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第二章『覚醒』

先程語ったように、僕がこの力に気付いたのは中学二年生の春先のことだ。


もうすぐ三年生ということもあり、受験だのテストだの成績だのと何かと忙しい毎日を過ごしていたある日のことだ。


話していなかったが、僕の家族は母と妹の三人暮らしだ。父は消防士で立派な人だったが、僕が小学四年生のときに現場で逃げ遅れた子供を助けに飛び込み帰らぬ人となった。


辛気くさくなってしまったが、僕は今の生活に満足している。


母は毎日僕らを養うために働いてくれる優しい母で、妹も家事を率先してやってくれている。


なのでぼくは今の生活で十分に幸せだ。


そんなある日のことだった。


いつものように妹の「朝だよー!遅刻しちゃうよー!」という声に起こされ、まだボーッとする頭を無理やりに覚醒させるために、台所へ顔を洗うためにふらふらと向かう。


「おはよー♪うわー酷い顔、早く何とかしなよ!」と朝から朝食のしたくをしてくれているのが妹の(サクラ)だ。


「いつも悪いな、助かるよ。」と感謝を言葉にし顔を洗う。


「いいえー。好きでしてることでもあるし、何よりお兄ちゃんに任せたら大変なことになっちゃうじゃん?」と笑顔で言ってくれる。


我ながらできた妹だと思う。先に言っておくが、僕は決してシスコンではない。


世間的に見ても整った顔立ちで、スタイルも年のわりにかなり女子らしくなってきていて、料理もでき、運動神経もよくその上兄思いの妹なのだ。


まぁ確かに、いっそ他人であったならと思ったことがないわけではないが…。


何度も言うがシスコンではないぞ。


と、話は逸れたがこんな感じにいつもと変わらない朝を過ごし、朝食の片付けを先に済ませ、まだ支度途中の妹を尻目に行ってきまーすと学校へと向かったのだ。


俺の中学は家から少し離れており、徒歩約20分の距離にある。


この時間に通学している生徒は結構いるのだが今日に限っては人っ子一人いない。


僕は少し不安を感じはしたが、まあそういう日もあるかと深く考えないことにした。


少し歩くと向かいから人が歩いて向かってきた。


僕は人を発見したことで少しホッとした。


向かってくる人物は真っ黒なコートを羽織っており、顔はフードで隠されとても不気味と言っても過言ではない容姿ではあったが、人がいたことの安堵感からか、この時の僕はあまり気にならなかった。


また歩くこと五分くらいだろうか、突然胸を握り潰されるかのような痛みにもにた感覚が僕を襲った。


次の瞬間、僕は信じられないモノを見た。


家に帰るとそこら中真っ赤に染まり、家のなかには首のない二つの体が横たわっていた。


あまりの光景に吐きそうになり我にかえった。


「今のは…?」と口にすると同時にハッと気付き、家へ向かって走り出した。


「まさか、そんなまさか!!」口では否定しながらも家へと近づくにつれ不安はどんどん増していく。


家の前につき、勢いのままドアを壊れんばかりの勢いで開ける。


そこには靴紐を結び直している妹の姿があった。


「ど、どーしたの?そんな汗だくで、忘れ物?」と桜が驚きながらも心配したように訊ねてきた。


「無事か!?」と乱れた息を整えながら聞く。


「なにいってるの?お兄ちゃん大丈夫?」と逆に心配されてしまった。


妹の声を聞いたことで安心したのか一気に力が抜けてしまった。


この日の夜は妹にこの事でさんざん弄られるハメになった。


翌日学校を終え家に帰宅した俺は愕然とした。


昨日見た光景がそこには広がっていたのだ。



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