。2話書いてみました。

続き、気になりますかね?

良ければ感想ください

 ”三百万分の一”とは本来ならもっと素晴らしいものだと、俺は思うわけだがどうか。


 一兵卒の常識に当てはめて考えてみよう。

 およそ三回に一回、訓練の時嫌な奴とペアを組まされる。

 およそ三十体に一体、斬り捨てたゴブリンはその魔力を封じ込めた結晶を残して消滅する。

 およそ三百日に一度、花屋のあの子はこちらを振り向いてくれたらいいなぁ。

 およそ三千回に一回…………何だ? 思いつかないがともかく、三千分の一の確率で起きる出来事とは、きっともの凄く希少価値の高いものであるはずだと推測できる。掛け値のないものなのだろうと。

 そしてそれを遥かに凌駕する”三百万分の一”という確率を自分の手中に収めた時とは、果たしてどれほどの喜びをもたらしてくれるのだろうか? 狂喜のあまり、全身の穴という穴から謎の汁を噴出して死んでしまうかもしれない。俺はそう思っていた。



 生まれてこの方、およそ幸運と他人に羨ましがられるようなイベントが起きたことは、ただの一度もない。50%の確率だったら常に二度目であたりを引いていた。物はよく失せ、金は風にさらわれ、色恋沙汰は気配も無く、突然の雨に対処できたことは一度もない。

 生きてて楽しい? と真剣に問われたことがある人間も珍しかろう。

 そんな俺は、十五の時、自国を魔物や他国の攻撃から守護する王国兵に志願した時も、三歩歩けば流れ弾に当たって死ぬからやめておけ、と全力で両親に引き留められた。そんなわけあるか、と引き留める両親の腕を振り払って戦場へ飛び込んでいったのだが、果たして魔物との集団戦闘の時、どういうわけか夥しい数の魔物が他の兵士を無視して、真っ先に俺を目がけて襲い掛かって来た。母の言葉は正しかったのだった。それにしても俺のおかげで他の兵士たちの生存確率は大幅に上がったのではなかろうか。


 どうやらこの世に生を受けたその瞬間に俺の幸運残高はゼロになっていたらしい。誕生するために運を振り絞ってしまっては本末転倒ではないか。

 こうなってしまってはもはや意味は無いが、詰問したい。俺の前世よ、何を思ってそんな馬鹿げたことをしたのか。おかげでこんなごつごつした灰色の人生を歩む羽目になってしまったではないか。このまま幕を閉じるなんて切なすぎるではないか。





 「では――――」


 と、涼やかな声が響き渡る。


 「心安らかに。あなたの魂は故国三百万人の安寧と、永久(とわ)の繁栄の礎となるのです」


 



 くそう。せめて童貞だけでも卒業したかった……


 母ちゃん、父ちゃん、すまん。不肖息子、故国のため生贄になります。

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